shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズのイタリア盤特集①「I favolosi Beatles」【Garden Cover】

2018-04-22 | The Beatles
 私は自分が狙っているレコードのおおよその相場を知るためにオークション・サイトだけでなく色んなレコ屋の価格入り在庫リストを調べて情報収集をしており、中でもディスクユニオンの「ビートルズ廃盤アナログセール」のリストには必ず目を通すようにしている。特に“○○カヴァー”と称される独自ジャケ盤が大好きな私はいつも “ジャケ” “カヴァー” といった単語でページ全体を検索していくのだが、ある時 “奇跡的極上コンディションのブッチャー・カヴァー” やら “RCAプレスのホワイト・アルバム” やらといった稀少盤が目白押しの“注目アイテム”コーナーの中に “花壇ジャケット” というのを見つけた。何じゃいコレは?と思いながら説明を読むと「I Favolosi」というタイトルのイタリア盤で、赤銀レーベルと書いてある。知らんなぁ... と思いながら値段を見ると、何と84,000円だ。ビックリして“beatles 花壇ジャケット”でググってみたところ、別のユニオンのリストにヒットし、そこでも89,000円の高値が付いていた。どっちにせよ尋常な値段ではない。
 そんな高値が付く “花壇ジャケット” って一体どんなデザインなんやろ?と興味をひかれ、 I Favolosi Beatles で画像検索してみると、出てきたのは花壇の周りでポーズをとる4人の珍しい写真をあしらったジャケットで、公園のグリーンと花のピンク、そして緑地に白抜きのタイトル文字のコントラストがさすがはイタリア、という感じのシックなデザイン(←何故かジョン・レノンがバリバリの金髪にされているのには笑えるが...)になっている。後で知ったことだが、このジャケットは “花壇ジャケット” よりも “ガーデン・カヴァー” の愛称で呼ばれることの方が多いらしい。“〇〇カヴァー”コレクターの私としては手に入れたいのは山々だが、いくらなんでも8万とか9万とかいうのは論外だ。
 しかも困ったことにイタリア盤というのは例の「アナログ・ミステリー・ツアー」にも載っておらず、私がそれまで検索すらしたことがなかった未知の世界で、各アルバムの落札相場も全く知らないし、 “赤銀レーベル”というのがナンボのモンかも分からない。藁にもすがる思いで例の横野さんのレコード・コレクションHPを覗いてみると、さすがは世界レベルの超一流コレクター、ちゃーんとイタリア盤のページがあった(^.^)  いつものことながらホンマに凄い人ですわ。
 解説によるとイタリア盤は1965年にイタリアで独自発売された5thアルバム「ザ・ビートルズ・イン・イタリー」まで “赤銀レーベル” が初版で、しかも驚いたことにその赤色も dark red ⇒ purple red ⇒ light red というようにプレス時期によって3種類存在するとのこと。フェラーリの国イタリアだけあって赤に対する拘りようはハンパない(笑) 私が見つけた “ガーデン・カヴァー” というのは2ndアルバムの「ウィズ・ザ・ビートルズ」のことで、ジャケットには例のモノクロ・ハーフ・シャドウ写真の代わりにイタリア独自の “花壇写真” が使われているとういうワケだ。
 Discogsで調べてみると赤レーベルでVG+以上の盤は最低でも€200はするようで、最初期プレスのdark red レーベルになると軽く€300を超えてしまう。私はジャケットの状態が良くて生々しい音が聴けさえすればそれで十分なので、入手困難な “ガーデン・カヴァー” を少しでも安く手に入れるために初版の中でもプレス時期が遅い light redレーベル狙いで網を張ってみた。
 このレコードはだいたい月に1~2枚のペースで出品されるのだが、いざ狙ってみると落札価格が高すぎて全く太刀打ちできない。私は3回連続でアウトビッドされ、“やっぱりみんな狙っとるんやなぁ... 2万円以下で手に入れるのはちょっと無理か...” とほぼ諦めかけていた。そんな時にふとイーベイのイタリア国内向けローカル・オークション・サイトである eBay.itで調べてみようと思いついてチェックしてみたところ、インターナショナル版イーベイには出ていない「I Favolosi Beatles」の赤レーベル盤が2枚も出品されているではないか! イタリア語のオークション・サイトということもあってかライバル数が少なく、しかもラッキーなことにビッドが2枚に分散したおかげで結局 €103で落札することができた。ユニオンでの販売価格を考えるとまさにマンマミーア(^o^)丿である。
 私が手に入れたのは赤銀レーベルの中の4版目にあたるlight red ヴァージョンで、レーベル左側に BIEM と MECOLICO ロゴが入った盤。マトリクス№は “YEX 447 1 4 2 64” となっているので、1964年の2月4日にイタリアでローカル・カッティングされたということだろう。セラーの盤質表示はVG++ だったがウチの装置で実際にかけてみたプレイ・グレードはEX+ でちょっと得した気分だ。音の傾向はバリバリにドライで、竹を割ったようなストレートなサウンドがスピーカーから飛び出してくる。もちろん音圧も十分で、さすがにUK盤1stプレスの生々しさには敵わないものの、ラウドなロックンロールを楽しむのにはピッタリの音作りだ。
 しかしこのレコードの一番の魅力はやはりジャケットの素晴らしさに尽きるだろう。再発盤ではタイトル文字まわりに安っぽい感じの緑色が使われているが、この初回盤では花壇や公園の植物の色と絶妙にマッチする渋~い草色になっており、そのカラー・バランスの妙はイタリア盤ならではと言うべきだろう。又、初回盤のジャケ左上にあるスリムな Dischi PARLOPHONロゴに比べると再発盤のデカいEMIロゴがダサく見えてしまうのだが、コレばっかりはしゃあないか。とにかく目で楽しめ、耳でも楽しめるイタリア盤... これは蒐集のし甲斐がありそうだ。