shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Relaxin'」のイタリア盤とオランダ盤 ~寛ぐ美女たち~

2018-04-15 | Jazz
 私はネットオークションを始める前はレコ屋の通販でレコードを買っていた。関西のレコ屋巡りだけでは滅多に手に入れることができないような稀少盤が載っているリストを見るのが楽しくて色んなレコ屋のHPを覗いていたが、そこで偶然目にしたのがマイルス・デイヴィスの名盤「リラクシン」のイタリア盤とオランダ盤の “ディフ・ジャケ” 2枚で、どちらも寛いだ美女が寝そべっているアートワークがオリジナルUS盤とは一味違う妖艶な魅力を湛えていた。その時は他に欲しい盤がいっぱいあったこともあって “へぇ~、こんな盤もあるんか... ” と感心しただけだったが、その2枚の存在は “美女ジャケ好き” の私の脳裏にしっかりと刻み込まれた。
 昨年ビートルズの各国盤蒐集が一段落した時にたまたまこの2枚のことを思い出して Discogs を覗いてみたところ、イタリア盤の方は$600というボッタクリ価格のが1枚出ているだけで論外だったがオランダ盤の方で盤・ジャケ状態共にVG+で €60という出物を発見。“Sleeve is very nice, just a small writing on the front...” と書いてあったので念のためにセラーにメールして写真を送ってもらったところ、問題なさそうだったので即ゲットした。
 このレコード(PPR 075)はUSオリジナル盤から8年遅れの1966年にオランダでリリースされたモノラル盤で、ジャケットは綺麗にコーティングされたフリップバック仕様だ。ソファーに横たわって寛ぐ女性(←地べたにワイン置くんか...)についつい目がいってしまうが、さりげなく手前のテーブル上に置かれたトランペットがジャジーな雰囲気を醸し出している。ジャケット右上に青ペンでMBと書かれているのが玉にキズだが部屋の壁の落書きと考えれば(笑)ほとんど気にならない。ランアウト部分にはUSオリジナル盤と同じく機械打ちでRVGの刻印が刻まれているので、ひょっとするとオリジナルと同じ原盤から作られたスタンパーを使ってオランダでプレスしたのかもしれない。盤質はVG+そのもので微かなサーフェス・ノイズはあるものの、普通に聴く分には全く問題のないレベルだ。
 首尾よく「リラクシン」のオランダ盤を手に入れた私は今度はイタリア盤に的を絞り、MAX €150まで出す覚悟でネット上に網を張ってみたのだが、こちらの方は中々出てこない。試しにpopsikeで調べてみると、過去10年間でオランダ盤15枚に対してイタリア盤はわずか4枚という激レア盤だった。これはちょっと時間がかかりそうやなぁ... と思いながら毎日ネットでチェックすること約1年、ビートルズのイタリア盤狙いでこまめにチェックしていた eBayイタリアのオークションに何とこの「リラクシン」イタリア盤が出品されたのだ。ビートルズの網にマイルスが引っ掛かってくるとは...
 “イタリアのローカル・サイトやからあんまり激しい競争にはならんやろ...”という私の甘い予想を裏切って €12.99からスタートしたオークションには12人がビッド、結局 €124で辛くも落札できたが、自分みたいな “美女ジャケ好き” コレクターは世界中におるんやということがよーく分かった。まぁレコード・コレクターなんてほとんど男ばっかりなんやから、“美女ジャケ” にビッドが集中するのは当然と言えば当然ですな(^.^)
 それにしてもこのイタリア盤「リラクシン」(LPM 2059)のジャケットは現物で見るとネット上の小さな写真で見る何十倍も素晴らしい。オランダ盤も良かったが、私的にはこっちの方が好み(^.^)  ハンモックで寛ぐセクシーな女性が醸し出すえもいわれぬ開放感がたまらんのですわ。大袈裟ではなく、この魅惑のジャケットだけで €100以上の価値があると思う。ジャケットの作りはフリップバック仕様のペラジャケで、盤のランアウト部分にはオランダ盤と同様に機械打ちでRVGの刻印が刻まれている。盤そのものはバリバリのNMコンディションだ。
 で、実際に3枚の音を聴き比べてみるとイタリア盤もオランダ盤もかなり良い音では鳴るが、やはり音の鮮度の点でUSオリジナル盤がアタマ一つ抜けている。一番顕著なのが重低音で、US盤はA①「イフ・アイ・ワー・ア・ベル」やA③「アイ・クッド・ライト・ア・ブック」で躍動するポール・チェンバースのベースの音が凄まじく、まるでヘビー級ボクサーのボディー・ブローをガンガン受けているような感じなのだ。ただ、イタリア盤はプレス時期がUS盤とほぼ同じ1958年ということもあってかモノラル盤ならではのゴツゴツした武骨な音が愉しめるし、オランダ盤も60年代中期プレスということを考えればコレはコレでかなりエエ線いっていると思う。US盤を10点とするとイタリア盤は9点、オランダ盤は8点という感じ。因みに盤の重さはUS盤174g、イタリア盤169g、オランダ盤134gだった。まぁこの2枚に関してはジャケット目当てで買ったので音を云々してもしゃあないのだが...
Miles Davis - I Could Write A Book