shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズのイタリア盤特集②「Hey Jude」聴き比べ

2018-04-29 | The Beatles
 「ガーデン・カヴァー」のジャケット・デザインが気に入った私はビートルズのイタリア盤を集めようと決意した。しかし困ったことに頼みの綱である横野さんのレコード・コレクションHPには「プリーズ・プリーズ・ミー」から「ヘルプ!」までしか載っておらず、「ラバー・ソウル」以降の各タイトルの1stプレス盤については何がどーなっているのかサッパリわからない。まさに道なき道である。
 こーなったら自力で調べるしかないと思った私は、Discogsで「ラバー・ソウル」から「レット・イット・ビー」までの各タイトルに関して60年代プレスのイタリア盤のページをすべてプリントアウトし、レーベル写真やマトリクス№を比べながら自分なりに整理していった。その甲斐あって、イタリアにおけるビートルズLPのレーベル変遷の概要をほぼつかむことができた。大雑把に言うと、「プリーズ・プリーズ・ミー」から「ザ・ビートルズ・イン・イタリー」までが “赤パーロフォン”、「ヘルプ!」から「サージェント・ペパーズ」までが “黒パーロフォン”、そして「ホワイト・アルバム」以降が英米独仏と同じく “アップル”レーベルが1stプレスということになる。
 しかしややこしいことに Discogsに載っているイタリア盤のアップル・レーベルにはいくつかのバリエーションがあって、どれが初回盤なのかがハッキリと明記されていない。具体的に言うと、センターレーベル面右側の2段重ねのブラケット内に STEREO / MONO のダブル表記がしてあるものと、単に STEREO 表記しかないものに分かれるのだ。普通に考えれば MONO 表記がある方が古いはずなのだが、eBay で見るとSTEREO 表記しかないものを 1stプレスとしているセラーも少なくないので困ってしまう。同じお金を払うなら少しでも良い音で聴きたいというのが私のポリシーなので、音の薄っぺらいリイシュー盤をつかまされるのだけは何としても避けたい。
 そうやって迷っていた時に eBay にイタリア盤「ヘイ・ジュード」の STEREO 表記盤が出品された。商品説明には“rare 1st press ... wow ...EX top audio” の文字が躍っている(笑) 値段も$20とお手頃だ。ホンマは MONO とのダブル表記盤が欲しいとこやけどまぁエエか、と “top audio” の殺し文句に負けた私は BUY IT NOW で即ゲットした。
 届いたレコードはノンラミネート仕様でジャケット写真は手持ちのイスラエル盤と同じく印刷が粗い。盤も取り出して手に持った瞬間に “軽っ!” と思ってしまうくらい薄っぺらく、重さを量ってみるとたったの129gしかない。“あちゃー、ハズレや...” と思ったが後の祭り(>_<)  スピーカーから出てきた音は確かにオーディオマニアが喜びそうなキレイキレイなサウンドで “top audio” という表現もあながちデタラメというワケではないが、ハイ上がりで中域が薄くガッツに欠けるヘタレなサウンドだ。私の経験から言うとこれは典型的な70年代プレスの再発盤の音であり、断じて 1stプレスのそれではない。
 どうしても 1stプレス盤が欲しかった私はいつものように Discogs でこのレコードを出品しているセラーに片っ端からメールして STEREO / MONO のダブル表記盤を探し出し、 €25でゲット。今度のレコードは先の盤と隅々まで全く同じデザインながらちゃーんとラミネート仕様になっており、写真の印刷も綺麗だ。何より驚いたのは盤の重量で、手に持った時のズッシリ感が全然違う。量ってみると何と175gもあってビックリしたが、音の方もその重量に比例するかのような分厚さで、押し出し感の違いは歴然だ。これはどう考えてもこちらが 1stプレスだろう。
 そういうわけで結局アルバム「ヘイ・ジュード」のイタリア盤を2枚買う羽目になってしまったが、おかげでイタリア盤アップル・レーベルの識別法とその音の特徴を知ることができ、私としては有意義な買い物だったと思っている。ビートルズ以外でも昔のアナログ盤を蒐集していると “どっちが 1stプレスやねん???” と迷ってしまうケースがたまにあるが、実際に自分の耳で確かめて納得するというのもまたアナログレコード・マニアの楽しみの一つではないかと思うのだ。