shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズのデンマーク盤特集③

2016-12-20 | The Beatles
 デンマーク盤蒐集もいよいよ佳境に入ってきた。とにかく10月から11月にかけては “寝ても覚めてもDK盤” 状態でこまめにeBayをチェックする毎日だったが、“コンプリートまで残り数枚” になってからしばらくは足踏み状態が続いた。小国デンマークの人口なんて微々たるものなので(←調べてみたら北海道や兵庫県よりも少ないらしい...)UK盤やドイツ盤とは違って元々タマ数そのものが少ないし、そんな中から盤質良好なブツを見つけ出して安く買おうというのだからそう簡単にいくわけがなく、ひたすら忍の一字で出物を待つのみだった。
 そんなこんなで3週間ほど経ち、ついに「ヘルプ」(マト2モノ)と「ラバー・ソウル」(←何とマト1モノのラウドカット盤!)が同じセラーから2枚同時に出品された。「ヘルプ」が£45で「ラバー・ソウル」が£55ということで単体なら少し予算オーバーになるが同梱で送料1枚分チャラになるし、どちらの盤もEXということで状態も良さそうだ。為替レートもあの時はまだ£1=127円で今より20円も安く底打ち感があったのでこのチャンスを逃す手はない。一旦イクと決めた以上、ぐずぐずしていてライバルに先を越されるわけにはいかないのだ。
 私は早速2枚をバスケットに入れてRequest total from seller をクリックしたのだが、どういうワケか This seller does not offer combined shipping という表示が出てそこから先へ進めない(>_<)  そこで私はとりあえず「ヘルプ」をBUY IT NOWで買い、“「ラバー・ソウル」も買うから送料を再計算してinvoiceを送ってくれ” とセラーにメールして返事を待った。
 1時間ほどして返事が来たのだが、何と驚いたことに「ラバー・ソウル」が£55→£75に、送料も£13.50→£17.95 に変えられているではないか! 何という鬼畜なセラーだヽ(`Д´)ノ 私が “1時間前と価格も送料も変えられているようだが、ひょっとしてアンタは私のメールを見てから値段を吊り上げたのか? もしそうなら私はこの取り引きをキャンセルしてカスタマーサポートに報告させてもらうが、どーする?” とメールするとさすがにビビったのか、“私は何も変えていない。きっとシステムエラーか何かだろう。価格も送料もあなたの言う通りでOKなのですぐに新しい invoiceを送るから...” という返事が来た。商品ページを再チェックすると確かに元に戻っているが、ちゃーんとキャッシュに証拠が残っとるで...(笑) コイツは全く信用に値しない糞セラーだが(←IDは rare_records_0です)DK盤2枚ゲットのチャンスを逃したくはなかったし、万が一トラブってもeBay には Buyer Protection があるので、当初の予定通り2枚とも買うことにした。
 無事届いたパッケージからレコードを取り出してまず驚いたのはその重さだ。60年代DKプレス盤の重さに関しては折に触れてこのブログでも取り上げてきたが、特にこの「ヘルプ」は 盤の重量が178gとUK盤よりも17gも重く、他のDK盤と比べても断トツの重さである。早速レコードに針を落としてみると、盤自体に傷はないのだが溝に細かい埃が付着しているようでチリチリとノイズが入って気持ち良く聴けない。そこで久しぶりにコニシの木工用ボンドで盤をパック、完璧にクリーニングしてから再度針を落とすと今度はクリアーな音で再生できて大満足(^o^)丿  特にA②「ザ・ナイト・ビフォア」のまるで目の前でポールが歌っているかのような生々しさには唖然とさせられたし、A③「ユーヴ・ガット・トゥ・ハイド・ユア・ラヴ・アウェイ」なんてこんな重低音が入っていたのかとビックリ(゜o゜)  B⑦「ディジー・ミス・リジー」のジョンのヤクザなヴォーカルもドスが効いていて実に気持ちいい。やっぱりレコード・パックはコニシのボンドに限るわ(^.^)
 「ラバー・ソウル」の方は166gだが、それでもUK初回盤よりやはり17g重い。大好きなラウド・カットのレコードを重量盤で聴ける喜びを何と表現しよう? 特にB面曲ではポールのベースがまるで地の底から響いてくるようにグゥ~ンと下まで伸びた重い音を響かせて私を喜ばせる。A④「ノーウェア・マン」での一糸乱れぬコーラス・ワークやB②「ガール」におけるジョンの説得力溢れるヴォーカルも圧巻だ。ピカピカのラウド・カット盤を大音量で聴く喜びは筆舌に尽くし難い(^o^)丿
 次に手に入れたDK盤は「プリーズ・プリーズ・ミー」だ。このレコードのDKファースト・プレスのレーベル・デザインは前々回取り上げた「ハード・デイズ・ナイト」と同じ 8 star "shadowed" Parlophone なのだが文字色はUK盤と同じゴールドという “金パロ” 盤で、そのせいかDK盤で唯一£100オーバーという高値が付いている。私としては金パロはUK盤1枚で十分なので、同デザインで銀文字のセカンド・プレス盤に狙いを定め首尾よくゲット。セカンド・プレスということで人気がないのか、それとも“盤質VG / ジャケットG”の表記にコレクター諸氏も二の足を踏んだのか、この盤は予想を遥かに下回る低レベルの競争で(笑)たったの$24で落とすことが出来た。
 聴いてみた印象だが、さすがに超ド迫力のUK金パロには少し及ばないものの、同じセカンド・プレスであるUK黄パロ盤と同レベルの素晴らしいサウンドで、発売期間が短くてすぐにこの銀パロに切り替わったというDK金パロも含めて考えてもコスパで言えばDKセカンド・プレスの圧勝だろう。因みにこのDK銀パロの重量はUK金パロと同じ170gだ。
 「プリーズ・プリーズ・ミー」に次いで網にかかったのが「マジカル・ミステリー・ツアー」だ。60年代のデンマーク国内におけるビートルズのレコード・リリースは「エスキモー・カヴァー」を除けば基本的にイギリスに倣っているので「マジカル・ミステリー・ツアー」もリアルタイムではEP2枚組で発売されただけだったが、70年代に入るとデンマーク独自のリリースが目立つようになった。LPフォーマットで初めてリリースされたこの「マジカル・ミステリー・ツアー」もそんな1枚で、ショッキングピンクのジャケットとジャケ左上の HOR ZUマークから考えて、ドイツでカッティングして作られたマザーをデンマークに持ち込んでスタンパーを作ったもののようだ。
 気になってネットで調べてみるとやはりその通りで、いつも参考にしている Steve Hoffman Music Forums によると、71年に出たドイツ初版(マトA1/B1)はBラス3曲が疑似ステなのに対し、同年リリースのセカンド・プレス(マトA1/B3)では世界初のリアル・ステレオ・ミックスで収録されており、現存するステレオ盤としてはベストなサウンドが聴けるとのこと。そしてデンマーク盤はその音の良いジャーマン・セカンド・プレス盤と同じマザーから作られているというのだからこれは絶対的に “買い” である。ラッキーなことにDiscogsに1枚だけEX盤が出品されていたので速攻ゲット、€26でMMT史上最高のステレオ・ミックスが手に入ったのが嬉しくてたまらない(≧▽≦)
 届いた盤は看板に偽りナシのスーパーウルトラ高音質で、大袈裟ではなく私が今まで聴いた中でベストのMMTだ。低音がスベッたとか高音がコロんだとかいう以前に、何よりもまず音楽が活き活きと躍動し、この時期のビートルズならではの万華鏡のようなポップ・ワールドを見事に音溝に刻み込んでいる。やはりデンマーク・プレスの盤にハズレ無しだ(^o^)丿

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