一部の例外を除いて私はUS盤にあまり良い印象を持っていない。若い頃に聴いたキャピトル盤「ビートルズ’65」に入っていた「アイ・フィール・ファイン」と「シーズ・ア・ウーマン」の、まるで風呂場か教会の中で聞いているかのような過剰なエコーがかけられた音が気持ち悪くてトラウマになり、それ以来 “US盤は音が変!”(←音が “悪い” じゃなくて “変” としか言いようがない...)という偏見を抱きながら生きてきた。だから「マジカル・ミステリー・ツアー」「ヘイ・ジュード」「レット・イット・ビー」「アット・ザ・ハリウッド・ボウル」の4枚を除けばアナログのUS盤は1枚も持っていなかったし、CDで「キャピトル・ボックス」や「USボックス」が出た時も買おうという気は全く起こらなかった。
そんな “キャピトル嫌い” の私でも、アメリカでのデビュー・アルバム「ミート・ザ・ビートルズ」にだけは一目置いていて、“一体どんな音してるんやろ???” と少なからぬ興味すら抱いていた。少し前に手に入れた同タイトルのオデオン赤盤が国内盤にしては結構生意気な音で鳴ったこともあって(←モノラル盤のくせに何故かモノ針よりもステレオ丸針の方がエエ音してたのが謎... 針との相性がシビアなのか?)、「ミート・ザ・ビートルズ」でも各国盤聴き比べをやってみようと思いついたのだ。
私はエコーまみれの危険性が高いキャピトルのステレオ盤は絶対に要らんけど、モノラル盤なら大丈夫かも... と考えて軽~い気持ちでeBay検索してみたところ、なんとレインボー・レーベルだけでも150枚ぐらい出品されているではないか! さすがはアメリカ、規模が桁違いである。もちろん値段の方もピンキリで、下は $5 から上は $2,000 というからビックリなのだが、どうせ買うなら1stプレス盤を聴いてみたいというのが人情というもの。UK盤とは違いUSオリジナル盤に関しては何の知識もなかったのでネットで調べてみたところ、東海岸と西海岸のプレス工場によって盤やジャケットに様々なヴァリエーションがあるらしい。
解説によると、表ジャケのBEATLESの文字色の微妙な違い(←ダークブラウン、タン、オリーヴグリーン...)だとか、裏ジャケ左下の produced by George Martin という表記の有無だとか、RIAAマーク横の数字だとか色んな要素が複雑に絡み合っており、US盤に何の思い入れも無い私としては面倒くさくてそこまで厳密にチェックする気にはなれない。
そんな私でも簡単に見分けがつく識別法の一つがセンター・レーベル面の曲目表記で、キャピトル・レコードがビートルズ訪米前に何としても彼らのファースト・アルバムを発売しようと急いだがために曲の著作権管理会社が不明のままリリースされたので、各曲目の後にBMIや ASCAPといった表示が無いのが最初期プレスだというのだ(←ただしこれは東海岸プレスに限ったことだそうだが...)。なるほどね。このエピソードにコレクター心をくすぐられた私は、とりあえず BMI / ASCAP 表示の無い盤を探してみることにした。
この " NO BMI/ASCAP"盤 というのは思いのほか少なくて、オークションに出ていたのはたったの4枚だったが、その中で一番安かった盤(←"first press no credits no BMI no ASCAP" と書いてある...)を$42 でゲット。盤質も良さそうだし他の3枚の値付けは$80~$150だったのでめっちゃ良い買い物をしたような気がする。
収録曲は日本盤ともUK盤とも違うアメリカ独自のもので、大ヒット・シングル「抱きしめたい」に「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」(USでの B面)と「ジス・ボーイ」(UKでの B面)の2曲、更にUKにおけるその時点での最新アルバム「ウィズ・ザ・ビートルズ」からの9曲(←「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」以外はすべてオリジナル曲で、R&B色の強い残り5曲は「セカンド・アルバム」に回されたようだ...)を加えた全12曲という構成だ。
レコード盤の材質も私が見慣れたUKパーロフォン盤よりもクオリティーが低そうなパリパリのビニールを使っているせいなのか、それともアメリカ人の音の好みの問題なのか、全体的に高域寄りのドライなサウンドになっている。乱暴な例えだが、CD黎明期のデジタル・サウンドっぽい音とでも言えばいいのか。もちろんキモいエコーなんかかかっていない(笑) 因みに東芝赤盤の方はまるでステレオ・マスターをモノラル化したかのようにこじんまりとまとまった感じに聞こえるが、基本的にはUS盤と同傾向の華やかなサウンドだ。
一方UK盤「ウィズ・ザ・ビートルズ」で同じ曲を聴き比べてみると、さすがと言うべきか US盤や赤盤とは次元の違うダイナミックなサウンドに圧倒される。眼前にすっくと屹立するヴォーカルの存在感といい、音楽を前へ前へと押し進めていくリズム隊のドライヴ感といい、スピーカーから飛び出してくるハンドクラッピングの生々しさといい、“ビートルズはやっぱりこの音でなくっちゃ(^o^)丿” との思いを強くした次第。
ということでUK盤には敵わなかったものの、今回買った「ミート・ザ・ビートルズ」も決して悪い音ではなかったので、私のUS盤に対する不信感も少しは払拭できたように思う。さすがにUK盤のようにモノラルとステレオで全部揃えようなどという気は全くないが、US盤「ミート・ザ・ビートルズ」を聴きながらNYのケネディ空港に降り立った4人に思いを馳せるのは大いにアリだと思った。 音そのものだけでなく “思い入れ” 一発で聴くレコードがあってもよいのではないかと思う今日この頃だ。
Meet The Beatles! 1964 MONO LP Full Side 1
Meet The Beatles! 1964 MONO LP Full Side 2
そんな “キャピトル嫌い” の私でも、アメリカでのデビュー・アルバム「ミート・ザ・ビートルズ」にだけは一目置いていて、“一体どんな音してるんやろ???” と少なからぬ興味すら抱いていた。少し前に手に入れた同タイトルのオデオン赤盤が国内盤にしては結構生意気な音で鳴ったこともあって(←モノラル盤のくせに何故かモノ針よりもステレオ丸針の方がエエ音してたのが謎... 針との相性がシビアなのか?)、「ミート・ザ・ビートルズ」でも各国盤聴き比べをやってみようと思いついたのだ。
私はエコーまみれの危険性が高いキャピトルのステレオ盤は絶対に要らんけど、モノラル盤なら大丈夫かも... と考えて軽~い気持ちでeBay検索してみたところ、なんとレインボー・レーベルだけでも150枚ぐらい出品されているではないか! さすがはアメリカ、規模が桁違いである。もちろん値段の方もピンキリで、下は $5 から上は $2,000 というからビックリなのだが、どうせ買うなら1stプレス盤を聴いてみたいというのが人情というもの。UK盤とは違いUSオリジナル盤に関しては何の知識もなかったのでネットで調べてみたところ、東海岸と西海岸のプレス工場によって盤やジャケットに様々なヴァリエーションがあるらしい。
解説によると、表ジャケのBEATLESの文字色の微妙な違い(←ダークブラウン、タン、オリーヴグリーン...)だとか、裏ジャケ左下の produced by George Martin という表記の有無だとか、RIAAマーク横の数字だとか色んな要素が複雑に絡み合っており、US盤に何の思い入れも無い私としては面倒くさくてそこまで厳密にチェックする気にはなれない。
そんな私でも簡単に見分けがつく識別法の一つがセンター・レーベル面の曲目表記で、キャピトル・レコードがビートルズ訪米前に何としても彼らのファースト・アルバムを発売しようと急いだがために曲の著作権管理会社が不明のままリリースされたので、各曲目の後にBMIや ASCAPといった表示が無いのが最初期プレスだというのだ(←ただしこれは東海岸プレスに限ったことだそうだが...)。なるほどね。このエピソードにコレクター心をくすぐられた私は、とりあえず BMI / ASCAP 表示の無い盤を探してみることにした。
この " NO BMI/ASCAP"盤 というのは思いのほか少なくて、オークションに出ていたのはたったの4枚だったが、その中で一番安かった盤(←"first press no credits no BMI no ASCAP" と書いてある...)を$42 でゲット。盤質も良さそうだし他の3枚の値付けは$80~$150だったのでめっちゃ良い買い物をしたような気がする。
収録曲は日本盤ともUK盤とも違うアメリカ独自のもので、大ヒット・シングル「抱きしめたい」に「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」(USでの B面)と「ジス・ボーイ」(UKでの B面)の2曲、更にUKにおけるその時点での最新アルバム「ウィズ・ザ・ビートルズ」からの9曲(←「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」以外はすべてオリジナル曲で、R&B色の強い残り5曲は「セカンド・アルバム」に回されたようだ...)を加えた全12曲という構成だ。
レコード盤の材質も私が見慣れたUKパーロフォン盤よりもクオリティーが低そうなパリパリのビニールを使っているせいなのか、それともアメリカ人の音の好みの問題なのか、全体的に高域寄りのドライなサウンドになっている。乱暴な例えだが、CD黎明期のデジタル・サウンドっぽい音とでも言えばいいのか。もちろんキモいエコーなんかかかっていない(笑) 因みに東芝赤盤の方はまるでステレオ・マスターをモノラル化したかのようにこじんまりとまとまった感じに聞こえるが、基本的にはUS盤と同傾向の華やかなサウンドだ。
一方UK盤「ウィズ・ザ・ビートルズ」で同じ曲を聴き比べてみると、さすがと言うべきか US盤や赤盤とは次元の違うダイナミックなサウンドに圧倒される。眼前にすっくと屹立するヴォーカルの存在感といい、音楽を前へ前へと押し進めていくリズム隊のドライヴ感といい、スピーカーから飛び出してくるハンドクラッピングの生々しさといい、“ビートルズはやっぱりこの音でなくっちゃ(^o^)丿” との思いを強くした次第。
ということでUK盤には敵わなかったものの、今回買った「ミート・ザ・ビートルズ」も決して悪い音ではなかったので、私のUS盤に対する不信感も少しは払拭できたように思う。さすがにUK盤のようにモノラルとステレオで全部揃えようなどという気は全くないが、US盤「ミート・ザ・ビートルズ」を聴きながらNYのケネディ空港に降り立った4人に思いを馳せるのは大いにアリだと思った。 音そのものだけでなく “思い入れ” 一発で聴くレコードがあってもよいのではないかと思う今日この頃だ。
Meet The Beatles! 1964 MONO LP Full Side 1
Meet The Beatles! 1964 MONO LP Full Side 2