shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズ・ルーツ特集④Chuck Berry-1

2015-10-04 | Oldies (50's & 60's)
 “ロックンロール” という言葉を聞いて真っ先に頭に浮かぶアーティストは?と聞かれたら、私なら迷うことなくチャック・ベリーの名前を挙げる。たとえビル・ヘイリーが “ロックンロールの元祖” であっても、エルヴィス・プレスリーが “ロックンロール界のスター” であっても、それでもやはり私にとってはチャック・ベリーこそが “ロックンロール” を体現するアーティストなんである。
 ビートルズがカヴァーした曲のオリジナル・アーティストによるシングルをUS原盤で集めるにあたって、私がガール・グループに続くターゲットとして選んだのがそのチャック・ベリーだった。若き日のビートルズはもちろんのこと、ローリング・ストーンズやヤードバーズといった60'sブリティッシュ・ロックの超大物グループたちは皆チャック・ベリーを聴いてロックンロールにハマり、メジャーになってからも嬉々としてチャック・ベリーの作品をカヴァーしている。こんなアーティストはチャック・ベリーを置いて他にはいない。
 特に彼のヒット曲で多用されている例のイントロのフレーズの吸引力には抗しがたいものがあり、極論すればあのギター・リックを聴いて何も感じなければロックンロールは諦めた方がいいのではないかとすら思ってしまう。あれの元ネタは1940年代に活躍したジャンプ・ブルースの大物ルイ・ジョーダンの「エイント・ザット・ジャスト・ライク・ア・ウーマン」だと思うが、それをモディファイして “ロックンロールの古典的フレーズ” にまで昇華させたところにチャック・ベリーの偉大さがあると思う。
Louis Jordan Ain't That Just Like A Woman


①Roll Over Beethoven [Chess 1626]
 この有名なギター・リックで始まる彼のヒット曲は「ジョニー・B・グッド」を始め、「キャロル」「バック・イン・ザ・USA」「スウィート・リトル・ロックンローラー」「レット・イット・ロック」などがあるが、ビートルズ・ファンの私にとって “あのイントロ” の代表曲は「ロール・オーヴァー・ベートーベン」以外には考えられない。チャック・ベリーのオリジナル・ヴァージョンを聴いたのはかなり後になってからだが、ロックンロールの原点としての輝きを感じさせるカッコイイ歌と演奏だった。
 この曲のもう一つの魅力はその歌詞にある。ベートーベンをブッ飛ばしてチャイコフスキーに知らせてやれというフレーズは痛快そのものだし、“ブルー・スウェード・シューズ” や “リズム・アンド・ブルース” といったロックンロール・ボキャブラリーがポンポン飛び出してきて楽しいことこの上ない。スピード感溢れる曲想とのマッチングも最高で、まさにロックンロール・クラシックスの鑑といえる1曲だ。
 オリジナルのシングル盤は言わずと知れたチェス・レコードなのだが、星の数ほど存在するオールディーズ・レコード・レーベルの中でも「チェス・レコード」と「サン・レコード」の2つは別格という感じで、私なんかもう手にしただけでワクワクしてしまう。そんなチャック・ベリーのチェス盤の中で状態の良いブツを見つけるのに一番苦労したのがこのレコードで、eBayに出てくるのは再発盤かジャリ盤ばかりだったこともあり、結局ヤフオクに出品されていたEX- 盤を2,300円で購入。ちょっと高いかなとは思ったが、海外から買う時の送料を考えれば許容範囲内である。実際に聴いてみて、50'sモノラル・シングル盤ならではの音の太さに大感激!!! これが伝説のチェス・レコードの音か... (≧▽≦)  やっぱりアナログの音はエエなぁ。
Chuck Berry Roll Over Beethoven


 ビートルズのヴァージョンに関してはもう何の説明も不要なくらいのスーパーウルトラ大名演で、ジョージが弾く気合い十分のイントロからノリ一発で一気呵成に駆け抜けるようなハイ・テンションの演奏がチョースバラシイ(^o^)丿  初期ビートルズ御用達のハンド・クラッピングもノリの良さに拍車をかけており、この曲の名演度アップに大きく貢献している。
The Beatles - Roll Over Beethoven (2009 Mono Remaster)


②Too Much Monkey Business [Chess 1635]
 チェスの初期レーベル盤のチャック・ベリーでもう1枚の私的溺愛盤が「トゥーマッチ・モンキー・ビジネス」だ。この曲との出会いはビートルズでもチャック・ベリーでもなく、FMラジオの「3大ギタリスト特集」の時にかかったヤードバーズによるカヴァーだった。曲そのもののカッコ良さも怒涛の勢いで弾きまくるクラプトンのギターの凄まじさも大いに気に入ったが、当時高校生だった私にとって何よりもインパクトがあったのは「モンキー・ビジネス」という言葉の響きの可笑しさだった。猿仕事??? 何じゃいそれは??? という感じでエアチェックしたテープを何度も何度も聴き返すうちにすっかりハマってしまい、私の中では “ヤードバーズと言えばモンキー・ビジネス” という歪んだ刷り込み(笑)がなされてしまった。
Too Much Monkey Business - The Yardbirds


 チャック・ベリーのオリジナル・ヴァージョンを聴いたのはそれからかなり経ってからのことだが、ベスト盤CDを聴いて “おぉ、これが猿仕事のオリジナルか...(^o^)丿” と悦に入って聴きまくったのを覚えている。因みに“モンキー・ビジネス”とは “インチキ、不正行為” という意味で、仕事やオンナや学校やバイトの愚痴を羅列しておいて “俺のまわりはインチキだらけさ!” とボヤきまくる歌詞が実にユニークだ。
 このレコードも上記の①同様にキレイな盤を探すのは至難のワザで、私は仕方なしにeBayでVG表記の盤を無競争の$6,00(約740円)でゲットしたのだが、届いた盤はサーフェス・ノイズを圧倒するように飛び出してくる剛力サウンドが圧巻で、めっちゃ得した気分である。VG盤に手を出すのは一か八かの賭けみたいなモンだが、この盤に関してはホンマにラッキーしましたわ(^.^)
Chuck Berry - Too Much Monkey Business


 ビートルズによるカヴァーは「BBCライヴ」に入っており、ヴォーカルは “チャック・ベリーは私のヒーロー” と公言しているジョン・レノンだ。大好きなチャック・ベリーのカヴァーということで水を得た魚のように活き活きとした歌声を聞かせるジョンといい、ドライヴ感抜群のバックの演奏といい、ソリッドなロックンロール・バンドとしてのビートルズの魅力が全開だ。
The Beatles "Too Much Monkey Business"