shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズ・ルーツ特集⑥Chuck Berry-3

2015-10-18 | Oldies (50's & 60's)
①Johnny B. Goode [Chess 1691 → Quality K1727]
 チャック・ベリーに名曲名演数あれど、彼の代表曲と言えばこの「ジョニー・B・グッド」を置いて他には考えられない。チャック・ベリーの、いや全てのロックンロール曲の中で世間的に最も広く知られている1曲がこの「ジョニー・B・グッド」と言っても過言ではないだろう。彼の登録商標と言える例のイントロから一気呵成に駆け抜ける必殺のキラー・チューンであり、ロックンロール・ファンにとってはまさに至福の2分30秒だ。
 映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の中で1955年にタイムスリップしたマイケル・J・フォックスがダンスパーティーのステージでこの曲を歌うシーンがあるが、バンドのメンバーがその場からチャック・ベリーに電話をかけ、当時新しいサウンドを探していたという彼に受話器越しにその演奏を聞かせるというタイム・パラドックス・ネタとして扱われており、その後調子に乗ってピート・タウンゼンドやエディ・ヴァン・ヘイレン、ジミ・ヘンドリックスといった未来のギタリスト達のハイテク奏法を次々と繰り出してしまい、呆れかえる聴衆に向かって “I guess you guys aren't ready for that yet. But your kids are gonna love it.(みんなにはまだちょっと早すぎたかな。でも君達の子供には流行ると思うよ。)” と呟くというオチも含め、ロック・ファンにとっては面白くてたまらないシーンなのだが、一般ピープル向けの超メジャーな映画の中でこのようにポピュラーなネタとして取り上げられるあたりにもアメリカにおけるチャック・ベリーの存在の大きさが窺える。
 そう言えばNASAが1977年に打ち上げた宇宙探査機ヴォイジャーに地球の様々な音楽文化を紹介するレコード盤を搭載していたのだが、アメリカ音楽の代表として選ばれたのが他でもないこの「ジョニー・B・グッド」だった。その後、アメリカの人気コメディー番組「サタディ・ナイト・ライヴ」で “ヴォイジャーのレコードを聴いた異星人からのメッセージが届きました。そこには「チャック・ベリーをもっと送れ」と書いてありました。” というジョークのネタとして扱われたことを見てもチャック・ベリーの音楽が広~く愛されているということがよく分かる。宇宙空間の写真に “Send More Chuck Berry” というタイトルをあしらった偽TIME誌の表紙からはアメリカならではのユーモアのセンスが伝わってきてニヤリとさせられた(^.^)
Johnny B. Goode - Back to the Future (9/10) Movie CLIP (1985) HD


 チェス・レコードの初期プレスのシングル盤で状態の良いブツを手に入れるのは至難のワザだが、中でも入手困難だったのがこの「ジョニー・B・グッド」だった。eBayに出ている 1stプレスのブルー/シルバー・レーベル盤で$20以下で買えるものはみんな盤質 G~G+(ダメージ有り)のジャリ盤ばかりという悲惨な状況だったので途方に暮れていたところ、チェス・レーベルのカナダ盤をリリースしている “クオリティ・レコード” のキレイな盤が $9.95(約1,240円)で出ているのを発見、“Plays great” という説明を信じて買ってみたところ、これがもうめちゃくちゃ良い音で大喜び\(^o^)/  他のUSチェス盤と比べても遜色のない野太い音が楽しめてめっちゃ得した気分だ。カナダ盤って盲点やったけど、送料も安いしアナログ・マニアとしては結構狙い目かもしれない。
Chuck Berry - Johnny B. Goode


 エルヴィスを始めとして「ジョニー・B・グッド」のカヴァーは星の数ほど存在するが、私の知る限りではビートルズの「BBCライヴ」に入っているこのヴァージョンこそが決定版だ。オリジナルよりも気持ち半分ぐらいテンポを落とした結果、演奏の重心が下がり、ジョンの “ザ・ワン・アンド・オンリー” なヴォーカルの魅力を最大限に活かしたヴァージョンになっている。極論すれば、初期のビートルズはジョンのヴォーカルさえあれば、後は演奏に集中するだけで良かったのではないかとすら思えてくる。それほどジョンの “声” は素晴らしい。0分52秒の “ア~♪” や1分32秒の “ウ~♪”、2分10秒の“ウェ~♪” といった感嘆詞の一つ一つまでもが音楽的必然として耳に響くところが凄いと思う。
The Beatles "Johnny B. Goode"



②Carol [Chess 1700]
 この「キャロル」という曲を聴くと私はいつも映画「ヘイル・ヘイル・ロックンロール」の1シーンを思い出す。リハーサルでイントロのリフのスラーの入りについてキース・リチャーズがチャック・ベリーから何度もダメ出しを食らう場面があるのだが、まるで小姑のようキースをイビリ倒す御大と、憮然とした表情で何度も弾き直すキース、そしてそんな二人のやり取りに凍りつく現場の空気を見事に捉えた名シーンだ。そう言えばその映画の中でキースが “ミック・ジャガーより面倒な男だけど、どうしても彼を嫌いにはなれないな...” と語っていたのが印象的だった。
CHUCK BERRY WITH KEITH RICHARDS


 それだけ細部に拘るだけあって、この「キャロル」に関しては未だにチャック・ベリーのオリジナル・ヴァージョンを超える演奏に出会ったことがない。何よりも彼が紡ぎ出す鋭いリフがめちゃくちゃカッコ良く、まさに “これしかない!” と快哉を叫びたくなるようなフレーズのアメアラレ攻撃が楽しめるのだ(^o^)丿 リズム・セクションが一体となって生み出すグルーヴも唯一無比で、特にジョニー・ジョンソンの弾むようなピアノが生み出すドライヴ感がこの曲の名演度アップに大きく貢献していると思う。
このレコードも上記の「ジョニー・B・グッド」と同様にいつもシングル盤を買っているアメリカのレコ屋のセット・リストには無かったのでeBayで探し、VG+盤を$10(約1,250円)でゲットしたが、届いた盤はNMなピカピカ盤で、送料を入れても3,000円以内で買えて大ラッキーだった\(^o^)/
Chuck Berry - Carol 45 rpm!


 ビートルズが演奏する「キャロル」は「BBCライヴ」で聴くことが出来る。チャック・ベリーのカヴァーを歌うジョン・レノンに駄演ナシだが、ここでも貫禄すら感じさせるノリノリのヴォーカル(“アーゥ!”連発...笑)を聞かせてくれる。そしてそんなジョンを支えるバックの演奏も秀逸で、特にリンゴのソリッドなドラミングには耳が吸い付く。ジョージは手堅く纏めてる感じで、チャック・ベリーが拘っていたリフのスラーに関してはサラッと流しているところが面白い。
 一方ストーンズ版「キャロル」は64年リリースのデビュー・アルバムと69年USツアーの模様を収めたライヴ盤「ゲット・ヤーヤーズ・アウト」で聴くことが出来るが、私的には後者のかったるい演奏(←ハイド・パーク公演といいコレといい、テンポ遅すぎると思いません???)よりも断然前者の生硬でアグレッシヴな演奏の方が好きだ。
The Beatles "Carol"

THE ROLLING STONES-CAROL

この記事についてブログを書く
« ビートルズ・ルーツ特集⑤Chuc... | トップ | ビートルズ・ルーツ特集⑦Chuc... »