shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

DCC Compact Classics盤で聴く70年代ロック/ポップス特集

2014-06-29 | Rock & Pops (70's)
 ポールのDCC盤をすべて手に入れた私はDCCカタログに載っている他のアーティストのアルバムも聴いてみたくなり(←いつもの散財パターンやね...)、手広く網を張って1枚また1枚とゲットしていった。今日はそんな中からDCC盤のメインストリームである70年代ロック/ポップスの名盤を大特集だ。

【ヴァン・ヘイレン】
 DCC のカタログを見て真っ先に興味を持ったのがハードロック・ギターの聖典とでも言うべきヴァン・ヘイレンのデビュー・アルバム。スティーヴ・ホフマンのリマスタリングでハード&へヴィなVHサウンドがどう聞こえるのか興味津々だったのだが、「エラプション」におけるエディーの突き抜けるようなギター・サウンドはUSオリジナルLPにも負けない凄まじさだし、「ユー・リアリー・ガット・ミー」~「エイント・トーキン・バウト・ラヴ」~「アイム・ザ・ワン」と続くイケイケ・ノリノリ大爆裂ハードロック大会のカッコ良さはとても言葉では表現できない。ビールのCMキャッチコピーじゃないが、コクがあるのにキレがあるとでも言えばいいのか、エディーにしか出せないあの音色で聴かせる超速弾きプレイをものの見事に再現しているところが凄いのだ。いやはや、まったくスティーヴ・ホフマン恐るべしである。ヴァン・ヘイレン・ファン、いや、すべてのハードロック・ファン必聴の痛快無比な1枚だ。
Van Halen - You Really Got Me [DCC]


【リンダ・ロンシュタット・グレイテスト・ヒッツ Vol. 2】
 私が持っているリンロンのUSエレクトラ/アサイラム盤CDはどれもこれもプアーな音で、ヴォリュームを上げて聴こうという気がおきない代物だったので、DCCカタログにリンロンのグレイテスト・ヒッツを見つけた時は狂喜した。主に70年代のヒット曲を集めた「Vol. 1」も悪くはないが、私的にはリアルタイムで衝撃を受けた「シンプル・ドリームス」「リヴィング・イン・ザ・USA」「マッド・ラヴ」からのヒット曲を集めた「Vol. 2」により愛着を感じてしまう。サウンドの奥行き感や空気感までもバッチリ表現した「イッツ・ソー・イージー」、彼女の艶やかなヴォーカルを極上サウンドで堪能できる「ブルー・バイユー」、バンドが一体となって生み出す躍動感がハンパない「バック・イン・ザ・USA」、ねちっこいリズムが生み出すグルーヴが快感を呼ぶ「タンブリング・ダイス」など、リンロン・ファンにとってはたまらない逸品だ。
It's So Easy [DCC Ver.]


【スティーヴ・ミラー・バンド・グレイテスト・ヒッツ 1974-78】
 私はスティーヴ・ミラー・バンドの大ファンで、特に70年代半ばから80年代初め頃までの楽曲の充実ぶりは神憑ってさえいると思う。日本ではあまり人気が無いせいか彼のDCC盤はヤフオクでもアマゾンでも全然出てこずに苦労させられたが、eBay でチェコのセラーが大幅値下げしたのを運良く見つけて即決ゲット(^.^)  手持ちのUSマーキュリー盤CDはリンロンのアサイラム盤同様のヘタレなサウンドだったが、このDCC盤の音は期待以上の素晴らしさで、このバンドの身上とも言える圧倒的なドライヴ感を見事に表現している。「テイク・ザ・マネー・アンド・ラン」~「ロックン・ミー」~「セレナーデ」と続くあたりなんかもう快感!の一言に尽きるし「フライ・ライク・アン・イーグル」でギター&ハモンド&シンセが生み出すスペーシーなサウンドも実に気持ちエエのだが、私的ベスト曲はやはり唯一無比のグルーヴ感が楽しめる「ジェット・エアライナー」だ。
Jet Airliner [DCC Ver.]


【リンゴ】
 ビートルズ関連のDCC盤はポールの6枚以外ではこの「リンゴ」1枚しか存在しない。ジョンのソロはMFSL盤のみだし(←それもヨーコ監修によるリミックス版のマスターが使用されているらしい...)ジョージに至っては高音質リマスター盤が1枚も制作されていないのが残念だ。話を「リンゴ」に戻すが、彼のアルバムはベースの音がどうとかヴォーカルのリアリティがこうとかいった聴き方をしても始まらない。あれこれ考えずにただひたすらその親しみやすいヴォーカルを楽しめばいいのだ。スティーヴ・ホフマンはアナログらしい温かみがありそれでいて力強く濃厚なサウンドに仕上げることによってそんなリンゴの魅力を巧く引き出しており、特に「ユア・シックスティーン」や「オー・マイ・マイ」なんかもうお見事という他ないトラックになっている。ボートラとして「イット・ドント・カム・イージー」を含む3曲が入っているのも◎。とにかくビートルズ利権を独占したいアップルが、SACDにせよハイレゾにせよ、ビートルズ関連音源のリマスターを今後他社に許可することは考えにくいので、この「リンゴ」はファンとしては見つけ次第 “買い” の1枚だと思う。
You're Sixteen [DCC Ver.]


【ホテル・カリフォルニア】
 スティーヴ・ホフマンによると、イーグルスの代表作「ホテル・カリフォルニア」のリマスタリング作業は困難を極め、ブーミーな低音域を自分の思い描いたサウンドに仕上げるのにかなり苦労したという。 “もう二度と思い出したくない悪夢” のようなプロジェクトだったそうだ。その甲斐あってかこのDCC盤ではUSエレクトラ/アサイラム盤CDでは聴いたことがないような豊潤なサウンドがディスクに封じ込められている。手持ち盤聴き比べの結果、迫力の点ではUSオリジナルLPがベストだと思うが、何度も聴きたくなるのはこのDCC盤の方だ。タイトル曲におけるドン・ヘンリーのヴォーカルはより深みを増し、ギターの音色はえもいわれぬ愁いを帯びて響く。それでいてツインギターの絡みは切れ味抜群でドラムの押し出し感もしっかり表現されているのだから言うことナシだ。
Eagles - Hotel California - 1976 - DCC Remastered 1992


【マシン・ヘッド】
 DCC Compact Classics社は1992年から2000年までの約8年間で116タイトルの24KゴールドCDをリリース(GZSシリーズ)、その後Audio Fidelityへと社名を変え、2009年からHDCDエンコード(←何のこっちゃよーわからん...汗)したゴールドCDをリリースし始めたのだが(AFZシリーズ)、ニューDCCとでもいうべきAFから出たこの「マシン・ヘッド」を買った時はそんなこととは知らずに “何でケースがリフトロック式とちゃうんやろ?” と不思議に思ったものだった。この盤は何と言っても1曲目の「ハイウェイ・スター」の圧倒的なスピード感が聴き所なのだが、いざ実際に音を聴いてみて自分が期待していたサウンドとはかなり違っていたので拍子抜けしてしまった。何かフツーというか、DCC盤が持っていたアナログ的な空気感が希薄なのだ。誤解を恐れずに言えば “優等生的な音”... AFZシリーズはブンブン・ベースや飛び出すヴォーカル(笑)のような、DCCのGZSシリーズを初めて聴いた時の驚きやスリルに乏しいのだ。リマスタリングは同じスティーヴ・ホフマンなので、HDCDエンコードの影響なのか、マスタリング機材の違いなのか、あるいはその両方なのだろう。全7曲中で最も旧DCC的なサウンドを聴けたのが「スペース・トラッキン」で、バンドが一体となって生み出す破天荒なエネルギーがビンビン伝わってきて気持ち良かった。
Space Truckin' [DCC Ver.]
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