shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Open Up And Say... Ahh! / Poison

2009-02-25 | Hard Rock
 88年の夏、それまで平穏だった全米アルバム・チャートに異変が起こった。いきなりポイズンのセカンド・ アルバム「オープン・アップ・アンド・セイ・アー」が赤丸急上昇で2位にまで上がってきたのだ。それもこのおどろおどろしいジャケットでだ。いくらボン・ジョヴィやガンズ&ローゼズ、デフ・レパードらが大ブレイクしていたとはいえ、これには正直ビックリした。彼らを初めて聴いたのはその1年前、ファースト・アルバム「ルック・ホワット・ザ・キャット・ドラッグド・イン」からシングル・カットされた「トーク・ダーティー・トゥ・ミー」で、南斗紅鶴拳のユダのような派手な化粧を施してプレイするL.A.グラム・メタル・バンドという強烈なイメージが先行し、曲も単なる荒削りなロックンロールという印象しかなく、あまり気にも留めなかった。それがちょっと目を離した隙にこの快進撃だ。一体何がどーなってんねん?... 確かにその予兆はあった。全米チャートで13位まで上がってきた彼らの4枚目のシングル「アイ・ウォント・フォーゲット・ユー」を聴いて、まだ洗練されていないとはいえその歌心溢れる切ないバラッドに「これがあのユダみたいな化粧をしたバンドの曲か?」と不思議に思いながらも結構気に入って聴いたものだったし、映画「レス・ザン・ゼロ」のサントラ盤に入っていた彼らのキッス・カヴァー「ロックンロール・オール・ナイト」も疾走感に満ちた実に楽しさ溢れるヴァージョンに仕上がっていたからだ。そんなある日、ラジオのアメリカン・トップ40で最新シングルの②「ナッシン・バット・ア・グッド・タイム」を耳にしてぶっ飛んだ。「ナッシン、バラ、グッタァ~ィ♪」って思わず口ずさみたくなるような楽しさ... ちょうど70年代のキッスみたいな、元気ハツラツ・ドライヴ感溢れるノリノリのロックンロールが爆裂!これはエエわ(^o^)丿 「毎日奴隷のように働きづめで... 気分転換しなくちゃな... 楽しい時を過ごせりゃそれでいいのさ... これ以上のことはないぜ!」と歌う歌詞は下のビデオクリップ冒頭に出てくるような若者たちの鬱積した気持ちをストレートに代弁したもので、大いなる共感とともにロックンロールの原始的な衝動を呼び起こした。つまり、アメリカでも同じようにみんなラジオで聞いて(or ビデオクリップを見て)感動し、ライブを観て燃え、レコード店に走ったということだろう。そもそもメイクとファッションだけでアルバムがミリオン・セラーになるわけがない。彼らは見せるバンドから魅せるバンドへと大きく成長していたのだ。プロデューサーはモトリー・クルーやチープ・トリックetcを手掛けたトム・ワーマン、まさにバンドの方向性にピッタリの人選だ。①「ラヴ・オン・ザ・ロックス」のイントロのギターを聴いただけでウキウキした気分になれる。楽しいロックンロール・ショーの始まりだ。難しい理屈は抜きにしてとにかく楽しもうぜ、とポイズンは叫んでいる。このアルバムからはブレイクのきっかけとなったスマッシュ・ヒット②の他にも軽快なロックンロール⑦「フォールン・エンジェル」、3週連続全米№1の名バラッド⑧「エヴリ・ローズ・ハズ・イッツ・ソーン」、ロギンズ&メッシーナのめちゃくちゃ楽しい傑作カヴァー⑨「ママはダンスを踊らない」とシングル・ヒットのアメアラレ攻撃で、全米だけで500万枚売り上げたのも頷ける楽曲群の充実振りだ。要するに曲が良ければヒットするというお手本のようなアルバムであり、同時にストーンズの「イッツ・オンリー・ロックンロール・バット・アイ・ライク・イット」という一節を思い起こさせてくれる大好きなアルバムだ。

POISON - Nothin' but a good time

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2 コメント

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Unknown (ウォーロンティア)
2009-07-24 20:08:12
今聞けば、このポイズンも
いわゆるハードロックバンドではなく、普通にアメリカンロックと呼べばいいですよね。

ハードロックとしては、かなりあまりにも器が小さく見えますが、アメリカンロックとして語れば、非常に大きな存在になります。

どちらかというと、いわゆるヘビーメタルバンドよりはチープ・トリックやバッド・カンパニーあたりに近いニュアンスで語れると思います。

その中で、「ナッシン・バット・ア・グッド・タイム」は本当に魂のこもった内容ですよね。
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はじめまして♪ (shiotch7)
2009-07-25 00:11:21
ウォーロンティアさん、はじめまして♪
ようこそお越し下さいました。

ポイズンにはハマりましたよ。
特に2ndと3rdは聴きまくりましたね。

>アメリカンロックとして語れば、非常に大きな存在に...

実にウマイことおっしゃいますね(笑)
ブリティッシュ・ロックの対極に位置するような
底抜けに楽しいロックンロールを追求した
彼らの音楽性を的確に言い表したお言葉です。

私はあれから20年以上経った今でも
「ナッシン・バット・ア・グッド・タイム」な
生き方をしています。
全然成長してへんなぁ...(笑)
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