shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

France Gall Long Box

2009-05-26 | European Pops
 901さんのエイプリル・マーチ熱に私もすっかり感染してしまったようで、この2日間イエイエばっかり聴いている(笑) しかしよくよく考えてみると「チック・ハビット」の本家にあたるフランス・ギャルはこのブログを始めた頃に「夢みるシャンソン人形」のシングル盤を取り上げたっきりになっていた。これでは本末転倒も甚だしい。それにフランス・ギャルこそが私を底無し沼のようなイエイエ地獄、じゃなかったイエイエ・ワンダーランドに引きずり込んだ張本人なのだ。ここらでちゃんと取り上げておかねばならない。
 「夢シャン」を聴いてすっかり彼女にハマッた私は早速CDを検索してみた。しかし日本でのCD化状況はシェイラやチンクエッティといった他の歌姫たちと同様にベスト盤数枚でお茶を濁されており未CD化音源もかなりあったので、彼女の代表的な作品のほとんどが集中しているフィリップス時代の音源をコンプリートに収録した輸入盤LONG BOX3枚組CDを買うことにした。アマゾンでは9,000円近くしていたが、たまたま行った難波のタワレコで5,000円というウソみたいな値段が付いてるのを発見!何かの間違いやろと思いながらポーカーフェイスでレジを済ませ、そそくさと店を出たのを覚えている。
 彼女の楽曲は大きく分けて次の3つのタイプに分けられると思う。

①日本人好みのマイナー調メロディーが心の琴線をビンビン刺激するナンバー:
 「夢見るシャンソン人形」を筆頭に、ゲンスブール節炸裂の「娘たちにかまわないで」、似たような曲調の「アイドルばかり聞かないで」、その直訳バリバリの邦題もうちょっと何とかならんかったんかと思わせる「あなたのキャプテンに言いなさい」、イントロの哀愁舞い散るハーモニカに涙ちょちょぎれる「涙のシャンソン日記」なんかが有名だが、他にも「恋の家路」、「羅針盤」、「恋のためいき(ポリシネル)」、「シャンソン戦争」etc の隠れ名曲が目白押し。そのどれもがどこかで聞いたような懐かしいメロディーが郷愁をかきたてるキラー・チューンで、まるで昭和歌謡を彷彿とさせるような泣きのメロディーを舌っ足らずに歌うギャルのセピア色の歌声がたまらない(≧▽≦)

②とても10代のアイドル歌手とは思えないジャジーなナンバー:
 グルーヴィーなオルガンに負けないスキャットを聴かせる「ジャズ・ア・ゴー・ゴー」、そして当時の洗練されたヨーロピアン・ファンキー・ジャズをバックにスイングする「ジャズる心」と、タイトルに“ジャズ”と付いた2曲は言わずもがなだが、他にもブルーベック・カルテットの「テイク・ファイヴ」を想わせるめちゃくちゃカッコイイ5/4拍子ジャズ「パンス・ア・モア」、瀟洒なブラッシュと歌心溢れるサックスをバックにリラックスして歌う「ブーム・ブーム」、またまたブラッシュをバックに得意の高音スキャットを聴かせる「テンポの時代」、サバービア感溢れるフレンチ・ボッサ「太陽をあげよう」、フルートやコンガなどが醸し出すエキゾチックなムードがエエ感じの「青い瞳に恋してる」etc、ただのカワイコチャン歌手と思っていると、ギャルの “裏の顔” とでも言うべき硬派なサウンドに驚倒するだろう。

③いかにもアイドルといった明るい感じのキャンディー・ポップ・ナンバー:
 「シャルマーニュ大王」、「天使のためいき」、「はじめてのヴァカンス」、「恋の忠告」、「恋のお返し」、「恋のサバ・サバ娘」、「バラ色のキッス」、「アニーとボンボン」、「クリスチャンセン」、「すてきな王子様」、「おしゃまな初恋」、「ボンソワール・ジョン・ジョン」etc、やはり本業はあくまでもアイドル歌手ということで、邦題通りの楽しいポップスのオンパレード。何も考えずに頭を空っぽにして聴きたいハッピー・チューンばかりだ。

 楽曲のスタイルやアレンジがどう変わろうとも彼女の一番の魅力はそのユニークな声と歌い方にある。天が二物を与えた少女フランス・ギャル、彼女がポップスからジャズ、ボサノヴァまで様々なスタイルに対応できるだけの懐の深さをもったヴォーカリストだということをこの3枚組BOXは如実に示している。

France Gall - Pense A moi (1963) (son HQ)

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