shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

サディスティック・ミカ・バンド 1st アルバム +「サイクリング・ブギ」7"

2018-09-09 | J-Rock/Pop
 今朝ネットを見ようとパソコンをつけてみてビックリ... ウチのブラウザは Google Chrome を使っているのだが、何故かタブが丸みを帯びたダサいデザインに変わってしまっており、しかも今まで難なく見れていた Flash Playerを使うサイトを開く度に Chrome に「許可」の確認を取らなければならないというアホバカ仕様に勝手に変更されていたのだ。慌ててネットで調べてみると、Chromeはユーザーの意思に関係なく強制的に最新ヴァージョンにアップデートされるようになっているとのことで(←何様のつもりじゃ!)、昨日が “10周年の大幅リニューアル” の日だったらしいのだ。何が “劇的に使いやすい新デザイン” やねん???  めっちゃ使いにくいんじゃ、ボケ!!! ブチ切れた私はブラウザを他のものに変更することも考えたが、今更新しいシステムに慣れるのも面倒くさいので、とりあえず新しい Chromeを即アンインストールして古いヴァージョンを再インストール。更に管理ツールをいじって Chromeのアップデートを無効にしてようやく一件落着... と思ったのも束の間、再起動してみると何故か最新ヴァージョンに戻ってしまっている。あー、めっちゃムカつく! こーなったら意地でも元通りにしてやろうと色々ネット検索してついに解決法を見つけた。自分用の備忘録として書き記しておくと、
 ①URLに chrome://flags/#top-chrome-md と入力。
 ②UI Layout for the browser's top chrome を Default から Normal に変更。
 ③Enable Ephemeral Flash Permissions をDefault から Disabled に変更。
 ④ブラウザ右下部の RELAUNCH NOW という青いボタンをクリックして完了。
これでどうにか無事元に戻り今のところ問題なく使えているが、おかげで半日無駄にしてしまった。レコードを買うためとはいえ、パソコン使うのってホンマにストレス溜まるわ...(>_<)  そもそもITエンジニアという人種は何故上手くいっているものをいじってあれこれ変えようとするのかねぇ...

 ということで思わず怒りの展開になってしまったが、気を取り直して音楽の話に行こう。今回も前回に引き続いてミカ・バンドだ。彼らの3枚のオリジナル・アルバムの中で一番ターンテーブルに乗る回数が多いのはセルフ・タイトルの 1st アルバム「サディスティック・ミカ・バンド」。世間の評価は 2ndアルバムの「黒船」の方が圧倒的に高いし、キラー・チューン「タイムマシンにおねがい」もそちらに入っているのだが、A面の和製プログレ風組曲っぽい作りがどうも苦手で(←「タイムマシン...」だけがめっちゃ浮いてるように思える...)、凄い作品だとは思うけれどもアルバム1枚を通して聴くことは滅多になく、いつも「タイムマシン」「颱風歌」「どんたく」「塀までひとっとび」の4曲だけをつまみ聴きしている。もちろん歌物が激減しフュージョンに色目を使った中途半端な 3rdアルバム「Hot! Menu」なんぞ全くの論外だ。私が好きなミカ・バンドの音楽性はあくまでも “歌心とユーモア溢れるキラキラしたポップ・ロック” であり、それを見事なまでに体現したのがこのデビュー・アルバムなのだ。
 このレコード、まずは A面のアタマでガツン!とやられる。ステイタス・クオーも顔負けのハードなつんのめり系ブギー・ロック A①「ダンス・ハ・スンダ」と極太ドラム・ブレイクに圧倒される A②「快傑シルヴァー・チャイルド」の連続コンボだ。特に②はサンプリング・ネタとして引っ張りだこの名演で、ユキヒロ入魂の超絶ドラミングといい、クリームばりにガンガン弾きまくる高中のギターといい、実にカッコ良い演奏だ。妖しげに響き渡るミカの笑い声も絶妙なスパイスになっている。尚、これ以外の曲も T.レックスの上位互換(笑)みたいな A③「宇宙時計」や、トノバンならではの叙情的な世界が愉しめるソフト&メロウな A④「シトロン・ガール」、そしてグルーヴィーなスロー・ブギ A⑤「影絵小屋」と、駄曲が1曲も無いのが素晴らしい。
 B面もメルヘンチックな B①「空の果てに腰かけて」、リゾート・ムード横溢の B②「銀河列車」、リラクセイション溢れるユキヒロのヴォーカルがエエ味出してるジャマイカン・テイストの B④「恋のミルキーウェイ」、そしてキッチュでポップなミカバンド・ミュージックの王道を行く B⑤「ピクニック・ブギ」など名曲名演のオンパレードなのだが、私の一番のお気に入りは B③「アリエヌ共和国」。ストーンズの「ブラウン・シュガー」の三軒隣りに住んでいるようなカッコイイ曲で、最も輝いていた頃のストーンズのグルーヴをしっかりと吸収・消化し、トノバン流に再構築して創り上げた至高の名曲名演だ。「タイムマシンにおねがい」でも作詞家としての非凡な才を如何なく発揮した松山猛が書いた “ジルバを踊る星屑と 目くばせ三日月薄化粧~♪” のラインがたまらなく好きだ。
 加藤和彦と言えば1968年にフォークルの「帰ってきたヨッパライ」でミリオン・セラーをカッ飛ばし、その後も絵に描いたような名曲「あの素晴らしい愛をもう一度」をヒットさせるなど、どちらかと言うとロックとは畑違いのイメージがあっただけに、初めてこのアルバムを聴いた時は(←もちろん後追いですが...)ホンマにビックリした。今改めて振り返ってみると、高中正義、高橋幸宏、小原礼といった強力なメンツを揃えて1973年という邦楽ロックの黎明期にこんな凄いアルバムを作ってしまうところに加藤和彦というアーティストの天才を見る思いがする。グラム・ロックが席巻していた当時のブリティッシュ・ロック・シーンに対するトノバンの憧憬が最良の形で結実したスーパーウルトラ大名盤であり、ミカ・バンドでどれか1枚と言うなら間違いなくこの 1stアルバムだ。
Sadistic Mika Band - Sadistic Mika Band (Full album)


 尚、このアルバムの初回盤のみ見開き仕様になっており、「サイクリング・ブギ / レコーディング・データ」というボーナス・シングル(BRT-1001)が付いていて、ネット上では結構な高値で取り引きされているようだ。A面の「サイクリング・ブギ」は先行リリースされた同名シングルとは別ヴァージョンで、より深いエコーがかけられ、ベースの音がかなり大きくミックスされている。“コケッコ ケコ ケコ ケコ ケコ~♪” で終わるエンディングでトノバンが悪戯っぽく “ケコ!” と呟くところも楽しい(^.^)  B面の「レコーディング・データ」というのは「快傑シルヴァー・チャイルド」をバックに当時の人気ラジオDJの高崎一郎氏がメンバー紹介、亀淵昭信氏がアルバム紹介をするというもの。特に “最近たいへん流行っておりますシンセサイザー...” や “ビートルズも使ったといわれるメロトロン...” のくだりが時代を感じさせて面白い(^.^)  そもそもサディスティック・ミカ・バンドというバンド名からして当時ブイブイいわしていたジョンのプラスティック・オノ・バンドをもじって付けたというのだから、ビートルズの影響力ってホンマに凄いですな...(^.^)
Sadistic Mika Band 1st Bonus 7inch


【おまけ】
「サイクリング・ブギ / オーロラ・ガール」(DTP-2681)
 デビュー・アルバムの前年にリリースされたミカ・バンド初のシングル盤がコレ。メンバーは加藤和彦、ミカ、そしてつのだひろ(ドラムス)の3人だけで、高中、高橋、小原はまだ参加していない。A面の「サイクリング・ブギ」はシンプルなスリー・コードを上手く使ったノリノリの疾走系チューンで、軽妙洒脱なコーラス・ハーモニーも含め、加藤和彦のアレンジ・センスがキラリと光っている。つのだひろが書いた “マンボ・ズボンに白いマフラー~♪”や“ポニーテールに粋なサンダル~♪”、“今日も峠の小径~♪”に“明日は銀座の街角~♪”と、60年代昭和歌謡の必殺フレーズが次々と飛び出す歌詞も曲のドライヴ感に拍車をかけており、この曲の名演度アップに大きく貢献している。尚、イントロでミカが“レッツゴー、ドーナッツ!”と叫んでいるのはこのレコードが記念すべき第1弾となった加藤和彦の個人レーベルである“ドーナッツ・レコード”のことだ。
 B面の「オーロラ・ガール」は、もろにT.レックスのイミテーションをしてみました... という感じの遊び心溢れるナンバーで(←ミディアム・テンポにこのコーラス・ワーク... 本家 T.レックスよりも T.レックスっぽいやん...笑)、「テレグラム・サム」に「ニューヨーク・シティ」をたっぷり振りかけてレンジでチンしたら出来上がり(?)みたいな笑撃のケッ作。オリジナル・アルバム未収録で、このシングル盤とベスト盤 CDでしか聴けない貴重な音源だ。
Sadistic Mika Band - Aurora Girl 1972

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