shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Center Stage / Tommy Emmanuel ~超絶アコギで聴くビートルズ・メドレー~

2017-08-12 | Beatles Tribute
 前回取り上げたジプシー・ジャズ・スタイルによるビートルズ・カヴァーをYouTubeで色々と検索していた時に偶然凄い動画を見つけた。アコースティック・ギター1本でビートルズの名曲をメドレー形式でカヴァーしているのだが、とにかくその超絶テクニックが凄すぎてパソコンの画面に目が釘付けになってしまった。それがこの↓映像だ。
Tommy Emmanuel - Beatles Medley - While my guitar gently weeps


 恥ずかしながら私はこのトミー・エマニュエルというギタリストの名前すら知らなかった。ネットで調べてみると、この人はフィンガー・ピッキングを得意とするオーストラリアのギタリストで、2,000年のシドニー・オリンピック開会式でも演奏したとのこと。ジョージ・ハリスンにも多大な影響を与えたチェット・アトキンス御大から “間違いなくこの地球上で最高のギタリストの1人” と絶賛されたというからそのテクニックは折り紙つきだ。
 2013年にニューヨークのBBキング・ブルース・クラブで行われたこのライヴでもキレッキレのパフォーマンスを披露(≧▽≦)  この人が凄いのは信じられないような超絶プレイを実に楽しそうに、しかも楽々とやってのけてしまうところで、ギターを弾くだけでなく擦ったり叩いたりしてメロディー、コード、リズムを同時に鳴らしながらギター1本で演奏しているとは思えないような厚みのあるサウンドを生み出しているのだから観ている方はもう開いた口が塞がらない(゜o゜)
 ライヴ・パフォーマーとしてもピカイチで、その溢れんばかりの歌心と圧倒的な超絶技巧に熱狂するオーディエンスに触発されて更に凄いプレイを繰り出していくという好循環スパイラル。上の動画でも笑顔を絶やすことなくギターをまるで身体の一部であるかのように自在に操りながらほとんど手元も見ずにスーパープレイを連発、「デイ・トリッパー」のリードとベースの同時弾きなんて一体どーなってるねん???とツッコミを入れたくなるような神業だし、7分40秒あたりからギアを上げて一気呵成にたたみ掛けるところなんかもう言葉を失う凄まじさだ。1分08秒あたりでポン!とカポを外すしぐさもめちゃくちゃカッコ良くて、まさに生粋のエンターテイナーなんである。
 動画を見てこの人のアルバムを聴いてみたくなり早速ディスコグラフィーをチェックしたところ何と30枚近くの作品をリリースしていたのだが、CDのトラックリストを見てもほとんど知らない曲ばかり。この人の真骨頂はライヴにありそうなので、とりあえずこの「ビートルズ・メドレー」が入ったライヴ盤に絞って検索してみると「ライヴ・ワン」「センター・ステージ」「ライヴ・アット・ザ・ライマン」の3作品がヒット。ネットで「ビートルズ・メドレー」を比較試聴した結果、「センター・ステージ」のDVDを買うことにした。これは2007年10月にカリフォルニアのシエラ・ネバダ・ブルワリーで行われたライヴを収録したもので、上記2013年ライヴのメドレーに入っていた「シーズ・ア・ウーマン」と「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウイープス」が未収録なのがちょっと残念だが、3枚の中では「ヒア・カムズ・ザ・サン」で始まるメドレー・アレンジが一番気に入ったのでコレにした。
Tommy Emmanuel Beatles Medley @ UltraSharpAction com YouTube


 冒頭の“Put on your kneepads, put on your helmet, this is acoustic music in your face...”(ニーパッドとヘルメットのご準備を。それでは攻撃的なアコースティック・ミュージックをどーぞ!) というMCがすべてを物語るように、フィンガーピッキング・スタイルで音色の変化や緩急を自在につけながらアコギをバリバリ弾きまくるトミエマに圧倒される。特にアッパーな疾走系チューンで聴かせるドライヴ感はまさに “神ってる” と言っていいと思う。もちろん超速弾きだけでなくスローな曲も取り上げており、「上を向いて歩こう」や「朝日の当たる家」での魂のこもったプレイには涙ちょちょぎれるモンがある。優れた演奏家は “楽器を通して歌をうたう” とよく言われるが、とにかくギター1本でこれだけの音世界を表現できるのか...と驚倒させられた DVDだ。
TOMMY EMMANUEL : SUKIYAKI


 “ジプシー・ジャズでビートルズ” という思いつき(笑)とYouTubeという動画サイトがなければ多分その存在すら知ることはなかったであろうトミー・エマニュエル... 音楽を聴く醍醐味の一つは今回のようにお気に入りのアーティストを偶然見つける喜びにあるのだなぁとつくづく感じた。

【おまけ】オーストラリア出身だけあって何とあのAC/DCまでアコギで(←後半部はエレキだが...)カヴァーしてしまうトミエマ師匠! 兄のフィルとの共演だが、問答無用の超速弾きであのバリバリのハードロック「リフ・ラフ」を弾き切るトミエマ恐るべし!
Tommy & Phil Emmanuel - ACDC Medley Riff raff Let there be rock

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