shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Meet The Beatles / The Inmates

2009-06-23 | Beatles Tribute
 音楽ファン(もちろん私も含めて)というのは勝手にライバル関係を作り上げてどっちが良いとか喧々諤々の議論をしながら楽しむ傾向が多々あると思う。ゼッペリンvsパープル、マイコーvsプリンス、キャンディーズvsピンク・レディー、拓郎vs陽水と、挙げていけば枚挙に暇がない。こういう “作られたライバル関係” というのは、実際には志向している音楽的方向性etcが違うということが多いものだが、見た目には絵になる構図なのでメディアはここぞとばかり煽りまくる。そんな中、王者ビートルズのライバルは、ある時はビーチ・ボーイズだったり、又ある時はベンチャーズだったり(65年当時の日本だけですけど...)するのだが、同じイギリス出身のロック・バンドということでよく比較の対象にされてきたのがローリング・ストーンズである。
 まぁ両者ともに現役の頃ならいざ知らず、今となっては全く不毛な議論だとは思うが、ロックンロールをベースにフォーク、ブルース、カントリーといった様々なスタイルを貪欲に取り入れながら独自のポピュラー・ミュージックを創造していったビートルズの “拡散美” に対し、あくまでも自らのルーツであるリズム&ブルースに拘ったストーンズの “様式美” の違いと言っていいと思う。後はもう各人の好みの問題だと思うし、私はビートルズ原理主義者(笑)だが、ストーンズも好きでよく聴いている。
 そんな私にとって、もしもビートルズの楽曲をローリング・ストーンズがカヴァーしたら... というのは想像してみるだけでも楽しい妄想だったが、何とそれを現実にしてしまったバンドがいるのである。インメイツ... この盤を知るまでは名前すら聞いたことのないバンドだった。この「ミート・ザ・ビートルズ~ライブ・イン・パリ~」は87年のライブで全曲ビートルズのカヴァー、しかもヴォーカルはミック・ジャガーそっくりだし、バンドのサウンドも60年代中期のストーンズを彷彿とさせるシンプル&ストレートなロックンロールで、細かいことを気にせずにガンガン攻める骨太ガレージ・パンクだ。選曲がこれ又ユニークで、滅多にカヴァーされることのない①「リトル・チャイルド」や②「アイル・ゲット・ユー」なんかも演っている。ひょっとしてコイツら、かなりのビートルマニアなのかも...
 とにかくこのバンド、①のアタマから全開で突っ走る。 “リルチャアィル~♪” のイントネーションがモロにミックしているのが面白い。②も大胆なアレンジでインメイツ流に料理しており、そのステイタス・クォーみたいなグルーヴがたまらない。③「シーズ・ア・ウーマン」は割と原曲に忠実なアレンジながらリズム隊が大活躍で、縦横無尽に低音部を埋めるベースの躍動感には目を見張るものがあるし、レノン&マッカートニーの隠れ名曲④「ユー・キャント・ドゥー・ザット」でもドラムの叩き出す重いビートがめちゃくちゃ気持ちいい(^o^)丿 凄まじい勢いで突き進む⑤「デイ・トリッパー」でのノリノリの演奏も痛快だ。間髪をいれずに始まる⑥「バック・イン・ザ・USSR」、このあたりまで聴いてくるとストーンズ風とかはもうどうでもよくなってきて、ただただ最高のロックンロールを楽しむだけという感じになってくる。⑦「ウィー・キャン・ワーク・イット・アウト」で少しクールダウンした後、⑧「アイ・ワナ・ビー・ユア・マン」をストーンズ・ヴァージョンでビシッとキメてくれる。これ、めちゃくちゃカッコイイ(≧▽≦) お次は何と⑨「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」だ。スタジオ・レコーディング・テクノロジーの塊のように思われている同アルバムのタイトル曲だが、私に言わせればライブ感溢れるロックンロール。それを見抜いた見事な選曲に脱帽だ。この曲以降5曲連続してポール作のロックンロールが並ぶが、⑩「バースデイ」の異様なまでの盛り上がりはライブならでは。⑪「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」の疾走感はもう圧巻と言う他ない。⑫「ゲット・バック」ではミック節が舌好調で、ある意味ミックよりもミックらしいかも...(笑) やりたい放題にガンガン弾きまくるラウドなギターもたまらない。⑬「アイム・ダウン」はご存知のように本家ビートルズのライブ・クロージング・ナンバーで、このインメイツのライブでも最後の大爆発といった感じでバンドが一体となって燃え上がる様がダイレクトに伝わってくる。ラストは⑭「ヘイ・ジュード」なのだが、ここまでハイスピード・ロックンロール1本でグイグイ押しておきながら、何で?と言いたくなる。ひょっとすると “ただ歌いたかっただけ” なのかもしれないが、私にはこの選曲だけが解せない。
 私の持っているCDは2002年に再発されたリマスター盤で、ボートラ3曲が新たに追加されたお徳用盤なのだが、特にエディ・コクランのカヴァー⑯「ジニー ジニー ジニー」が素晴らしい。⑰「テル・ミー・ホワッツ・ロング」のパワフルでスピード感溢れる演奏も特筆モノだ。購入時にはくれぐれも曲数をチェックしましょう。

The Inmates- Back to USSR

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