shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

My Boyfriend's Back / The Angels

2009-06-22 | Oldies (50's & 60's)
 私はオールディーズ、とりわけガール・グループが大好きで、一頃なんか寝ても覚めてもガール・グループばかり聴いていた時期があり、周りから白い目で見られていたものだった(笑) ロネッツ、クリスタルズらのフィレス軍団、スプリームズやマーヴェレッツといったモータウン勢、シャングリラスやデキシー・カップスといったレッド・バード連合、シフォンズやジーンズらのローリー一派と、アメリカン・ポップスの明るくて楽しい “陽” の部分を最も分かりやすい形で提示してくれたのが彼女たちだった。時は1963年、ビートルズの全米上陸前夜である。そんな “ガール・グループ百花繚乱の時代” にひときわ輝く全米№1ヒットで歴史にその名を刻んだのがエンジェルズだった。
 彼女らは当初、40年代の白人女性コーラス・グループ直系のソフト&メロウなスタイルで活動しており、62年にカプリス・レーベルから1枚のアルバムを出し、そこからシングル・カットされた清純路線のバラッド「ティル」(愛の誓い)が全米14位まで上がるヒットを記録したものの、その後はジリ貧状態に陥り、リード・ヴォーカリストも交代、レコード会社もマーキュリーの子会社であるスマッシュに移籍する。この頃彼女らはフェルドマン=ゴールドスタイン=ゴッテラーというソングライター・トリオと出会い、「マイ・ボーイフレンズ・バック」を書いてもらう。このあたりの展開はスプリームズとホランド=ドジャー=ホランドとの関係にそっくりだ。彼らの所属していた音楽出版社はその曲をシュレルズに歌わせようとしたが彼らはそれをエンジェルズに廻し、スマッシュからの初シングルとしてこの曲をリリース、全米チャートでは75位→31位→10位→1位というとんでもないジャンプ・アップ(少しでも全米チャートを追っかけたことのある人ならこの数字がどんなに凄いことかおわかりですね...)で見事1位を獲得、3週に渡ってその座をキープした。
 同名タイトルのアルバムも、それまでの“古き良きアメリカ”を彷彿とさせるような洒落たコーラス・グループから60'sらしい元気印の典型的な“ガール・グループ・サウンド”へと変貌している。①「マイ・ボーイフレンズ・バック」は邦題が「あたしのボーイフレンド」で、活きのいいハンド・クラッピングを多用したキュートなコーラスがたまらない(≧▽≦) コール&レスポンスもばっちりキマッて完全無欠のガール・グループ・クラシックスの出来上がりだ。尚、この曲のカヴァーでは以前に紹介した「アメリカン・ドリームス」の中でステーシー・オリコが歌ったヴァージョンがダントツに素晴しいと思う。
 ②「サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム」(いつか王子様が)は泣く子も微笑むディズニーの名曲で、ジャズの世界ではスタンダード・ソングと化しているが、オールディーズ・ポップスの世界では結構レア。このエンジェルズのヴァージョンは彼女らのドリーミィーなコーラス・ワークが美しいディズニー・メロディーとバッチリ合っていて、この曲の隠れた名唱になっていると思う。私のようなディズニー好きのオールディーズ・ファンにはたまらない1曲だ。
 ①をアップテンポにしたような③「ハズ・エニイバディ・シーン・マイ・ボーイフレンド」やボビー・ヴィーのカヴァー⑤「ザ・ナイト・ハズ・ア・サウザンド・アイズ」(燃える瞳)ではエンジェルズお得意のキャピキャピ・コーラスが楽しめる。④「ティル」(愛の誓い)はカプリス時代の再録ヴァージョンで、先代ヴォーカリストとの違いを聴き比べるのも一興だ。⑦「ヒーズ・ソー・ファイン」(いかした彼氏)は言わずと知れたシフォンズの№1ヒットのカヴァーで、コーラス・アレンジもほぼ同じ。オリジナルと甲乙つけ難い名唱だ。
 ⑥「ホワイ・ドント・ザ・ボーイ・リーヴ・ミー・アローン」、⑨「ザ・ハーディ・ガーディ・マン」、⑪「ラヴ・ミー・ナウ」... これらのアップテンポな曲はそのどれもがはちきれんばかりの健康的なコーラス・ワークが全開で、頭の中を空っぽにして聴くに限る。⑩「ワールド・ウィズアウト・ラヴ」はレノン=マッカートニーが作り、ピーター&ゴードンが歌ったあの曲とは同名異曲。他の曲に比べるとかなり地味やね。⑫「ザ・ガイ・ウィズ・ザ・ブラック・アイ」は曲想からメロディー、コーラスに至るまで①にそっくりの曲で、ラストにこの曲を持ってきたのには何か意図があるのだろうか?まさかサージェント・ペパーズ的リプリーズの先駆け... なわけないか!(笑)
 ガール・グループの作品をアルバム単位でみた場合の完成度はフィレス・レーベルのロネッツ盤が史上最強だが、エンジェルズのこの「マイ・ボーイフレンズ・バック」はシフォンズのローリー諸作と共に、気楽に楽しめるガール・グループ・アルバムの最右翼に位置する好盤だと思う。

The Angels : My Boyfriend's Back

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