shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Wonderful World Of Sam Cooke

2012-11-04 | Oldies (50's & 60's)
 早いもので今年も残すところあと2ヶ月である。振り返ってみると、音楽面では音壁やマッシュアップ三昧で相変わらず充実していたのだが、仕事の面では4月に転勤になった新しい職場の水が全く自分に合わずストレスが溜まるばかりの毎日で、特に先月なんかもう最低最悪(>_<)  そのうち忍耐のレッド・ゾーンに突入しそうだ。このように仕事で不満が爆発しそうになった時、私は大きな買い物をしてストレスを発散するようにしており、先月は久々に大物を1枚買ってしまった。
 私が海外オークションのeBayを始めた頃の脳内バブル状態(笑)とは違い、さすがにここ数年は2,000円を超えると “高い!!!” と感じる正常な神経になっているのだが、そんな今の私にとっての大きな買い物というのはちょっと値の張るオリジナル盤LP のこと。これまでも「マイ・ジェネレイション」や「ベガーズ・バンケット」、「ミコ・イン・ニューヨーク」のオリジ盤を “自分へのご褒美”(笑) と称してゲットしてきたが、今回の収穫はそれらに勝るとも劣らない入手困難盤、「ザ・ワンダフル・ワールド・オブ・サム・クック」(Keen 8-6016)である。
 キーン・レコードのサム・クックといえばオールディーズ・マニア垂涎の稀少盤で、同レーベルに6枚ある彼のLP(うち1枚はオムニバス盤)の中で最もレアなのがこのレコード。Goldmine のプライス・ガイド本では $350 が相場となっており、実際に eBay で検索してみても $200~$300ぐらいのニンピニン価格(笑)で手も足も出ず、前々からずーっと欲しかったけど半ば諦めかけていた1枚だ。
 そんなレア盤が何と $60 スタート、BUY IT NOW (←ヤフオクでいうところの “今すぐ落札” です...)なら $75 という信じられないようなリーズナブルなお値段で eBay に出ていたのだ。私は一瞬 “いくら何でも話がうますぎるやろ... ヨーロッパで出た再発盤とちゃうんか???” と疑いの目でセンター・レーベルやジャケットの写真、セラーのフィードバックなどを隅々までチェックしてみたが怪しいところはどこにもない。どうやらロスにあるキーンの倉庫から出てきたオリジナル盤のデッドストック100枚の内の1枚らしく、埃だらけながら盤もジャケットもミント状態というからこんなオイシイ話は今後絶対にありえない。このチャンスを逃せば一生買えないと思った私は迷わず $75 で即決。悠長に構えて他人にかすめ取られでもしたら余計にストレスになりそうだし(笑)、$1=78円として約6,000円ならめちゃくちゃ安い買い物だ(^o^)丿
 発送からわずか4日で届いたのにもビックリしたが、それより何より気になっていたのがホンマにオリジ盤なのかどうかということ。ネットの写真だけで “多分大丈夫やろ...” と判断したものの、やはり現物を見るまでは安心できなかったのだ。ドキドキしながらレコードに針を落とすと、 “ひょっとしてパッチモンやったらどうしよう...” という一抹の不安を木っ端微塵に打ち砕くかのようにパワフルなモノラル・サウンドが部屋中に響き渡った... コレはたまらんわ(≧▽≦) 
 キーンの音源は権利関係がややこしくいらしく(←悪名高いABKCO Records が絡んでる???)正規のマスター・テープからリマスターしたCDは出ていないようだ。私が持っているのも NOT NOW (UK) や COMPANION (Denmark) というヨーロッパの妖しいレーベルから出ているCDばかりでレコードから音録りしたのが丸わかりのペラペラな音が哀しかったが、これでやっと良い音で聴けると思うと嬉しくてたまらない。サム・クックのビロードのような艶のある歌声はやっぱりアナログに限りますな...(^o^)丿
 収録されているのは全12曲、両面一気通聴しても約30分だが中身の濃さはハンパない。まずは何と言ってもアルバム冒頭を飾るA①「ワンダフル・ワールド」である。これは他愛のない学生の恋の唄なのだが、 “歴史も、生物学も、科学の本も、専攻したフランス語もよく分からないけれど、僕が君を愛してることはよく分かってるさ... 君も僕を愛してくれるなら、どんなに素敵な世界になるだろう...” と恋する気持ちをストレートに表した歌詞が秀逸で、思わず口ずさんでしまうキャッチーなメロディーに乗せてサム・クック独特の艶のある歌声で聴ける幸せを何と表現すればいいのだろう? 映画「刑事ジョン・ブック 目撃者」(原題は“Witness”)のカー・ラジオから流れてくるこの曲をバックにハリソン・フォードがアーミッシュの女性と踊るシーンも忘れ難い。
Sam Cooke - Wonderful World [HD]

witness


 ガーシュウィンの名曲を見事に歌い上げたA③「サマータイム」も素晴らしい。実はサム・クックはこの曲を2回レコーディングしており、初演はキーンからのファースト・アルバム「サム・クック」(A-2001)に入っているのだが(←シングル「ユー・センド・ミー」のB面にも収録)、これがアップテンポの大胆不敵なアレンジで、 “Don't cry... no no no no...♪” のパートを前面に押し出しながら自由闊達な節回しを聴かせるサム・クックのヴォーカルがゴスペル・ソングのようなグルーヴを醸し出していて実にカッコ良いヴァージョンなのだ。マニアの間では通称 “Don't Cry Version” とも言うらしい。
 一方このアルバムに収められたヴァージョンはより原曲に忠実なアレンジでテンポも遅く、世間一般にはこちらが “レギュラー・ヴァージョン” として認知されているようだ。因みに1959年にこちらのスロー・ヴァージョンを「サマータイム・パート1」と題してA面に、上記のファスト・ヴァージョンを「サマータイム・パート2」と題してB面にカップリング、シングル(Keen 2101)としてリリースされている。私的にはどちらかというとアップテンポな方が好みなのだが、端正なブラッシュと幽玄な雰囲気を醸し出す女性コーラスをバックにサム・クックが切ないメロディーをジャジーに歌い上げるこちらのヴァージョンも捨て難い魅力を持っている。あなたはどちらが好きですか?
Sam Cooke - Summertime (Slow Ver. / Keen 8-6016)

Sam Cooke - Summertime (Fast Ver. / Keen A2001)


 上記2曲以外では「ユー・センド・ミー」の三軒隣りに住んでいるようなA②「ディザイアー・ミー」、ロジャース&ハートの名曲をソフトタッチで朗々と歌い上げたB②「ブルー・ムーン」、チャキチャキしたリズムに乗ってノリノリのヴォーカルを聴かせるB③「スティーリング・キッシズ」あたりが気に入った。特に「ブルー・ムーン」はナット・キング・コールやジュリー・ロンドンと並ぶこの曲の三大名唱の一つだと思う。
 家宝とも言えるこのアルバムをゲットして、サム・クックのキーン時代のアルバムは残すところ2nd の「アンコール」のみ... これも中々市場に出てこない稀少盤だが頑張って絶対に手に入れてやるぞ~
Sam Cooke (Desire Me)

Sam Cooke - Blue Moon (1959)

Sam Cooke - Stealing Kisses (1960)

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2 コメント

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Summertime (Sam)
2012-11-05 19:47:17
Whilst I love everything that Sam Cooke sings, I do prefer the slow version of Summertime. But my favourite version of Summertime is by The Platters: http://www.youtube.com/watch?v=qX_KSb9YQ-c

If you like up-tempo Sam Cooke songs you should check out I'm Moving On. Very fun to tap your feet to!
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What a great voice! (shiotch7)
2012-11-06 23:08:46
Hi Sam,
Platters' version of "Summertime" is simply fantastic.
Thanks for good information.

I love up-tempo Sam Cooke songs
because they make me happy.
I first heard "That's It, I Quit, I'm Movin' On"
and it's an enjoyable song to listen to.
"Twistin' The Night Away" is also one of my favorites.
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