shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Rockaway Beach Boys / Ramouns

2010-12-01 | Ramones
 私はパンクルズやビータリカのようにある特定のスタイルで別のバンドの曲をカヴァーするパロディー・バンドが大好きで、このブログでも今まで率先して取り上げてきた。彼らはついつい色物として見られがちだが、高い演奏力はもちろんのこと、抜群のアレンジ能力やユーモアのセンスを持ち合わせているからこそこれらの合体技が可能なのだ。今日紹介するラモウンズ(Rämouns)の「ロッカウェイ・ビーチ・ボーイズ」もそんな楽しい1枚だ。
 “え~、またラモーンズかよ!” という声が聞こえてきそうだが(笑)、グループ名の a の上に点々が付いていることからもわかるように彼らはドイツのバンドで、アルバム全曲ラモーンズ(表記が紛らわしいなぁ...)・スタイルでビーチ・ボーイズ・ナンバーをカヴァーするという筋金入りのオバカ集団だ。ラモーンズの名曲「ロッカウェイ・ビーチ」にビーチ・ボーイズを引っ掛けたアルバム・タイトルも洒落ているが、何と言ってもラモーンズの 4th アルバム「ロード・トゥ・ルーイン」を見事にパロッた遊び心溢れるジャケット(←革ジャンにバミューダ・パンツ・スタイルにはワロタ...)が楽しい。やっぱりパロディーは徹底的に細部にまで拘ったマニアックなものがいい(^.^)
 ラモーンズを一般的な “パンクロック” のイメージで捉えて実際にはあまり聴いたことがない人にとっては “何でビーチ・ボーイズやねん?” ということになるだろうが、彼らは “ライヴはパンキッシュに、スタジオ・レコーディングはポップに” と2つの顔を巧く使い分けており、最もパンク色の濃かった初期のアルバム群にさえ60’sアメリカン・ポップスの薫りが濃厚に立ち込めていたし、彼らのサーフィン&ホット・ロッド・サウンド好きはアルバム「アシッド・イーターズ」に入っている「サーフ・シティ」や「サーフィン・サファリ」といったカヴァーを聴けば明らかだ。そういう意味では “ラモーンズ・スタイルでビーチ・ボーイズをカヴァー” というこのアルバムも彼らのルーツを考えれば理に適っていると言えるだろう。
 アルバムは全12曲で、 “1-2-3-4 !” のカウントからラウドなギターをフィーチャーしたポップパンク・アレンジで次々と連続投下されるビーチ・ボーイズ・ナンバーの数々に大笑い(^o^)丿 ①「サーフィン・サファリ」、②「シャット・ダウン」、③「サーフィンUSA」、④「リトル・ホンダ」、⑤「409」、⑥「イン・マイ・ルーム」、⑦「アイ・ゲット・アラウンド」、⑧「リトル・デュース・クーペ」、⑨「ファン・ファン・ファン」、⑩「ヘルプ・ミー・ロンダ」、⑪「キャッチ・ア・ウエイヴ」、⑫「ドゥ・イット・アゲイン」といった BB5 珠玉の名曲たちが、ギンギンにディストーションの効いたギターによって気合いを入れられ(笑)、カッコ良いロックンロールとしてスピーカーから勢いよく飛び出してくるのだ。
 しかもそれぞれのトラックが “「エンド・オブ・ザ・センチュリー」のレコーディング時にラモーンズとビーチ・ボーイズがフィル・スペクター立会いの下に行った秘密セッション(←もちろんそんなモノ実際にあるワケないが...)のテープ発掘!” とか言われたら信じてしまいそうなぐらいに高い完成度を誇っているのだからバカにはできない。特に本家ビーチ・ボーイズを彷彿とさせるヴォーカルやコーラス・ワークは絶品で、まさに “ガレージ色の強いビーチ・ボーイズ” といった感じだ。
 どちらかというとラモーンズよりもビーチ・ボーイズ色の濃い内容になっているので堅気のポップス・ファンが聴いても何の違和感もなく親しめるキャッチーなアルバムだが、随所にニヤリとさせられるラモーンズ・フレーズがしっかりとちりばめられており、両方のファンである私なんかもう楽しくって仕方がない。特に⑦のイントロのリズム・パターンはもろ「ドゥー・ユー・リメンバー・ロックンロール・レディオ」だし、⑧のエンディングなんか「アイ・ドン・ウォナ・ゴー・ダウン・トゥ・ザ・ベイスメント」そのままだ。こういう遊び心がファンとしてはたまりません(≧▽≦)
 このアルバムはキャッチーなメロディー、美しいコーラス・ハーモニー、そして毒気のあるギター・ロック・サウンドが見事に融合した傑作で、ラモーンズ・ファン、ビーチ・ボーイズ・ファンはもちろんのこと、ビーチ・ボーイズは軽すぎてちょっと...というハードコアなロック・ファンでも結構楽しめそうな1枚だと思う。

Ramouns - I get around - The beach boys version


サーフィンUSA


Ramouns - Fun Fun Fun - Punk version (Beach boys cover)

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