shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズのスウェーデン盤特集④「Abbey Road」

2017-12-03 | The Beatles
 ビートルズのスウェーデン盤を集めていて一番困るのは圧倒的に情報が少ないということである。元々プレス枚数が少ないために市場に出回るブツの数が限られているし、UK盤やUS盤と違ってマイナーな存在のためコレクターの蒐集対象になりにくくネット上を探してもビートルズのスウェーデン盤を系統立てて整理したサイトが見つからない。しかもオランダやイタリアといった他国マーケット向けのスウェーデン・プレスも少なからず存在していて状況をよりややこしくしているのだから始末が悪い。このようにある意味カオスな状況を呈しているスウェーデン盤だが、中でも最も厄介だったのが今日取り上げる「アビー・ロード」だ。
 私はこれまで各国盤を買う時はいつも例の横野氏のサイトの情報を頼りにしてきたが、さすがにスウェーデンなどというマイナーな国のレコードは載っていなかったので、残るはもう Discogs しかない。しかし困ったことにDiscogsにおけるスウェーデン盤の扱いは極めてぞんざいで、「アビー・ロード」のスウェーデン1stプレスに関しては表ジャケだけで肝心のセンター・レーベルの写真が載っておらず、“レーベルはダークグリーン・アップル”“レーベル面に Her Majesty 表記あり”“著作権管理クレジットはNCB”“マトはYEX749/750” という説明が申し訳程度に添えられているのみ。当然ながら1枚も出品されていない。一方、2ndプレスにあたる1978年リリースの再発盤は何から何まで事細かに説明してあって、当然レーベル写真や裏ジャケまで載っている。「アビー・ロード」のスウェーデン盤1stプレスってそんなにレアなのか???
 ここで一計を案じた私はpopsike で「アビー・ロード」のスウェーデン盤1stプレスを検索してみた。するとここ数年でたったの1枚だけしか売られておらず、しかも 1stプレスを謳ったその盤はセンター・レーベル写真からマトリクス№(YEZ 749-2 PCS 7088 A / YEX-750-2U PCS 7088 B)、マザー/スタンパー(3 MÅ/MÅ)までDiscogs掲載の2ndプレス盤と全く同じ。念のためeBayで検索してみたところ、市場に出ていた2枚はやはり同じマト番だった。一体どーなっとるんや?
 そこで最後の手段として、Discogsに「アビー・ロード」のスウェーデン盤を出品しているセラーたち全員にセンター・レーベルの写真を送ってくれるようメールして頼んだところ、送られてきた写真はすべて2ndプレス盤と同じものだったので、私はとりあえずその中から安くて盤質の良さそうなものを1枚オーダーすることにした。€12のNM盤だ。
 届いたレコードのジャケットはビニールコーティング仕様ではなく光沢ニス加工仕様。盤の重さも115gしかない。これはどこをどう見ても70年代中期以降の再発盤ですわ。やっぱりハズレやったか... と一瞬ガッカリしたがコレばっかりは仕方がない。“もう再発でも何でも構わんからどうかエエ音で鳴ってくれよ...” と祈るような気持ちでレコードに針を落とした。
 スピーカーから飛び出してきた音はこれまで聴いてきた他のスウェーデン盤と同傾向の “キメ細やかで尚且つ芯があるサウンド” で、嬉しいことにそれが「アビー・ロード」の音楽にドンピシャなんである。「カム・トゥゲザー」でのリンゴの切れ味鋭いドラミングも、「サムシング」におけるポールの驚異のベース・ラインも、「アイ・ウォント・ユー」後半のただならぬ緊張感も、「ヒア・カムズ・ザ・サン」の爽やかなギターの音色も、B面後半メドレーのめくるめくような展開も、「ジ・エンド」のギター・バトルのカッコ良さも、とにかくどこを切っても「アビー・ロード」の音楽性を上手く表現しているのだ。
 私は “再発盤のくせに結構やるやん!” と感心する一方で、もし69年に出た1stプレスが本当に存在するなら(←ビニール・コーティング・ジャケットで、盤は分厚くて150gぐらいあるはず...)是非この耳で聴いてみたい... との思いを強くした。まぁ気長に探してみるとしよう。

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