shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

インド盤で聴くジョージとジョンのベスト盤

2017-12-08 | The Beatles
 今年も残すところあとわずか... 毎年この時期になると多くのビートルズ・ファンは亡くなってしまった2人のビートル、ジョージとジョンに思いを馳せる。私もその例にもれず、このブログでもカヴァー曲やシングル盤など、その時々で自分がハマっていた題材を元に色んな切り口で2人の特集をしてきた。私の2017年はビートルズの各国盤蒐集に明け暮れた1年だったので、今日は2人がそれぞれ70年代にリリースしたベスト・アルバムのインド盤を取り上げようと思う。

①Best Of George Harrison [PAS 10011]
 本家本元のビートルズとは違ってソロ・アルバムを各国盤で、というマニアはさすがにあまりいないのか、Discogs を探すとかなりの数が出品されている。しかも1枚の値段が数ドルというお買い得盤も少なくないのでありがたい。私が買ったこのジョージのベスト盤も NM でたったの €10。センター・レーベルは他の70年代中期インド盤と同じくイエロー・パーロフォン(←インドでは「赤盤」「青盤」の2ndプレスや「ロックンロール・ミュージック」の1stプレスが黄パロ)で、マトリクスは YEX 961-1 / YEX 962-1A だ。
 ご存じのようにこのレコードはA面がビートルズ時代の、そしてB面がソロになってからのヒット曲という中途半端な構成のためにリリース当時はあまりファンの話題に上らなかった記憶があるが、各国盤コレクターとなった今の私にとっては「ラバー・ソウル」以降のジョージの代表曲をインド盤独自の真空管カッティングの音で手軽に楽しめるという、安心ラクチン格安パックツアー的な1枚なのだ。
 音の方はたかがインド盤(失礼!)と侮っていると驚かされること請け合いの良い音で、真空管カッティングならではの温かみのある分厚いサウンドが楽しめる。中でも私が一番気に入ったのはフィル・スペクターの音壁プロデュースここに極まれりと言うべき「マイ・スウィート・ロード」と「ホワット・イズ・ライフ」で、スペクターのザ・ワン・アンド・オンリーなウォール・オブ・サウンドとインドならではの真空管カッティングの組み合わせの相乗効果なのか、音空間の広がり方がハンパなく、UK盤と聴き比べてみても明らかに違う雄大な音で鳴るのが面白い。コレは買って大正解だった(^.^)

②Shaved Fish [PCS 7173]
 このインド盤「シェイヴド・フィッシュ」の魅力(?)は何と言ってもそのユニークなジャケットに尽きるのではないか? 「ラバー・ソウル」ジャケットのジョンの顔を模したイラストがオレンジ色(!)の雲間に漂い、そのバックには巨大な日の丸が描かれているという非常にシュールなジャケット・デザインで、日本人の私からすれば想像の遥か斜め上を行くセンスだ。インドって色んな意味でやっぱり凄いわ(笑) 「アナログ・ミステリー・ツアー」で紹介されていたのを見て面白そうなので買ってみたが、手に取って見る実物は本で見るよりも遥かにインパクトが強い。
 マトリクスは YEX 949-1 / YEX 950-1 で、マトの字体から判断するとUK盤ともUS盤とも違うインド独自のローカル・カットのようだ。盤の重量は 162gで、UK盤(126g)やUS盤(121g)と比べても断トツに重い。しかし驚いたことに実際にこれら3枚を聴き比べてみたところ、音の良さは重量に反比例しており、US ≧ UK >>> IND ぐらいの差がある。一番分かりやすいのはA②「コールド・ターキー」で、麻薬の禁断症状の苦しさがビンビン伝わってくるUS盤に対し、インド盤の方は音が平板なためにジョンが意図した “のたうち回ってもがき苦しむような感じ” が上手く表現できていないように思った。
 とまぁこのようにこれら3枚を聴き比べた結果、私の重量盤信仰は木端微塵に打ち砕かれ、やはりアナログ・レコードの音を決めるのはカッティング・エンジニアの良し悪しなんだという厳然たる事実を再確認すると共に、ジョンのソロ作品はUS盤のサウンドが一番生々しくてエエなぁ... との思いを強くした。音に関する限り、私にとって先のジョージ盤は “当たり” でこちらのジョン盤は “イマイチ” だったワケだが、こういった当たり外れがあるからこそ各国盤蒐集は面白い。ジョンのインド盤はディフ・ジャケの珍盤として目で楽しむことにしよう。

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