shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

スナッキーで踊ろう / 海道はじめ

2023-07-15 | 昭和歌謡・シングル盤

 私はいわゆる “変なレコード” というやつが大好きで、その曲が自分の好みに合ってさえいればどんな怪しげな盤でも喜び勇んで買ってしまう。そして私の手持ちのレコードの中でも一二を争う珍盤(奇盤? 怪盤?)が今日取り上げる「スナッキーで踊ろう」だ。
 私がこの曲の存在を知ったのはバックで踊っているスナッキー・ガールズの1人、小山ルミつながりで、“小山ルミがソロ・デビュー前に怪しげなレコード(笑)に参加していたらしい... という話をネットで知って、色々調べて辿り着いたのがこの「スナッキーで踊ろう」だった。
 原盤は今でこそ15,000円ぐらいのえげつないプレミア価格で取り引きされているようだが(←1995年に Vivid Sound から出た再発盤ですら6,000円超えしててビックリ...)、私が買ったレコードは盤質表記が良くなかったこともあってか確か3,000円ちょっとで手に入れれたと思う。
 歌謡曲のシングル盤ということで少々音が悪くても “まあエエか...” と気にせずにいたが、先日たまたま思い立って超音波クリーニングを施してみたところ、それまでのノイズがウソのようにキレイさっぱり消え去ってEx+レベルの高音質でこの珍曲が楽しめるようになったのが嬉しくて、早速このブログに書くことにしたのだ。
 この曲は元々プリマハムが若者向けに発売した新商品フランクフルト・ソーセージ「スナッキー」のプロモーションの一環として企画したもので、ある意味では日本初のタイアップ・ソングと言えるが、驚かされるのはそのキャンペーン・ソングの作曲を演歌界の巨匠である船村徹に依頼したことで、その結果として信じられないくらいファンキーな船村作品が誕生したのだから面白い。
 インタビューでは “奈落の底というか地獄へ落ちていく断末魔みたいなサウンドを作りたかった... きまったものをブチ壊したいという破壊衝動に突き動かされて作った...” と、とても演歌界の大御所とは思えないような突飛なことを仰っていたが、ベンチャーズ顔負けのアグレッシヴなガレージサイケ・サウンドに民謡をミックス、フィル・スペクターばりの過剰なエコーをぶっかけて当時の弟子だった民謡歌手の海道はじめに歌わせるという、アヴァンギャルドというか、ブッ飛んだ凄い作品なのだ。
 この曲を初めて聴いた時は “何じゃこりゃ?” だったが、その “何かめっちゃ変やけど妙に気持ち良い” 感じがクセになって脳内リフレインが止まらなくなってしまったのだ。そういう意味では危険な中毒性を持った1曲と言えるが、デッドなドラム・サウンドが生み出す強烈なグルーヴ感がとにかくヤバいので、“昭和歌謡ナイト”のようなパーティーはもちろんのこと、今の時代ならサンプリング・ネタとして使っても十分上手くハマると思う。まぁ時代がやっとこの曲の先進性に追いついたとも言えるが、私にとっては大音量で聴いて日常のストレスを吹き飛ばしてくれる、そんな1曲なのだ。そう、この曲は小さな音で聴いてもその魅力は伝わらないだろう。とにかく可能な限りの大音量で聴く... これに尽きると思っている。
 尚、バックでコーラスと踊りを担当した “スナッキー・ガールズ” はジャケット左からルミ(小山ルミ)、ミミ(吉沢京子)、ハニー(羽太幸得子)の3人で、風吹ジュンが参加していたというのはガセネタのようだ。
スナッキーで踊ろう

謎の歌謡曲「スナッキ―で踊ろう」誕生秘話(3/3)