shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Let It Be」の 2U-2G盤

2020-06-22 | The Beatles
 ピーター・ジャクソンが監督したビートルズのドキュメンタリー映画「The Beatles: Get Back」の劇場公開が来年の8月へと1年延期になったというニュースが飛び込んできた。今の世界の現状を考えるとこればっかりはどうしようもないが、ファンとしては楽しみが少し先に延びただけとポジティヴに受け止めて前に進むしかない。ポール来日の夢も吹っ飛んでしまったし、習金平とWHOのヒゲメガネだけは絶対に許せへんわヽ(`Д´)ノ
 そんな新型コロナ・パンデミックのせいで今年の前半は海外オークションには目ぼしいレコードがほとんど出てこなかった。しかしその一方でB-SELS では4月に「Rubber Soul」のインド盤、5月に「A Hard Day's Night」の南ローデシア盤と、月1枚のペースでレアな高音質盤を手に入れることができてめちゃくちゃエエ思いをさせていただいた。ついこの間も凄い盤を1枚購入させていただいたので、今日は B-SELS祭り第3弾としてそのレコードについて書きたいと思う。
 そのレコードというのは「Let It Be」のUKオリジナル盤。ジャケ裏のリンゴは緑でA面はマト3U & マザー/スタンパー 2GRDと一見どこにでもありそうな2ndプレスなのだが、問題なのはB面で、マトが2Uでマザー/スタンパーは何と驚異の2Gだ! しかも盤質極上のピッカピカ盤なのだからこれはエライコッチャである。
 そもそも「Let It Be」というアルバムはA面に「Across The Universe」と「Let It
Be」、B面に「The Long And Winding Road」とバラッドの超名曲が3曲も入っているのが大きな魅力なのだが、悲しいことに何故かこれら3曲にキズがついていることが多く、気持ち良くイントロを聴いている時にいきなりバチバチとノイズが入るとせっかくの静謐なムードが台無しになってしまう。しかもレコード針がノイズを拾いやすいステレオということもあって、1枚丸ごと気持ち良く聴けるNM盤を探すだけでも一苦労なのに、それで尚且つ若いスタンパーの盤を見つけるとなるとこれはもう至難の業なのだ。
 職業柄これまでに何十枚何百枚と「Let It Be」UKオリジナル盤を聴いてこられたSさんにも尋ねてみたが、ボックス・セットに入っている裏ジャケ赤リンゴの最初期盤でさえもスタンパー・コードが2桁のものばかりでスタンパー1桁の盤にはお目にかかったことがないと仰っていた。私もこの1年ほどビートルズのUKオリジナル・スタンパー1桁盤が出てこないかなぁと毎日のように海外オークションをチェックしているが、この「Let It Be」だけは一向に出てくる気配がない。
 しかしこのようにネットを駆使して探し回っても見つからなかったそんなスーパーウルトラ激レア盤が何と 地元奈良のB-SELS にあったのだからまさに灯台下暗しである。その店頭ポップには “レア中のレア!! B面初回2U、スタンパー2G美盤、スゴイ音です。” とあり、“2G” を指して “これがどれくらい貴重かおわかりいただけますでしょうか?” と書かれている。これを見てコーフンしなければレコード・コレクターではない。
 私は壁面を飾っていたこのレコードを指差して “これ聴かせて下さいっ!!!” とやや上ずった声で(笑)お願いし、いつものように2人で試聴開始。A面はごく普通の3Uでスタンパー・コードも3桁なのだが、盤質が良いせいかめちゃくちゃ良い音で鳴る。3Uでこれやったら2U/2GのB面は一体どれほど凄いねん?とワクワクしながらB面にいく。おぉ、何という生々しい音なのだろう!!! 「I've Got A Feeling」のベースの音が超ヤバい(≧▽≦) しかし一番ビックリしたのは「The Long And Winding Road」で、こんな凄い音でこの曲のオーケストラのサウンドを聴いたのは生まれて初めてだ。“凄いっスねぇ、この音...” と言うと“そうなんですよ。私もビックリしました...” とSさん。「For You Blue」のグルーヴも「Get Back」の凄まじいノリもキズ一つない “2Gサウンド” で再生されてただただ圧倒されるばかり... (≧▽≦) ただ、悲しいことにこの日はキャッシュの持ち合わせがなく、後ろ髪を引かれる思いでお店を出た。
 しかし家に帰ってからもお店で聴かせていただいた “あの音” が忘れられず、その日から数日間は悶々としながら毎日を過ごすことになった。ちょうど南ローデシア盤を買ったばかりでレコード資金が底をついていたのだ。だがしかし、ここで思わぬ臨時収入が舞い込んだ。そう、例のコロナ給付金10万円である。私は奈良市の振り込み開始日である6/10から毎日仕事帰りにATMをチェックしていたのだが、それが6/16になってやっと(←遅いっ!!!)振り込まれたのだヽ(^o^)丿 おぉ、これで2G盤が買えるわい!と大喜びした私は早速その翌日の仕事帰りにB-SELSへと直行した。尚、この日はちょうどB-SELSの開店記念日だった。
 私:こんばんは。開店2周年おめでとうございます。
 Sさん:ありがとうございます。今日は平日なのにどうされたんですか?
 私:お店の記念日を一緒にお祝いしようと思いまして。それに例の2G盤が気になってまして、もう一度聴かせていただきたかったんです。比較対象に手持ちの2U/3U盤も持ってきましたのでお願いできますか?
 Sさん:もちろんいいですよ。(まず持参した盤をかけていただく)これはA面が2UでB面が3Uなんですね... A面のマザーが1っていうのは貴重ですよ。
 私:手持ちの赤リンゴ2U/2U盤はちょっとキズがあるのでこっちばっかり聴いてしまうんです。このレコードは盤質が命ですからね。
 Sさん:確かに...。B面も良い音してますね。
 私:でもこの「The Long And Winding Road」はやはりそれなりというか、3Uの音ですよね。この前聴かせていただいた2U/2Gの異次元サウンドとは明らかに違いますもん。じゃあいよいよ2G盤のB面をかけてもらえますか?
 Sさん:いいですよ... どうですか?
 私:いやぁ、やっぱり違いますよ。「I’ve Got A Feeling」も「One After 909」も、押しの強さが一枚も二枚も上ですね。躍動感が違います。
 Sさん:いよいよ「The Long And Winding Road」です。
 私:うわぁ... オーケストラのこの臨場感はこれまで聴いたことがないものです。音像が立体的というか目の前にフワ~ッと広がるように立ち現われますね。それと、ポールの声も明らかに違います。薄皮を1枚剥いだような感じですよ。
 Sさん:これがスタンパー“G” の音なんですね。凄いなぁ...
 私:この高揚感は他の盤ではちっと味わえませんし「Get Back」のグイグイくる感じもハンパないですね。参りました。
 Sさん:ボックス・セットの赤リンゴ盤でもスタンパー2桁のしか聴いたことがありませんが、これほどの音はしてませんでした。盤質という要素も大きいですが、やっぱり “G” は別格なんですね。
 私:これいただきます!
 Sさん:いつもありがとうございます。
 私:いえいえ、こちらこそいつも良いレコードを売っていただいて感謝感謝です。今日は来てホンマによかったですわ。