shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

モノラルのブラジル盤で聴く「McCartney」

2019-04-07 | Paul McCartney
 「モノラルのブラジル盤で聴く~」シリーズ最終回はポールのファースト・ソロ・アルバム「マッカートニー」だ。本来ならこの盤は昨年末に手に入れていたはずなのだが、最初にオーダーしたドイツのセラーから “ドイチェ・ポストが送料を240%値上げした(←まぁドイツから日本までLP 1枚でだいたい €6というこれまでの料金が安すぎたのかもしれんけど、それにしてもいきなり240%とはえげつないわなぁ…)のでこれ以上商売が続けられない” とのことでキャンセルされ、別のイタリアのセラーから再度買う羽目になったため(←値段の方は €30で、送料込みで約6,000円だった...)、結局盤を手にするまで約2ヶ月もかかってしまったが、いざ針を落としてみると凄まじい轟音盤で、これなら十二分に待った甲斐があったというものだ。
 A①「ラヴリー・リンダ」ではとにかくポールのヴォーカルが近くて、まるで目の前で歌ってくれているかのような錯覚に陥ってしまう。A②「ザット・ウッド・ビー・サムシング」は何と言ってもシンバル一閃のビシーッという引き締まった音ががめちゃくちゃカッコイイ(^o^)丿 これはたまらんですわ。 A③「ヴァレンタイン・デイ」ではギターとドラムスがくんずほぐれつしながら濃厚なグルーヴを生み出していく様にゾクゾクさせられる。
 A④「エヴリナイト」もA①同様にヴォーカルが生々しいし、まるでアコギの本数が増えたかのような分厚いサウンドが気持ち良い。A⑤「ホット・アズ・サン」のタイトルにある sun はこの盤で聴くと間違いなく熱帯の太陽ではないか、と思えるぐらい音の温度(?)が高い演奏だ。A⑥「ジャンク」は静かな曲だがポールの太いベースがボーンと響き渡って演奏に一本筋が通る感じ。A⑦「マン・ウィー・ワズ・ロンリー」は “But now we're fine all the while...♪”(でも今では僕達が寂しい時なんてない)という歌詞そのもののポールの幸福感がダイレクトに伝わってきて、良い音で聴くと曲の表情まで変わるなぁ... と実感させられた。
 B①「ウー・ユー」は “これぞまさしくラウドカット!” と快哉を叫びたくなるぐらいガンガン迫ってくる演奏で、ポールのヴォーカルも元気一杯だ。B②「ママ・ミス・アメリカ」はいきなりイントロのドラムスからエンジン全開で、まるでコージー・パウエルが叩いているかのような爆裂ドラミングが快感(≧▽≦)  曲の後半部なんてもう血沸き肉躍るハードロックそのもので、マイケル・シェンカーが乗り移ったかのような鬼気迫るギター・ソロに思わずのけぞってしまう。良いか悪いかは別にして(←私はめちゃくちゃ気に入ったが...)こんな「マッカートニー」は後にも先にもブラジル・モノ盤だけだ。
 B③「テディ・ボーイ」とB④「シンガロング・ジャンク」はさすがに一息つけるが、B⑤「メイビー・アイム・アメイズド」がこれまた強烈! 何よりもまず通常盤とはポールの声の張りが違うし、ギター・ソロもまるで「天国への階段」を弾く時のジミー・ペイジ御大みたいな感じで説得力がハンパない。これはもうすべてのポール・ファンに聴いてほしい痛快無比な「メイビー・アイム・アメイズド」だ。ポールがテレビで見た狩猟の雰囲気を音楽で表現しようとしたとされるB⑥「クリーン・アクロア」はラウドカット効果でプリミティヴなパワーが大幅にアップ、ポリリズミックなドラミングやポールの生々しい息遣いなどのダイナミックなサウンド展開が面白く、それまであまり真剣に聴いたことがなかったこの曲に思わず耳が吸い付いてしまうほど引き込まれてしまった。やっぱりラウドカットはエエですな(^.^)
 ということで、長々と続けてきた「ブラジル盤のモノラルで聴く~」シリーズもこれにて終了。今回の「マッカートニー」の満足度はもちろん100点満点で、前回の「レット・イット・ビー」に続く “神棚盤” となったのだが、それもこれも元を辿ればほんの思いつきで買った「ラム」のブラジル盤がすべての始まり。それまでは各国盤の蒐集対象としてはブラジルのブの字も頭になかったことを考えると、レコードとの出会いってホンマに不思議な偶然というか縁みたいなもんがあるんやなぁと考えさせられた。