shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ロンリー・スターダスト・ダンス / さいとうみわこ

2012-09-25 | Wall Of Sound
 今日は久々に音壁ネタでいこう。「音壁JAPAN」を聴いて原メグミンが気に入った私が彼女のリーダー作「EVERLASTING LOVE」を試聴できるサイトを探していた時に偶然目にしたレビューに “さいとうみわこの名曲「ロンリー・スターダスト・ダンス」以来の衝撃” というのがあった。「ロンリー・スターダスト・ダンス」??? 知らんなぁ...(>_<)  そもそも “さいとうみわこ” って誰なん? しかし “○○以来の衝撃” という煽り文句(?)が音壁ファンの私としては気になって仕方がない。ということで、早速 YouTube で試聴してみるとこれがもう絵に描いたようなスペクター・サウンドで、そのキャッチーなメロディーといい、絶妙な音壁アレンジといい、看板に偽りナシの名曲名演である。こんなん全然知らんかったわ...(・o・)
 思わぬ拾い物に狂喜してアマゾンでこの曲が入っているアルバムを検索すると、「タイムミシン」と「Girl Meets Boy」という2枚がヒットした。貧乏コレクターの私は今回のようにアーティストに関する知識・情報が皆無に等しい時は安くてお買い得な方を買うことにしており、前者は1989年リリースの10曲入りで既に廃盤らしく中古盤が2400円から、後者は2006年リリースの18曲入りで中古盤が1300円から(←新品を2500円で買う気はサラサラない...)ということでコスパは圧倒的に後者が高いし、大好きな「ビキニスタイルのお嬢さん」のカヴァーまで入っている。しかもヤフオクでアマゾンの半値以下の500円という激安盤を発見... 私は迷わず「Girl Meets Boy」の方を購入した。
 数日後、届いた盤をCDプレイヤーにセットして、さぁこれから大音響で和製ウォール・オブ・サウンドに浸ってやるぞとワクワクしながらプレイボタンを押すと、出てきた音は予想に反してスッカスカの薄っぺらいサウンドで、YouTube で聴いたバリバリのスペクター・アレンジとは似ても似つかぬ地味なイントロにもビックリ(゜o゜)  私としては期待が大きかった分 “はぁ? 何これ???” 状態で、てっきり曲を間違えたのかと思いトラック・ナンバーを確認したが5曲目で間違いない。
 色々調べてみて分かったことだが、「ロンリー・スターダスト・ダンス」には2つのヴァージョンがあり、私が気に入ったスペクター・アレンジはオリジナルの方で、そっちは彼女が80年代前半にインディーズ・レーベルに吹き込んだ様々な音源を1枚にまとめたアルバム「タイムミシン」に収録されていたのだ。尚、インディーズ・ガール・ポップのコンピ盤「Amusement Park」に入っているのもこっちのオリジナル・ヴァージョンだ。
 私が買った「Girl Meets Boy」に入ってたのはあろうことか80年代後半にメジャー・デビュー用に再レコーディングされたリメイク・ヴァージョンで、プロデューサーが変わったからか一般受けを意識したからかは知らないがスペクター色が大きく減退しており、ありきたりなガールズポップに堕してしまっている。こればっかりは個人の好みの問題で、こっちの方が好きという人もいるかもしれないしオリジナルを知らなければこれはこれでエエと思えたかもしれないが、60年代スペクターの “あの音” が聴きたくてこの盤を買った私の耳には気の抜けた炭酸飲料みたいな平板なサウンドにしか聞こえない。再録やったら再録とちゃんと明記しといてもらわんと、何か詐欺にあったような後味の悪さが残ってしまう。まぁ自分の勉強不足を棚に上げて愚痴ってみてもしゃあないのだが、とにかく “同一アーティストによる再録リメイクにロクなモノなし” の法則は今回もやはり正しかったということだ。
 釈然としない気持ちを何とかしようとアルバム1曲目の「ビキニスタイルのお嬢さん」も聴いてみたのだが、こっちも不自然なぐらいぶりっ子してる声色と取って付けた様な歌い方でせっかくの名曲が台無しというトホホなカヴァーになっており、凹んだ気分がますます萎えていく... (>_<) 安物買いの銭失いとはよく言ったものだ。
 その後、滅多に見ない楽天オークションで偶然「タイムミシン」が出品されているのを発見、しかも700円というからアマゾンの 1/3 以下だ。当然ライバルもおらず無競争で首尾よくゲットできてめっちゃ嬉しかったのだが、紆余曲折を経て手に入れたこの盤を聞いた感想は “これこれ、やっぱりこれでっせ(^o^)丿” という感じ。スペクター信者の座右の銘である “Back To Mono” に徹底的にこだわったモノラル録音、お約束のカスタネット攻撃と轟きわたるハル・ブレイン・ライクなドラム、そして細部に至るまでフィル・スペクターの音世界を忠実に再現した器楽アレンジが一瞬にして “あの時代” へとタイムスリップさせてくれるのだ。
 作・編曲はジューシィ・フルーツのベーシスト沖山優司で、彼のマニアックなまでの拘りと優れた音楽的センスには唸ってしまう。和製ウォール・オブ・サウンドの金字塔と言えるこの「ロンリー・スターダスト・ダンス」は例の「音壁JAPAN」が気に入ったスペクターマニアにとっては必聴の1曲ではないだろうか?
さいとうみわこ / ロンリー・スターダスト・ダンス(オリジナル・ヴァージョン)

さいとうみわこ / ロンリー・スターダスト・ダンス(再録ヴァージョン)
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