shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Tokyo Jukebox 2 / Marty Friedman

2012-09-09 | Cover Songs
 冬ミン、アッキーナと数少ない演歌ネタも尽きてしまったので、今日は彼女らのヒット曲をメタル化カヴァーしたマーティ・フリードマンの「Tokyo Jukebox 2」にしよう。このアルバムはタイトルからも明らかなように、 2009年に出した J-POP ・カヴァー・アルバム「Tokyo Jukebox」の続編であり、彼がこよなく愛する J-POP の素晴らしさを世界に向けて発信していきたいという彼のライフ・ワークの一環といえる1枚だ。このブログで「Tokyo Jukebox」を取り上げた時にも書いたが、私は今時の J-POP には何の興味関心も無い人間なので、マーティがそんな J-POP をどんな風に料理するかが最大の聴き所である。
 収録曲は①「Yeah! めっちゃホリディ」(松浦亜弥)、②「涙そうそう」(夏川りみ)、③「会いたかった」(AKB48)、④「雨の慕情~舟歌」(八代亜紀)、⑤「トイレの神様」(植村花菜)、⑥「Canon a la Koto」(ヨハン・バッヘルベル)、⑦「I LOVE YOU」(尾崎豊)、⑧「素直になれたら」(JUJU feat. Spontania)、⑨「Butterfly」(木村カエラ)、⑩「Beautiful Days」(嵐)、⑪「Little Braver」(Girls Dead Monster)、⑫「また君に恋してる」(坂本冬美)、⑬「上を向いて歩こう」(坂本九)の全13曲で、原曲を知っていたのは④⑫⑬の3曲のみ。それ以外の10曲はオリジナルを耳にしたこともないし、松浦、夏川、植村、ヨハン、木村、Girls... に至ってはその名前すら全く知らなかったというお寒い状況だ。
 選曲面では石川さゆりやサザン、竹内まりやにSMAPといった大物アーティスト達の名曲をメタル化した前作の方がクオリティーは上だと思うし私の好みにも合っているが、まぁその辺はリスナーそれぞれの嗜好の問題で、実際に聴いてみた印象として基本的な作風は前作とほとんど変わっていない。
 私がこのアルバム中で一番気に入ったのは八代亜紀の2大名曲をメドレーにした④「雨の慕情~舟歌」。前半の「雨の慕情」はマーティのアグレッシヴなプレイが炸裂するゴリゴリメタル・ヴァージョン、一転して後半の「舟歌」は重厚な泣きのギターが堪能できるという感じで、テレビ東京の「ヘビメタさん」でアッキーナと共演した時のアレンジをベースにしており、彼女のヴォーカル・ラインを鋼鉄のようなギター・サウンドで見事に表現したその歌心溢れるプレイはまさに鳥肌モノ(≧▽≦)  これをキラー・チューンと呼ばずして何と呼べばいいのだろう?
Ameno Bojo - Funauta


 ④に負けず劣らず素晴らしいのが冬ミンの⑫「また君に恋してる」だ。この曲は一聴しただけで “コレはもうメタルですよ! バリバリメタルですよ!” とマーティが力説する声が聞こえてきそうな(笑)ナンバーだが、まるでギターで歌っているかのようなそのエモーショナルなプレイはまさに圧巻の一言で、メガデス脱退後日本にやってきてひたすら “ヴォーカルの存在感をギターで表現する” プレイを追求してきたマーティのメタル魂が本懐を遂げたと言っても過言ではない大名演だ。
Matakimini Koisiteru


 未知の曲では②の「涙そうそう」と⑨の「Butterfly」が良かったが、私的にはやはり耳に馴染んだ古い歌謡曲の方がしっくりくる。そういう意味でもラストに置かれた⑬「上を向いて歩こう」は必聴だ。これは彼の友人である TOTOのスティーヴ・ルカサーとの短いジャム・セッションを収録したもので、ビブラートを始めとしてそれぞれの個性が際立つプレイにはもう唸るしかないし、二人が奏でるギターの優しい音色にも涙ちょちょぎれる。目も眩むような速弾きを楽々とこなす一方でこのように聴く者の魂を揺さぶるような歌心溢れるプレイも出来るところにこそ彼の真骨頂があるのだろう。やはりマーティには昨今の軽薄 J-POPではなく、情緒纏綿たる “オール演歌&昭和歌謡” のメタル化カヴァー・アルバムを作ってほしいものだ。
Sukiyaki