shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Greatest Hits II / Queen

2011-03-29 | Queen
 私はクイーンの大ファンだが、全時代をまんべんなく聴いてきたかというとそうではなく、ライヴはともかくアルバムに関しては断然70年代支持派である。「ザ・ワークス」以降のクイーンは確かに良い曲や演奏もあるにはあるのだが、1枚のアルバムとして聴いてみると、収録曲のクオリティー、演奏のテンションの高さ、4人の個性が高い次元でぶつかり合うことによって生まれる風雲急を告げるような切迫感といった様々な面で「ザ・ゲーム」までの彼らの諸作品には及ばないと思う。しかし70年代のスリリングな展開とは又違った魅力、バンドとしての円熟を示すような佳曲が多いのも事実。そんな80年代クイーンの名曲をつまみ食いしたいという私のような我儘なファンにとって、安心ラクチン格安パックツアーのようなお買い得アルバムがこの「グレイテスト・ヒッツII」なんである。
 このアルバムはイギリス国内であの「スリラー」をも凌駕して歴代売り上げ№1を誇る「グレイテスト・ヒッツ」の続編で、「ホット・スペース」から「イニュエンドゥ」までの代表曲をほぼ網羅したベスト盤。私は個々のオリジナル・アルバムがあるから別にエエわいと思って持っていなかったのだが、今年の1月にリマスターされて再発されたのを機に、アルバムとは微妙に違うシングル・ヴァージョンやリマスター効果に魅かれて買ってみた。後期の名曲群が18曲も入って2,200円という安さも嬉しい。
 アマゾンから届いたこのCDを聴いた私はまずその音の素晴らしさにビックリ(゜o゜) 手持ちの古いCDのショボイ音とは比べ物にならないくらい音圧がアップしており、音像もめっちゃクリアで、特にフレディーのヴォーカルの生々しさの前には言葉を失う。そして今回のリマスターで一番インパクトが強かったのがジョンのベースで、それまではノッペリと他の音に埋もれがちだったのがクッキリと眼前に屹立しキレ味も格段に向上、ソリッドでキリリと締まった音でまるでゴムまりのように(←ヘタな例えですんません...)ブンブン弾むのだ(^o^)丿 乱暴な言い方をすればこのブンブン・ベースだけでもこの CD を買う価値があると思う。
 収録曲は全18曲で、日本盤のみカップヌードルCM曲⑱「アイ・ワズ・ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」がボートラとして入っており、コレがお買い得なのか蛇足なのかはファンの間で意見が分かれるところだろう。私は別にどっちでもいいが、収録時間ギリギリまで無理して曲を詰め込んだ関係で短く編集されているので、この曲が目当ての人はご注意を。
 「ホット・スペース」から唯一選ばれた②「アンダー・プレッシャー」はアメリカでは不思議なことに最高位が29位と不発だったがイギリスでは見事「ボヘミアン・ラプソディ」以来6年ぶりの全英1位に輝いた大名曲。何度も聴いていると “アイス・アイス・ベイビー~♪” なリズムを刻むベースラインが脳内リフレインを起こして病み付きになるスルメ・チューンだ。前回取り上げた愛聴盤「ザ・ワークス」から選ばれたのは③「レディオ・ガ・ガ」、⑤「アイ・ウォント・トゥ・ブレイク・フリー」、⑦「イッツ・ア・ハード・ライフ」、⑭「ハマー・トゥ・フォール」の4曲で、すべてシングル・ヴァージョンで収録というのがファンとしては嬉しい。
 86年の「ア・カインド・オブ・マジック」からは同タイトル曲①、⑨「フー・ウォンツ・トゥ・リヴ・フォーエヴァー」、⑮「フレンズ・ウィル・ビー・フレンズ」、⑰「ワン・ヴィジョン」の4曲が選ばれており、この中では AC/DC みたいなリフがカッコ良いタテノリ・ロックな⑰が一番好き。エンディングを “Just gimme gimme gimme fried chicken!” でシメるユーモアのセンスも最高だ(^.^) 美メロとタイトなリズムが見事に溶け合い、今回のリマスターで更なるパワー・アップを果たした①も昔ながらのクイーンらしさを80年代風に表現したという点で気に入っているナンバーだ。
 89年の「ザ・ミラクル」からは④「アイ・ウォント・イット・オール」、⑧「ブレイクスルー」、⑪「ザ・ミラクル」、⑬「ジ・インヴィジブル・マン」の4曲で、何と言ってもリマスタ効果抜群な⑬が必聴だ。このダイナミックなサウンドはぜひ大音量で音の洪水の中に身を委ねるようにして聴きたい。この曲はクイーンとしては異色のリズミカルなナンバーだが、プロモ・ビデオもめちゃくちゃ面白いし(←グラサン・フレディーのコミカルな動きとと増殖するブライアンが最高!クイーンのPVでは一番好きかも...)フレディーがメンバーの名前を叫んでからソロに入るという構成も楽しくて私は大好きだ。プロモ・ビデオといえば⑧も列車の上で演奏する4人の姿が疾走感溢れる曲調とバッチリ合っていて、特に最後の壁をブチ破るシーンなんか何度見てもスカッとする痛快なナンバーだ。
 実質的なラスト・アルバムとなった91年の「イニュエンドゥ」から選ばれたのは同タイトル曲⑥、⑩「ヘッドロング」、⑫「アイム・ゴーイング・スライトリー・マッド」、⑯「ザ・ショウ・マスト・ゴー・オン」の4曲で、私が大好きなのは疾走感溢れるロックンロール⑩だが、リマスター効果絶大だったのは⑥で、スティーヴ・ハウのフラメンコ・パートから一気呵成にクライマックスへとなだれ込む怒涛の展開はもう鳥肌モノだ。死を目前にしたフレディーのスワン・ソング⑯はファンとしては涙なしには聴けない。
 こーやって聴いてくるとやっぱりクイーンは別格やなぁ...と改めて痛感させられる。そんな彼らの遺した音源をブラッシュ・アップしてドドーンとリリースする今回のリマスター・シリーズ、ビートルズの時と同じく旧 CD や UK オリジナル LP との聴き比べなど、楽しみは無限に広がりそうだ。

Queen - 'Under Pressure'


Queen - One Vision


Queen - A Kind Of Magic


Queen - 'The Invisible Man'


Queen - Breakthru


Queen - Headlong


Queen - Innuendo
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