shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Works / Queen

2011-03-24 | Queen
 地震でちょっと間が空いてしまったが、気を取り直して今日からクイーン特集再開だ。前回ブライアンのソロを取り上げた時にも書いたが、私は「ホット・スペース」以降のクイーンのアルバムにはどうしても物足りなさを感じてしまう。これは良い悪いではなくあくまでも個人的な好みの問題で、 “流麗なギター・オーケストレイションと分厚いコーラスで完全武装しながらメロディアスかつハードにロックする” という、私が一番好なクイーン・サウンドがほとんど聴けないからだ。だから「ア・カインド・オブ・マジック」も「ザ・ミラクル」も「イニュエンドゥ」も決して嫌いではないのだが、「ザ・ゲーム」までのアルバムのようには楽しめなかった。しかしそんな “80年代クイーン” のアルバムの中で例外的に “愛聴盤の殿堂” 入りしたのが1984年にリリースされたこの「ザ・ワークス」である。
 ロジャー作のリード・シングル①「レディオ・ガ・ガ」を初めて聴いた時、シンセ臭いサウンド・プロダクションはあまり好きになれなかったが、ブラック・ミュージックに擦り寄った前作「ホット・スペース」から明らかに軌道修正されたポップでキャッチーな曲想には大喜びしたものだった。当時はちょうどMTV全盛の時代だったが、私にとっては American Top 40 を初めとするラジオのチャート番組がメインでMTVはあくまでもその補足的な存在だったので、 “古き良きラジオ賛歌” 的な歌詞も大いに気に入っていた。しかし私がこの曲の真価を知ったのはライヴ・エイドを見た時で、スタジオ・ヴァージョンよりも遙かにロックなノリが増していてめちゃくちゃカッコ良かったし、スタジアムを埋め尽くした大観衆が拳を突き上げて手拍子する例のパフォーマンスも圧巻だった。やっぱりこの曲はライヴ・ヴァージョンに限ります(^.^)
 ジョン作の 2nd シングル⑥「アイ・ウォント・トゥ・ブレイク・フリー」は曲だけ聴くと中々の名曲なのだが、この曲に関してはどうしても例のプロモ・ビデオを抜きに語ることは出来ない。アレを初めて見た時はブライアンのウサちゃんスリッパとかロジャーの可愛いすぎる女子高生姿とか大笑いしたが、さすがにフレディーの女装だけはインパクトが強烈すぎて頭がクラクラした。今でも曲を聴いているだけで彼のウインクや全身牛柄タイツ姿が浮かんできてしまう(笑) まぁ何やかんや言うてもツッコミどころ満載の面白ビデオ・クリップなんですけどね。
 しかしそんなシングル2曲を差し置いて私が圧倒的に好きなのがブライアン作の⑧「ハマー・トゥ・フォール」だ。コレ、ハッキリ言ってクイーン曲の中で「'39」「セイヴ・ミー」と並ぶ最愛聴曲で、彼らとしてはホンマに久々の痛快無比なロックンロール。思わず一緒に歌いたくなるようなウキウキワクワク・メロディー、聴く者をロックな衝動に駆り立てるエッジの効いたラウドなギター・サウンド、アドレナリンがドバーッと出まくるロジャーの爆裂ドラミング、そして “世界にひとつ” な流麗コーラス・ワーク(←特に You don't waste no time at all~♪ のとこなんかもうゾクゾクするわ!!!)と、私がクイーンに求める要素を全て兼ね備えたスーパーウルトラ大名演だ。フレディーも超ノリノリでシャウトしまくり、 “こんなクイーンを待っていた!!!” と叫びたくなるようなカッコ良さ!今回の地震で落ち込んでいた私の気持ちを “いつまでも凹んでられるか、クソッタレ!俺にはロックンロールがあるんじゃい!!!!!” と奮い立たせてくれたのが何を隠そうこの曲なのだ(^o^)丿
 このアルバムには大コケした前作「ホット・スペース」の失地を回復するために今一度原点回帰を図ったかのような雰囲気が濃厚に立ちこめており、良く言えばクイーンらしい、意地悪く言えば過去のヒット曲の焼き直しみたいなナンバーも見受けられるが、昔のクイーンを愛するファンとしてはそれがどーしたソー・ホワット? セルフ・コピーだろうが何だろうがあの音が聴けるだけで満足なんである。そういう意味で、「プレイ・ザ・ゲーム」に「ボヘミアン・ラプソディ」のピアノのフレーズをふりかけてレンジでチンした様な③「イッツ・ア・ハード・ライフ」も、「クレイジー・リトル・シング・コールド・ラヴ」路線のロカビリー復活が嬉しい④「マン・オン・ザ・プラウル」もめっちゃ好きだ。
 又、前作の鬱憤を晴らすかのようにブライアンのギターが唸りを上げるハードロック②「テア・イット・アップ」や美メロ連発の切れ味鋭い疾走系ポップンロール⑦「キープ・パッシング・ザ・オープン・ウインドウズ」など、どことなく大傑作「ザ・ゲーム」の小型版みたいな印象を受けるのは気のせいか?シンプルなアコギが切なさを際立たせる名バラッド⑨「イズ・ジス・ザ・ワールド・ウィー・クリエイテッド」でアルバムを締めくくるというのも70年代の彼らのスタイルそのものだ。
 このアルバムは70年代の諸作品のようにスリルとコーフンをもたらしてくれるような内容ではないが、クイーンが一番クイーンらしかった “あの時代の音” を80年代の空気の中で可能な限り再現したという意味で、昔ながらのクイーン・ファンにとってはひとしきり愛着の湧く特別な1枚なのだ。

Queen - Hammer To Fall


Live Aid 1985 Queen-Radio Ga Ga


Queen - i want to break free (high definition) + Download link