shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

A Suivre / Clementine

2010-06-03 | World Music
 クレモンティーヌにハマッてもう2週間近くになるが、いよいよ今日でクレモン祭りも最終回。3枚しか持ってなかった CD も今では17枚になり(笑)、渋谷系ミュージシャンとのワケのわからんコラボ盤やデリカシーのかけらもないヒップホップ・アレンジ盤を除き、彼女のアルバムで気に入ったものはすべて手に入れることが出来た。最初はベスト盤1枚でお茶を濁すことも考えたが、自分の愛聴曲があまり入っていなかったのと、中古で500円以下で買える盤がほとんどだったこともあって、ついつい買いまくってしまったのだ。
 ベスト盤と言えば彼女の場合、前回紹介した「アーリー・ベスト」の他にも、ボサ・ノヴァばかりに的を絞ってコンパイルした「カフェ・アプレミディ」、デビューした1987年から1996年までの7枚のアルバムからセレクトした「ア・スイーヴル」、そして1992年から2002年までのオールタイム・ベスト「ドゥ・ベスト」の計4枚が出ているが、初期の貴重な音源を数多く収録した拾遺集「アーリー・ベスト」とボサノヴァに的を絞った「カフェ・アプレミディ」以外の2枚は選曲基準が曖昧で、少なくとも私の嗜好とは少し違う。
 特にこの「ア・スイーヴル」は選曲もそうだが、収録されているヴァージョンがオリジナルとは違うトラックが全18曲中6曲と 1/3 を占めているので要注意。いわゆる “○○ミックス” と呼ばれる、オリジナルをいじくりまわしてダメにした改悪ヴァージョンのことで、これがもうウザイことこの上ない(>_<) そもそもオリジナル・テイクを超えるリミックス・ヴァージョンなんて私のこれまでの音楽人生においては数えるほどしか出会っていない。リミックスのほとんどはやみくもにビートを強調したり深いリヴァーヴをかけたり木に竹を接いだようなパートを付け加えたりとやりたい放題の挙句、オリジナルを破壊し尽くして涼しい顔なのだから呆れてモノが言えない。
 この盤でも⑦「マイ・シェリー・アモール」(キンバラ・チエコズ・オーケストラ・ミックス)、⑧「マドモワゼル・エメ」(ティー・パーティー・ヴァージョン)、⑩「カルム・タ・ジョワ」(ケン・イシイ・ミックス)、⑪「ピロー・トーク」(デジタル・ルーツ・ミックス)、⑭「パリス・ウォーク」(トウキョウ・ウォーク・ミックス)、⑯「星に願いを」(ダブ・ミックス)など、トホホなミックスだらけでウンザリさせられるのだが、一番ひどかったのが小西康陽がリミックスした①「男と女」(レディメイド・ワンマンDJミックス)だ。この小西康陽って、自身のグループであるピチカート・ファイヴでも大した作品は作ってないし、リミックスはどれもこれもワンパターンで面白みに欠けるし、絶対に過大評価されてると思う。この「男と女」でも曲想をブチ壊すような軽薄なビートで曲をケバケバしく飾り立てて反省のかけらもない。クレモンティーヌの歌声が拷問に耐えているように響く。
 とまぁこのようにベスト盤とは名ばかりの変則的リミックス集なのだが、それでも私がこの「ア・スイーヴル」を買ったのはひとえに他のどのアルバムにも入っていない激レア音源である彼女のデビュー・シングル②「アブソルマン・ジャズ」が入っていたのと、「サントロペで」の “シングル・ヴァージョン” が聞きたかったから、そして80円(!)という安値(←缶ジュースより安いもんね...)に釣られたからに他ならない。どちらも初期の彼女が持っていたジャズ・フィーリングがストレートに楽しめるトラックで、それだけでもこの CD を買って良かったと思う。
 このアルバムの収録曲の中で私が一番好きなのはやはり⑬「マリズィナ」、コレしかない。元々は1994年のアルバム「イル・エ・エル」に入っていたこの曲、バーシア1990年の大ヒット曲「クルージング・フォー・ブルージング」を想わせるオシャレなラテン系サウンドに乗ったクレモンティーヌの浮遊感溢れる彷徨ヴォーカルがたまらない(≧▽≦) とにかくどこまでもクールでありながら絶妙なポップさを保っており、大袈裟ではなく10年に一度出るか出ないかの名曲名演だと思う。こんな素晴らしい曲との出会いがあるから音楽ファンはやめられませんね(^o^)丿 

マリズィナ

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