shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ジョンのUKシングル盤特集③

2016-01-16 | John Lennon
①Whatever Gets You Thru The Night (R5998)
 この「真夜中を突っ走れ」という曲は意外なことにジョンがソロになって初めての(そして存命中唯一の)全米№1シングルなのだが、正直言って私にはそれほどの名曲とは思えない。セッション中に閃いたサビのメロディーを元にササッと書き上げてレコーディングしたら№1になっちゃった... という感じの曲だ。それはチャート・アクションにもハッキリと表れていて、1週だけ1位を記録した翌週にはもうトップ10圏外へと落ちてしまい、12位→21位→40位と急下降してしまったのだ。要するに当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったエルトンとの共演という話題性からラジオでは頻繁にオンエアされたが、飽きられるのも早かったということか。
 この曲はチャラいサックスがハバをきかせる典型的なアメリカン・ロックであり、どちらかというとデュエットしている相方のエルトン・ジョンが書いたと言った方がしっくりくるようなポップなナンバーだ。エルトンならそれで十分だが、筋金入りのロックンローラーであるジョンにとっては役不足。ジョンにはやはり「ニューヨーク・シティ」や「ミート・シティ」のようにヘヴィーなロックがよく似合う。ということで曲的にはイマイチなのだが、ジョンのヴォーカルはさすがの一言。というか、この曲はジョンのヴォーカルで “もって” いる部分が大きいように思う。言葉の速射砲を操るジョンの至芸が一番の聴き所だ。
 私が買ったのはプッシュアウト・センター型のライトグリーン・アップル・レーベルでマトリクス枝番は -1U/-1U。NMと言いながら届いてみると盤面に曇りがあって少し不安だったが、実際に音には影響がなかったので一安心だ。購入価格は£3.99(約700円)だった。
John Lennon - Whatever Gets You Through The Night (HQ)


②#9 Dream (R6003)
 “名は体を表す” という言葉があるが、この曲なんかもうその最たるもので、ジョンの浮遊感溢れる彷徨ヴォーカルはもちろんのこと、丸みを帯びたギターのサウンドから雲の上を散歩しているかのような幽玄な雰囲気を醸し出すストリングス・アレンジ、そして例の摩訶不思議な呪文 “ア~バワカワ ポッセポセ♪” のリフレインに至るまで、タイトル通りに聴く者を “夢見心地” へと誘う見事なサウンド・プロダクションだ。因みにこの曲は全米チャートで最高9位を記録したという出来過ぎのエピソードがあるが、ビルボード誌のチャート・アクションにはこれ以外にも “話題作り” 的な作為がミエミエなケースが散見されるので(←フリートウッド・マックの7週連続4位とか...笑)イマイチ信用できない(>_<)
 私が買ったのはプッシュアウト・センター型のライトグリーン・アップル・レーベルでマトリクス枝番は -1U/-1U。スピンドル・マークの無いミント状態のピカピカ盤を£3.99(約700円)で買えて大ラッキーだった。
John Lennon - "#9 Dream" 2010 Remaster


③Stand By Me (R6005)
 ジョンのソロ・アルバムでターンテーブルに乗る回数が圧倒的に多いのは74年に出た「ロックンロール」だ。私の場合、カヴァーかオリジナル作品かというのはどーでもよく、ジョンの声でバリバリのロックンロールが聴けさえすればそれ以上何も望むものは無いからだ。ヨーコ臭さが皆無なのも嬉しい(^.^)  そしてそんな愛聴盤「ロックンロール」の中でもピカイチと言える屈指の名演がこの「スタンド・バイ・ミー」だ。
  ジョンがカヴァーするとその曲はオリジナル歌手の手を離れてジョンのものになってしまう。「ツイスト・アンド・シャウト」「プリーズ・ミスター・ポストマン」「マネー」「スロー・ダウン」「ロックンロール・ミュージック」と挙げていけばキリがないが、この「スタンド・バイ・ミー」も1975年を境に “ベンEキングの曲” から “ジョン・レノンの曲” になった。その唯一無二の “声” で原曲に新たな生命を吹き込んで “自分の曲” にしてしまうのがジョン・レノンというシンガーなのだ。
 この「スタンド・バイ・ミー」はバックの演奏も圧倒的に、芸術的に、超越的に素晴らしい。中でもザクザク刻むギターのリズム・カッティングは白眉と言えるもので、絶妙なテンポ設定によってタメを作り、まるでカウント・ベイシー楽団のフレディー・グリーンのように豊饒なグルーヴ感を生んでいる。まさに歌良し、演奏良し、グルーヴ良しと三拍子揃った大名演だ。
 私が買ったのはプッシュアウト・センター型のライトグリーン・アップル・レーベルでマトリクス枝番は -1U/-1U。購入価格は£3.99(約700円)だった。
John Lennon - Stand By Me (Take 2, 1975 Original Studio Version)

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