goo blog サービス終了のお知らせ 
不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ウクレレ・ビートルズ 2

2009-02-04 | Beatles Tribute
 昨日は「ウクレレ・ビートルズ」をボロクソにけなしてしまったが、今日はその続編「ウクレレ・ビートルズ 2」である。このシリーズは元々ウクレレ・フリーマガジンの「ローリング・ココナッツ」誌の企画で生まれたもので、 “ビートルズのカヴァーをウクレレで” というアイデアそのものは良かったが、いかんせん肝心の参加アーティストに問題があった。下らない演出に凝ること自体、リスナーだけでなくウクレレという楽器さえもバカにしているということに気付かない愚かな連中だ。
 しかしこの続編の参加メンバーを見てまず気付くのは、前作でそのようなアホバカ演奏を聞かせた連中がキレイサッパリ外され、マトモな演奏を聴かせる真のウクレレ・アーティストだけが参加しているということである。多分リスナーの苦情が多数寄せられたのだろうが、おかげで本作は実に聴き応えのあるものになっている。ビートルズの楽曲の素晴らしさは今更言うまでもない。ウクレレの素朴な音色と絶妙なスイング感も同様だ。だからしっかりしたテクニックと溢れんばかりの歌心でもってストレートに演奏すればいい、ただそれだけのことを今回参加した14組のアーティスト達はきっちりとやっているのである。
 まずはトップの①「ヘルプ」(今野英明とニューメキシコ)でいきなりガツーン!とやられる(>_<) ソンブレロをかぶったマリアッチの一団が目に浮かぶようなメヒコなサウンドにウクレレがベストマッチで、ビートルズ好きなアミーゴたちもグラシャス!と泣いて喜びそうな演奏だ。余計な音を足さないシンプルな演奏に耳が吸い付く②「抱きしめたい」(ハーブ・オオタJr)や③「イエスタデイ」(IWAO&吉川忠英)もごっつうエエ感じ。⑤「涙の乗車券」(ウクレレ・クラブ・ド・パリ)はハスキーな女性ヴォーカルが醸し出す哀愁が胸をしめ付ける(≧▽≦) ⑥「ペイパーバック・ライター」(ジェイムズ・ヒル)はウクレレの魅力全開の軽やかで可愛らしいヴァージョンに仕上がっているのが微笑ましい。
 定番化してきたリズムボックスとウクレレの組み合わせが実に楽しい雰囲気の⑧「エイト・デイズ・ア・ウイーク」(ベイビー&サイダー)には結構ハマッてしまった。リラクセイション感覚溢れる⑨「ヘイ・ジュード」(ラウラ feat.サクラ)は癒し効果抜群の女性ヴォーカルが◎。哀愁舞い散る⑩「エリナー・リグビー」(ダニエル・ホー)やどことなく懐かしい感じがする⑪「ペニー・レイン」(ローズ・アンリミテッド)もウクレレでしか出せない味わいがたまらない。
 そしてやはりというべきか、日本ウクレレ界の第一人者の歌心溢れるプレイに圧倒される⑫「シー・ラヴズ・ユー」(ペティー・ブーカ&キヨシ小林)は①と並ぶベスト・トラック。抜群のテクニックをそれと感じさせずに聴かせてしまうワザは凄いとしか言いようがない。まぁこれだけ内容が素晴らしいと「ビートルズ1」のベタなパロジャケにも愛着が湧いてくるというものだ。これはローリング・ココナッツ誌が捲土重来を期して前作の汚名返上に燃え、見事に名誉挽回に成功した起死回生の1枚だ。

ヘルプ!

ウクレレ・ビートルズ

2009-02-03 | Beatles Tribute
 昔はウクレレというとまず「夏」、「ハワイ」、「高木ブーのカミナリ様」というイメージしかなく正直言って軽く見ていたのだが、ライル・リッツという人のジャズ・ウクレレLPを聴いてその心地良いスイング感に開眼し、「アンソロジー」や「コンサート・フォー・ジョージ」のDVDを見てすっかり気に入ったお調子者の私はそれ以降ウクレレというと喜び勇んで買うようになった。
 そんなある時、ヤフオクでこの「ウクレレ・ビートルズ」を発見、「ヘルプ」のカラフルなパロジャケも気に入ったので速攻で落札した。1580円也。しかし好事魔多しで、このCDは全17曲中数曲の素晴らしいトラックを除けば残りはしょーもない演奏のオンパレードだった(>_<) 例えば①「キャント・バイ・ミー・ラヴ」(関口和之&IWAO)はいきなり「いらっしゃいませ、毎度ありがとうございます...」と自販機か何かの自動応答メッセージで始まり、その後あろうことかウクレレ演奏のバックでずーっとこのダサいSEが鳴り続けるのである。アホか!気が散ってまったく音楽に集中できない。プロデューサー、頭おかしいのとちゃいますか?コイツらはラストの⑰「ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア」でも同じ様なダサい過剰演出でこのCDに泥を塗っている。あんまり不快なのでいつも飛ばして聴いていたが、今回ブログに書くにあたって久々に聴いてみて、やっぱりめちゃくちゃ鬱陶しかった(笑) もう二度と聴かない。
 ⑥「カム・トゥゲザー」(勝誠二)も別にウクレレで演る必要ないんちゃう?というようなワケのわからん演奏で聴いてるこっちの気持ちが萎えてくる。⑨「フール・オン・ザ・ヒル」(知久寿焼)に至ってはあろうことかウクレレを使って前衛まがいのキモチ悪い演奏に終始しているのだ。ポールの大名曲に対して何たる無礼!このCDは「ウクレレ・ビートルズ」なのだ。ビートルズの素晴らしい楽曲の数々をウクレレ独特の気持ちのいいサウンドでストレートに聞かせてナンボやないんか?勘違いもはなはだしい。それ以外にもただ何となくウクレレを使ってみましたというようなダラダラとした演奏が続き、ウクレレ好きのビートルズ・ファンを自認する私を言いようのない失望感が襲う。
 ハズレか...?しかしそんな私を救ってくれたのが、テンポを自在に変えながら歯切れの良いプレイを聞かせてくれる②「プリーズ・プリーズ・ミー」(バンバンバザール)、ウクレレとリコーダーという素朴な楽器の共演で実に心が和む③「夢の人」(栗コーダーカルテット)、4弦しかないウクレレという楽器で見事にビートルズの曲をスイングさせた⑦「オール・マイ・ラヴィング」(キヨシ小林&ウクレレ・スウィング・ギャング)、リズムボックスの単調なビートと軽快なウクレレの音色が不思議な調和をみせる⑭「ミッシェル」(ワタナベイビー)の4曲で、これらのトラックはめちゃくちゃ気に入っている。そのどれもがウクレレでビートルズの楽曲の魅力を上手く引き出していて、それまでのマイナス要素を帳消しにしてお釣りがくるぐらい素晴らしい演奏なのだ。上記のアホ連中とはアーティストとしての貫目が違うということだろう。まぁ1曲400円の4曲入りCDと考えれば腹も立たんか...(笑)

オールマイラヴィング

ザ・ビートサウンド・クラブ 【赤盤】 さっちゃん

2009-01-28 | Beatles Tribute
 ビートルズ・カヴァーの世界もついに来るとこまで来たか... と実感させられたCDがこの「ザ・ビートサウンド・クラブ【赤盤】/ さっちゃん」という子供向けCDだ。ジャケットは一目で分かる「プリーズ・プリーズ・ミー」のパロディーで、ファブ・フォーの代わりに可愛い動物のイラストが描かれている。レーベルはアップルならぬイチゴ、子供向けCDを謳っているわりには中々細部にも凝っている。中身はというとこれがもう爆笑モノで、ビートルズの楽曲演奏をバックに半ば強引に童謡を歌っているのだ。コード進行とか難しい音楽理論はよく分からないが、コレがとにかくよく出来ている。
 例えば「オブラディ・オブラダ」のピアノのイントロに続いて歌われるのは ”Desmond has a barrow in the market place” ではなく「あるぅ日 森の中~♪」...①「もりのくまさん」...だ(笑) 頭の中でイメージしてみてもらえばわかるが、これがまたコワイくらいピッタリとハマッていて、もう見事というかおバカというか、開いた口がふさがらない。全14曲こんな調子で笑わせてくれるのである。「ホエン・アイム64」そのまんまの②「五匹の子ぶたとチャールストン」はバック・コーラスから鐘の音までしっかりビートルズ・サウンドを模倣していてニヤリとさせられること間違いなし。
 イントロなしで始まる③「大きな栗の木の下で」は「プリーズ・ミスター・ポストマン」、強引にハードロックにしてみましたという感じの④「おはなしゆびさん」は「バースデー」、イントロがしっかりブギウギ・ピアノしてる⑤「ねこふんじゃった」は「レディー・マドンナ」、「さっちゃ~ぁぁぁんはねぇ~♪」で始まる⑥「さっちゃん」は「ミスター・ムーンライト」のパロディーだ。「抱きしめたい」のイントロで始まる⑦「小さな世界(イッツ・ア・スモール・ワールド)」は随所に挿入される手拍子がめっちゃエエ感じ(^o^)丿 巧妙にビートルマニアの秘孔を突いてきまんな。
 「イン・マイ・ライフ」調の⑧「いぬのおまわりさん」は間奏のバロック風ピアノまでご丁寧に再現しているし、⑨「ドレミのうた」ではイントロ部分は童謡そのままなのだが0分31秒からいきなり「涙の乗車券」のリフが乱入してきて笑わせてくれる。ただ、後半部のリフレインがないのが残念。「恋する二人」のハーモニカで始まる⑩「アイアイ」、途中でゾウの泣き声が入る「ルーシー・イン・ザ・スカイ」な⑪「ぞうさん」、「ロール・オーヴァー・ベートーベン」のイントロを使っただけという感じであまり芸のない⑫「とんでったバナナ」、「ジョンとヨーコのバラード」でのポールのバラケたドラムの雰囲気まで上手く再現した⑬「おもちゃのチャチャチャ」と続いていよいよラストの⑭「大きな古時計」だ。
 「レット・イット・ビー」の例のイントロに続いて「おぉ~きな のっぽの古時計~♪」...これは凄い!テンポや旋律が似ているせいもあるのだろうが、めちゃくちゃオモロイッ!!! 目からウロコとはこのことだ。ゴスペル風のバック・コーラスや本物そっくりのギター・ソロも含め、2つの曲がモノの見事に溶け合い、違和感は微塵も感じられない。ぜひポールに聴いてほしい1曲だ。
 尚、この【赤盤】には姉妹編「【青盤】/ ゲゲゲの鬼太郎」があり、そちらではアニソンとビートルズとが見事に合体!「ミッシェル」風のイントロに続いていきなり「ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲ~♪」とか、「バック・イン・ザ・USSR」のジェット音に乗って飛んでくる鉄腕アトムとか... ビートルズ・ファンならハナシのネタに聴いておいて損はないと思う。

大きな古時計

カブトムシ外伝 / 王様

2009-01-24 | Beatles Tribute
 初めて王様の「深紫伝説~ディープ・パープル日本語直訳メドレー」を聴いたのは今から十数年も前のことで、ちょうど当時の洋楽ロックに見切りをつけた頃だった。右を見ても左を見てもただうるさいだけの騒音みたいなグランジ・オルタナ系ロックに辟易していた私の耳に懐かしい「ハイウェイ・スター」のイントロが突き刺さった時、思わず「おぉ~!!!」と叫びそうになったが、出てきた歌詞は「高速道路の星~♪」... 何なん、これ??? 続いて「速さの王様~♪」「燃えろ~♪」「湖上の煙ィ~♪」「オレの彼女は東京出身~♪」「変わった感じの女~♪」「黒い夜~♪」「宇宙のトラック野郎~♪」と、次々とあのパープルの名曲たちが竹を割ったような直訳の歌詞を伴って登場、もう “可笑しくって涙が出そう” な微笑み返し状態だった。日本語直訳ロックというユニークなスタイルのため、ついついお笑い系の単なるパロディー・ソングとして見てしまいがちだが、なかなかどうして演奏の方はかなりオリジナル・ヴァージョンに近い形で忠実にコピーされており、実に高い完成度を誇るパープル・メドレーだった。その後も「鉛の飛行船伝説」(ゼッペリン)、「転石伝説」(ストーンズ)、「浜っ子伝説」(ビーチ・ボーイズ)、「接吻伝説」(キッス)、「虹伝説」(レインボー)、「いとしのオイラ/白あんこ伝説」(エリック・クラプトン)などのケッサクを連発、とにかくオモロくて楽しい音楽には目がない私は大喜びで聴きまくったものだった。そして王様がデビュー10周年を記念して企画したのが長年の悲願だったビートルズの直訳カヴァー。しかし残念ながらオリジナル曲は訳詩の許可が下りなかったとのことで、それなら初期ビートルズがカヴァーした曲をカヴァーしてやろうじゃないかという、アイデアと執念の勝利のような盤がこの「カブトムシ外伝」なのだ。お約束のパロジャケは言わずもがな、帯は東芝のフォーエヴァー帯を茶化し、レーベルはアップルならぬスイカにちゃーんとカブトムシがくっついているという芸の細かさにニヤリとさせられる。収録曲は①「ひねってワオ!」②「お願い郵便屋さん」③「踊るベートーベン」④「君に首ったけ」⑤「リジーにクラクラ」⑥「月光おじさん」⑦「長身サリー」⑧「男子」⑨「ゼニー」と、もう笑いが止まらない。特に「待って!」で始まる②なんかもう日本語直訳ロックの枠を超越して曲と日本語詞が何の違和感もなく一体化しており、ギャグがアートに昇華する瞬間を味わえる。“Well, I talk about boys”を「あぁ~男子の話♪」にしてしまう⑧や“Now give me money, that’s what I want”が「ゼニくれ!俺は欲しい~♪」と叫び倒す⑨もお見事!初期ビートルズの代名詞とも言うべきハンド・クラッピングの多用も嬉しい。これら9曲をメドレーにした⑫「カブトムシキング・メドレー」(←クリックでメドレーPVが見れて、しかも全曲試聴できます!)も秀逸だ。そして残る2曲が王様のオリジナルで、「カム・トゥゲザー」そっくりの⑩「米とげ、ザ~ッと」はイントロの“Shoot me!”が「しゃりー」、お米の上手な研ぎ方を解説する歌詞もホンマよーやるわ(^_^) ⑪「Hey 柔道一直線」も「ヘイ~ジュー... どぉ一直線♪」という具合で大ボケをかまし、最後はスポ根スピリッツ溢れる大合唱に... 2曲とも演奏は細部まで原曲にソックリだ。好っきゃわぁ、こーゆーの(^o^) 最後っ屁のようなショボいピアノの和音(「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」のパロディ)に続いてサーッというノイズと共に「コレシカ ホウホウガ ナカッタ、コレシカ ホウホウガ ナカッタ...」... ペパーズのインナー・グルーヴごっこだ(笑) ホンマに最後の最後までマニアックなコダワリを見せてくれる。このように盤の隅々にまで王様のビートルズへの愛情が満ち溢れているこのCD、シャレのわかるコアなビートルズ・ファンなら絶対に「買い」ですぜ!

Sgt. Pepper's lonely hearts club band 王様 Beatles medley(1/2)

Beatles Medley / Stars on 45

2009-01-20 | Beatles Tribute
 私が高校生の頃、有名な演歌のオイシイ部分だけをつなぎ合わせてメドレーにした「演歌チャンチャカチャン」という曲がヒットしており、その一方で巷では「なんちゃってオジサン」なるものが話題になっていた。そこで東芝EMIは気でも狂ったのか、その頃ヨーロッパでカフェ・クリームというグループがヒットさせていた大胆なディスコ・アレンジのビートルズ・メドレーに「ビートルズなーんちゃって!?」というふざけた邦題を付けてリリースしたのだ。アビー・ロードを渡るビートルズに向かっておどけたポーズを取る変なオッサンのイラストが描かれたトホホなジャケットのレコードをレジに持っていくのがめっちゃ恥ずかしかったのを今でも覚えている。
 それから3年経ったある夏のこと、ラジオからとんでもない曲が流れてきた。今度はオランダのあるプロデューサーがジョン、ポール、ジョージに声がそっくりなスタジオ・ミュージシャン達を集めて作ったスターズ・オンというグループのビートルズ・メドレーだ。カフェ・クリームの場合はただ単に、原曲のメロディーを拝借してディスコ調にしてみましたという、いわばビートルズが持つ多くの側面の中の一つを取り出して活用したにすぎなかった。ところがスターズ・オンはビートルズの聖域に真正面から堂々と接近し、ヴォーカルからバックのサウンドの細部に至るまでそっくりに再現して見せたのでシーンは騒然となった。邪道だ、冒涜だと言う人達もいた。しかし私には、ここまでやってくれたらすべてを許せてしまうという最高のキメ方で、ビートルズの楽曲群が持っている魅力をアピールしているように思えた。この曲は当時全米チャート1位を独走していたキム・カーンズの「ベティ・デイヴィスの瞳」を抜いて全米№1に躍り出た。10年以上も前に解散したグループの、しかもコピー・バンドが演奏するメドレー物がである。この曲がどれほどの衝撃性を持っていたかわかろうというものだ。
 ディスコ・ビートにハンド・クラッピングを被せたイントロ部分が一通り終わった後「ワン、トゥー、スリー、フォー!」のカウントから「ディサプンワンスビフォ」とジョンそっくりのヴォーカルが入ってきた瞬間、全身に電流が走る。この曲はこの一瞬のために存在すると言い切ってしまいたいくらいの衝撃だ。ただ、シングル・ヴァージョンはビートルズに関係のない「シュガー・シュガー」で時間を浪費しており曲数も8曲と少ないので×。オススメは30曲入りのロング・ヴァージョンの方で、特に後半部で意表を突いて「マイ・スウィート・ロード」のイントロのアコギ・カッティングが「ジャンジャンジャジャジャン~♪」と入ってくる所がたまらない(≧▽≦) メドレー物というのは選曲も含めて、どの曲の次にどの曲を持ってきてそれらをどう繋ぐかが腕の見せ所なわけだが、メジャーなヒット曲から隠れ名曲に至るまで、巧くテンポを合わせて絶妙のタイミングで繋がれており、16分を超えるロング・ヴァージョンがまるで一つの「ビートルズ組曲」であるかのように一気呵成に聴けてしまう。見事な音楽的センスという他ない。これはビートルマニアなプロデューサーが企画した、ビートルズ・クローンによる、ビートルズ・ファンのための、ビートルズ愛に満ち溢れた1曲だ。

Stars on 45 - Beatles medley (Dutch videoclip)

I Am Sam

2009-01-17 | Beatles Tribute
 私は音楽は三度のメシよりも好きなのだが、映画はあまり見る方ではない。この「アイ・アム・サム」も様々なアーティストのビートルズ・カヴァーが随所に流れる映画だからというだけの理由でレンタルした。しかし見始めてすぐにそんなことはすっかり忘れてしまうほど画面に引き込まれていき、父娘の心温まるやり取りのシーンの数々に柄にもなく(笑)感動してしまった。父親サム役のショーン・ペンの鬼気迫る演技、娘ルーシー役のダコタ・ファニングのもう言葉に出来ないくらいの愛らしさ、そしてここぞ!という所で流れてくるビートルズの楽曲がこの作品を一層見応えのある素晴らしいものにしていた。
 これはそんな「アイ・アム・サム」のサントラ盤である。だからもちろんCD単体で一つのビートルズ・トリビュート・アルバムとして楽しむことも可能である。しかしそれではこのアルバムの素晴らしさを100%体験したことにはならない。この盤はぜひとも映画を見た後で聴いてほしい。そうすることによって、その曲が流れてきたシーンが心に浮かんできて映画の感動がよみがえる。例えば①「トゥー・オブ・アス」(エイミー・マンとマイケル・ペンの夫唱婦随デュエット)は映画の最初と最後に流れるのだが、1回目はサムが赤ん坊のルーシーを抱っこしてスタバで働くシーン、2回目はルーシーを取り戻したサムが彼女のサッカーの試合で審判をしながら一緒に芝生の上を走り回るシーンで、どちらも歌詞の「これから二人で...」にピッタリ合っている。新しい保護者に引き取られていったルーシーに花束片手に会いに行ったサムが陰からじっと彼女を見つめ、結局会わずに引き返してくる切ないシーンで流れる⑤「悲しみはぶっ飛ばせ」(エディ・ヴェダー)なんかもうたまらない。父親と引き離されるのを恐れて施設を逃げ出したルーシーとサムが夜の公園で遊ぶシーンで流れる⑥「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」(ベン・ハーパー)、サムが仲間たちと共に風船を持ってアビー・ロードさながらに横断歩道を渡るシーンに流れる③「アクロス・ザ・ユニヴァース」(ルーファス・ウェインライト)... 歌詞の内容とそれぞれのシーンとが密接に結びついており、ビートルズ好きにはたまらない映画になっている。カヴァー・ソングとしての出来から言うと、ルーシーが赤い紙ヒコーキを拾うシーンで流れた②「ブラックバード」(サラ・マクラクラン)とエンド・ロールのバックで流れた⑦「マザー・ネイチャーズ・サン」(シェリル・クロウ)の2曲がダントツに素晴らしい。90年代以降の洋楽に疎いのでサラ・マクラクランという人は恥ずかしながらこの盤で初めて知ったのだが、もうクラクラするほど(笑)見事なヴォーカルを聴かせてくれる。彼女に歌われて曲が喜んでいるような、心に染みわたる名唱だ。映画に無関係な⑫~⑳に関してはハッキリ言ってオマケみたいなモンで、ヘザー・ノヴァの⑬「恋を抱きしめよう」とエイミー・マンの⑱「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」の2曲以外はクオリティー・ダウンの感が否めない。尚、⑳に日本盤とUK盤で違う曲が入っていたりとかUS盤は17曲しか入ってないとか色々とややこしいのでこれから買おうという人は注意が必要だ(←大した問題じゃないけど...)。 それにしてもルーシー、ホンマに可愛いかったなぁ... (≧▽≦)

Sarah McLachlan - Blackbird
コメント (4)

An Atlanta Tribute To Sir Paul McCartney

2009-01-03 | Beatles Tribute
 私はレコードであれCDであれ、ジャケット・デザインを重視する。音楽を聴きながらジャケットを聴いているといってもいいかもしれない。だから音源のみで装丁のない「ミュージック・ダウンロード」などというものは私にとっては邪道以外の何物でもない。ロックでもジャズでも、音楽を聴いている時には必ずジャケットが思い浮かぶ。ビートルズの「ラバー・ソウル」はあの歪んだ写真でないと「ラバー・ソウル」にならないし、「サージェント・ペパーズ」の万華鏡の如き音世界を表現するにはあのカラフルなジャケットしかなかったように思う。「リヴォルヴァー」のサイケなサウンドはあのモノクロのリトグラフと密接に結びついているし、それはジャズの「サキソフォン・コロッサス」や「クール・ストラッティン」でも同様だ。ましてやそのアーティストへの愛情やリスペクトの度合いが勝負を決めるトリビュート物となると更にジャケット・デザインのセンスが問われてくる。そういう意味でビートルズ関係はパロジャケの宝庫なのだが、解散後のソロ・ワークス、特にポール関連で面白カヴァー・カヴァー(笑)を見つけるのは難しい。そんな中で私のイチオシがこの「ラヴ・イン・ソング~アトタンタ・トリビュート・トゥ・サー・ポール・マッカートニー~」だ。要するにジョージア州アトランタの地元ミュージシャンが一堂に会したポールへのトリビュート盤なのだが、元ネタであるポールの1stソロ・アルバム「マッカートニー」がテーブルの上にサクランボをたくさん並べていたのに対し、こちらは桃がいっぱい並んでいる。なぜ桃なのか... ジョージア州は「ピーチ・ステイト」とも呼ばれており、桃はジョージア州のシンボルなのだ。中々ヒネリが効いている。参加ミュージシャンはローカルなメンツばかりで知っているのは「ジョージア・サテライツ」のメンバーのみだが、かなりの力作が揃っている。中でも②「バンド・オン・ザ・ラン」(ソノママ ←変な名前!)、③「マイ・ブレイヴ・フェイス」(スター・コレクター)、⑤「ジェット」(ブラックライト・ポスターボーイズ)、⑧「レッティング・ゴー」(ヴァン・ゴッホ ←何者やねん!)、⑩「アナザー・デイ」(ポール・メランソン)といった、原曲に忠実なアレンジのトラックが気に入っているのだが、どれか1曲といわれれば意表を突いた女性ヴォーカルが楽しい⑥「ガールズ・スクール」(キャットファイト ←コレもふざけた名前やなぁ...)を挙げたい。ポールの作った軽快なロック曲がまるでシーナ&ロケッツのようなガレージ・ロック・サウンドに形を変え、実にカッコいいヴァージョンに仕上がっている。全20曲一気聴きしてみて、改めてポールの天才メロディー・メーカーぶりを再認識させられた。まさにカヴァー・アルバム・ハンター冥利に尽きる面白いCDだ。

Star Collector - My Brave Face

Sgt. Pepper's / Big Daddy

2009-01-02 | Beatles Tribute
 一瞬「正月からいきなりサージェント・ペパーズかよ」と思われたかもしれないが、よくよく見れば福助もマリリン・モンローもいない。演奏しているのはビッグ・ダディという、最近の曲を50'sのスタイルで聴かせるロカビリー・バンドで、この盤ではビートルズの「サージェント・ペパーズ」を丸ごとロカビリー仕立てでカヴァーしているのだ。アルバムはコースターズ風ドゥー・ワップ①「サージェント・ペパーズ」で幕を開ける。お約束の指ぱっちんと「ワワワゥワァ~」コーラスがのっけから炸裂、要するにアメリカ版シャネルズだ。②「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ」はジョニー・マティスの「恋のチャンス」そのもので、チープなストリングスが雰囲気を盛り上げる。③「ルーシー・イン・ザ・スカイ」はジェリー・リー・ルイスが乗り移ったかのようなブギウギ・アレンジに大爆笑(^o^)丿 人気コメディー番組「アイ・ラブ・ルーシー」のパロディーも織り交ぜながらの火の玉ロックなプレイが最高だ。④「ゲッティング・ベター」の元ネタは分からないが、50's風R&Bバラッドになっている。⑤「フィクシング・ア・ホール」はディオン&ザ・ベルモンツの「ワンダラー」と見事に一体化していてまたまた大爆笑!もう面白すぎて腹筋が痛い(>_<) コイツら、かなり強力におバカです。そして⑥「シーズ・リーヴィング・ホーム」は何とポール・アンカの「ダイアナ」だ!あのバラッドがこんな風になるなんて...(゜o゜) この奇抜な発想を音楽的に高度な次元で結実させるアレンジ・センスは素晴らしい。⑦「ビーング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト」はフレディー・キャノン風の、メロディアスなビートが印象的なロックンロールに大変身。最大の難曲⑧「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」はフルート、アコベ、ボンゴをバックに詩の朗読スタイルで処理しており、ワケのわからん前衛ジャズみたいだ。⑨「ホエン・アイム64」はドミノスの「60ミニット・マン」のアレンジで、めっちゃ洒落たドゥー・ワップに仕上がっている。⑩「ラヴリー・リタ」はエディー・コクラン風ロカビリーがカッコイイ。⑪「グッド・モーニング・グッド・モーニング」は完全アカペラの大胆なドゥー・ワップ・アレンジで原曲の面影はかけらもない。タイトル曲のリプリーズ⑫を経てラストの⑬「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」はバディー・ホリーの「ペギー・スー」だ。プロペラ音のSEが暗示するのは例の飛行機事故。ラストの「ガ~ン」の代わりに爆発音と「音楽が死んだ日」を伝えるDJの声... 思いっ切り笑わせといて最後はブラック・ジョークでシメるとは、コイツらただモンやないな。そうそう、最後にしっかりテープの逆回転も入ってるし(笑) ホンマにこーゆー「おバカ」なアルバム好っきゃわぁ...(≧▽≦) シャレのわかるオールディーズ&ビートルズ好きにオススメの1枚。

ビッグダディ

フロム・リヴァプール・トゥ・トーキョー Vol. 2

2009-01-01 | Beatles Tribute
 あけましておめでとうございます。去年の10月から軽い気持ちで始めたこのブログも何とか新しい年を迎えることが出来ました。今年も楽しくてノリのいい音楽を発掘・紹介していきたいと思いますのでよろしくお願いしますm(__)m
 
 さて、2009年の1発目はビートルズの曲を日本人アーティスト達がカヴァーした作品のコンピレーションCDで、その名も「フロム・リヴァプール・トゥ・トーキョー Vol. 2」。ド派手なジャケットは66年に出たビートルズのベスト盤「オールディーズ」のパロディーだ。それにしてもフジヤマ、ゲイシャ、スモウ、ゴジラ、新幹線、東京タワーと、中々良く出来たジャケット(パンダは余計やろ!)である。中身の方は70'sから90'sまでを中心に、ヴァラエティーに富んだアーティスト達のカヴァーが収められている。3人組ガール・バンド、ペブルズの①「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」はやる気があるのかないのか分からんような脱力ヴォーカルに大爆笑。平山みきの③「ア・ハード・デイズ・ナイト」はディキシー・ジャズ風のアレンジと彼女のユニークなヴォーカル・スタイルの相乗効果で実に斬新で魅力的なカヴァーになっている。CASHの④「すてきなダンス」はアコギ+ヴォーカルのみのシンプルさが新鮮だし、⑦「アイ・ニード・ユー」はスライドギターを上手くフィーチャーしていて2曲共に耳に残るトラックだ。ザ・スパイダースの⑤「エニー・タイム・アット・オール」は「エニタィマトゥオゥオゥオゥ...ハァッ!」でイスから転げ落ちる。恒松正敏の⑥「悲しみはぶっとばせ」は原曲に忠実なアレンジながらも随所で爆裂するバズーカ・ドラムとフリーキーなギター・ソロがインパクト大。そのフリーキー・トーンは⑪「ノーウェア・マン」でも大活躍で、サイケな世界を見事に表現している。これはめっちゃ気に入った!ザ・ピーナッツの⑨「ノルウェーの森」はセルメンのカヴァーを下敷きにしたアレンジで、ベタな昭和歌謡だけでなくこんなカヴァーもこなしてしまう彼女らのポテンシャルはホントに凄い。特に後半部の怒涛の追っかけコーラスには圧倒される。この盤の収録曲の中で一番有名なのが金沢明子の⑫「イエロー・サブマリン音頭」だろう。大瀧詠一プロデュースのこの曲、コロンブスの卵的発想でビートルズの楽曲を音頭仕立てにしたセンスが素晴らしい。ポールが大絶賛したのも頷ける。ザ・サーフコースターズの⑭「シー・セッド・シー・セッド」はラウドなギターをフィーチャーし、女性ヴォーカルのヘタウマ効果(?)も相まって、リヴォルヴァーな音世界を上手く再現している。ポールの大ファンを自認し、あのブッチャー・カヴァーを28万円で購入したという藤田朋子の⑱「アイ・ウィル」は、とても女優の余技とは思えないような見事な出来で、ドゥー・ワップ・スタイルのアカペラ・コーラスをバックに堂々たる歌いっぷり。この曲のカヴァーでは私的トップ3に入る出来ばえだ。イルカの⑲「ジュリア」はいつ「なごり雪」にすり替わってもおかしくないようなアレンジが微笑ましい。浜田麻里の⑳「ヘルター・スケルター」はメタル・クイーンの面目躍如たる彼女のハイ・ノートが炸裂、B'z松本さんのラウドな爆裂ギターも圧巻だ。これだけ楽しめて1,600円(ヤフオク)なら超お買い得といえるだろう。

イエローサブマリン音頭

Have Yourself A FAB-ulous Little Christmas

2008-12-25 | Beatles Tribute
 ファブ・フォーのクリスマス・アルバム第2弾である。Vol.1が前期の曲が中心だったのに対し、このVol.2は中~後期の曲を中心にセレクトされており、ちょうど「クリスマス・アルバムの赤盤/青盤」といった塩梅だ。まずはビートルズ・パロジャケの王道、アビー・ロードを歩くサンタさんが微笑ましい。もみの木で「ビートルズ・1」を模ったVol.1と共にさすが笑いのツボを心得ている。中身の方もVol.1同様ビートルズ・ネタが満載で、めちゃくちゃ笑わしてもらった。まずは①「サンタが街にやってくる」、曲はもろ「ホエン・アイム64」なのだが1分~1分26秒までの間はそこに更に「ハニー・パイ」が憑依するという、めっちゃ手の込んだ3曲合体の離れ業を楽々とこなしている。コーラス・ハーモニーのジョージのパート「ア~ア~ア~」は本人が歌っていると言われたら信じてしまいそうなくらいにそっくりだ。シタールをフィーチャーした例のイントロに続いて始まる「ノーウェジアン・ウッド」改め②「サイレント・ナイト」はもうどっちが元歌か分からなくなるくらい2曲が渾然一体となっており、2分23秒からのタンバリン連打にも大笑い。間を生かした歌い方から絶妙なコーラス・ワークまで完全に「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホェア」化された③「ザ・クリスマス・ソング」... その周到な作り込みはもうパロディーの域を超えている。シタール全開の④「ゴッド・レスト・イー・メリー・ジェントルメン」は「ラヴ・ユー・トゥ」と区別がつかなくなるほどだし、「サン・キング」と寸分違わないイントロから始まる⑤「リトル・ドラマー・ボーイ」は「アビー・ロード」B面4曲目に差し替えてもそのまま「ミーン・ミスター・マスタード」にすんなりと繋がりそうだ。「オー・ダーリン」調の⑥「ディア・サンタ」、特にバックのギターなんかどこをどう聴いても本物そっくり。「エイオッ」という掛け声から始まる⑦「ホワット・チャイルド・イズ・ジス(グリーンスリーヴズ)」、まさかこのイギリス民謡が「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウイープス」になるなんて夢にも思わなかったが、2曲が完全に融合しており全く違和感を感じさせない。クラプトンが特別参加しているかのようなギタープレイといい、本人歌唱で十分通りそうなジョージのヴォーカルといい、ビートルズ・ファン冥利に尽きる面白さだ。ヴォーカルからバックの演奏まで見事に「レヴォリューション1」と化した⑧「ブルー・クリスマス」は「シュビ・ドゥワ」コーラスでコーヒーを吹いてしまった(>_<) 威勢のいいトランペットのイントロから「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」全開の⑨「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」は2分27秒で炸裂するポール風シャウトが笑いのツボだろう。そして私にとってパロディー・ソング史上最高の傑作がラストを飾る⑩「ジングル・ベル」だ。加工されたヴォーカルや独特のバス・ドラムはもちろんのこと、例のテープ・ループやサウンド・コラージュに至るまで寸分たがわず「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」を再現し、そこに「ジングル・ベル」の歌詞が乗っかっているのだ。2分9秒からの「It is snowing, it is snowing...」にいたっては「そこまでやるか」とその徹底ぶりに頭が下がる。いやぁ~、ビートルズ・パロディーって本当に奥が深いですねぇ(≧▽≦) これは世界屈指のビートルズ・トリビュート・バンドからビートルズ・ファンへの最高のクリスマス・プレゼントだ。

ジングルベル

A Fab Four Christmas

2008-12-24 | Beatles Tribute
 またまたビートルズ・カヴァー・バンドのクリスマス・アルバムである。今回はアメリカのファブ・フォーというグループで、この前のビートマスと一体どこが違うねん?といわれそうだが、ビートマス盤が全体の雰囲気重視で一般リスナー向けなのに対し、このファブ・フォー盤は選曲からアレンジの細かい部分にまで徹底的にこだわりまくって究極のパロディー盤を目指しており、コアなビートルマニアなら爆笑必至の仕掛けが満載だ。この盤はいきなり「This is take 17!」という掛け声から始まり、「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」そのものの①「赤鼻のトナカイ」へとなだれ込む。なぜ17なのか、ビートルズ・ファンならお分かりですよね(笑) 冒頭のカウントはもちろん、ヴォーカル、演奏からコーラスに至るまでまるで、「赤鼻のトナカイ」の歌詞とメロディーが、もうありえないくらい見事に「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」のサウンドと一体化されている。知り合いの高校の音楽の先生に聴いてもらったら「音楽的に凄い高度なことやってる!」と大絶賛しておられたが、全10曲すべてこの調子なのだ。「プリーズ・プリーズ・ミー」が始まったのかと錯覚するような②「ジョイ・トゥー・ザ・ワールド」、ハーモニカやギターもソックリだが、何と言っても「カモン!」の一声だけでもうイッてしまいそうだ(≧▽≦) 「アンド・アイ・ラヴ・ハー」の伴奏トラックをそのまま取り出してヴォーカル部分だけ差し替えたかのような③「フェリス・ナヴィダ」は本物のビートルズのアウトテイクかと思えるくらい似ているし、④「ホーク!ザ・ヘラルド・エンジェルズ・シング」は、「ホォーク!」から始まってエンディングの「ニュー・ボーン・キィ~イィン、ウゥゥ~♪」まで完全に「ヘルプ!」そのものだ。ギター、タンバリン、フルートと全ての楽器が一分の隙も見せずに「悲しみはぶっとばせ」している⑤「アウェイ・イン・ザ・マンガー」はジョンそっくりさんヴォーカルの「ヘイッ!」がたまらない。途中で「ウィー・ウィッシュ・ユー・ア・メリー・クリスマス♪」の一節を挿入する遊び心もニクイなぁ。単調なドラミングとエレクトリック・ピアノが「テル・ミー・ホワット・ユー・シー」してる⑥「グッド・キング・ウェンセスラス」、例のイントロだけでおなか一杯になりそうな「ベイビーズ・イン・ブラック」もどきの⑦「イット・ケイム・アポン・ア・ミッドナイト・クリア」、真似るのが難しいリンゴのヴォーカルで見事に「ハニー・ドント」してる⑧「ウインター・ワンダーランド」と続いて本盤最大の笑撃がやってくる。「フロスティーーーイィ・ザ・スノゥマァァァン!」... 「ミスター・ムーンライト」だ(笑) 長いことビートルズ・ファンをやってきたが、こんなに笑わしてもらったのは初めてだ。その反動か⑩「レット・イット・スノー!レット・イット・スノー!レット・イット・スノー!」はイントロとエンディングが「エイト・デイズ・ア・ウイーク」してる以外はややインパクトに欠けるかも。とにかくビートルズのオリジナル・ヴァージョンを聴き込んでいればいるほど、アルバムのあちこちに散りばめられたアイデアの数々に気付いて思わずニヤリとさせられるような、ビートルマニア御用達のクリスマス・アルバムだ。

赤鼻のトナカイ

Xmas! / The Beatmas

2008-12-20 | Beatles Tribute
  「ビートマス」って知ってます?なんてアホなことを言ってる場合ではない。世界中に無数に存在するビートルズ・カヴァー・バンドの中で知名度、テクニック、パロディーの切れ味etcを総合的に考慮して5指に入ると思われるのが、デンマークのラバー・バンドというグループで、「ビートマス」というのはこのクリスマスCDのための彼らの変名のことである。もちろんただストレートに演奏するのではなく、クリスマス・ソングをビートルズっぽくアレンジしてあって、そのヒネリ具合がとにかく面白い。どちらかというと、細かいアレンジよりも楽曲全体の雰囲気をビートルズ風にしました、という感じのパロディー盤なのだ。もろ「プリーズ・プリーズ・ミー」なハーモニカから滑り出す①「ジングルベル・ロック」、「エイト・デイズ・ア・ウイーク」なフェイド・インからコーラスの微妙なハモリ具合までこれでもかのパロディー攻撃に頭が下がる②「サンタが街にやってくる」、イントロのカウントから「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」全開で、最後はリンゴの「指にマメができちゃったよ!」のパロディーでシメる③「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」、「プリーズ・ミスター・ポストマン」なコーラスとギターがめちゃくちゃ合ってる④「ラスト・クリスマス」、手拍子部分以外はあと一歩「ノー・リプライ」になりきれなかった感がある⑤「フェリス・ナヴィダ」、リズムギター三連符が「オール・マイ・ラヴィング」してる⑥「ママがサンタにキッスした」、「ラヴ・ミー・ドゥー」なハーモニカにイスから転げ落ちそうになった⑦「ジングル・ベル」、「タックスマン」なベースラインとギターソロに大笑いの⑧「赤鼻のトナカイ」、イントロのハモリから「ウ~ララララ」というバック・コーラス、中間部のギターソロに至るまで完璧に「ノーウェア・マン」してる⑨「メアリーズ・ボーイ・チャイルド」、「涙の乗車券」のリフに乗って歌われ2分50秒からの “It’s Christmas day, yeah!”のリフレインに思わず「座布団3枚!」といいたくなる⑩「ホワイト・クリスマス」、「ルーシー・イン・ザ・スカイ」の途中でここぞとばかり飛来する「愛こそはすべて」コーラスがたまらない⑪「きよしこの夜」、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」の「ガ~ン」から「イン・ザ・ムード」や「グリーンスリーヴズ」、「シー・ラヴズ・ユー」に「愛こそはすべて」をごった煮風に詰め込んだ唯一のオリジナル(?)⑫「ア・バイルン・イズ・ボーン・イン・ビートルホーム」... もうこれは実際に聴いて大笑いしてもらうしかない。クリスマスを理屈ぬきで楽しく過ごしたいビートルズ・ファンのマスト・アイテムだと思う。

Santa Claus is Coming to Town

Butchering The Beatles

2008-12-18 | Beatles Tribute
 ハードロック/ヘヴィーメタル界のアーティストにビートルズ曲をカヴァーさせて1枚のオムニバス・アルバムを作ろう、というごく単純なコンセプトから生まれたのが本作である。しかしいくらヘビメタといっても何とまあグロテスクなジャケットなんだ!と思われたかもしれないが、これはかの有名な「ブッチャー・カヴァー」のパロジャケなのだ。ブッチャーといっても黒い呪術師のことではなく(ここで笑った人は私と同世代ですね)「肉屋」「人」という意味で、白衣を着たビートルズの4人がバラバラになった赤ん坊の人形と肉片を持って笑っているというあまりの悪趣味なジャケットのためにクレームが殺到し発売後すぐに回収されたといういわくつきのレコードのことである。で、この盤のタイトルが「ブッチャリング・ザ・ビートルズ」というわけ。
 中身の方は大方の予想通り、ビートルズの中でもヘヴィーな曲を題材にして原曲に忠実なアレンジで、とにかく隙あらば弾きまくってやろうというヘビメタ・ギタリスト達の競演が楽しめる、ラウドなロックンロール大会になっている。アリス・クーパーの歌う①「ヘイ・ブルドッグ」ではスティーヴ・ヴァイのバカテク・ギターが聴き物で、さすがは1曲目にもってくるだけのことはある。②「バック・イン・ザ・USSR」はレミー・キルミスター(モーターヘッド)のしゃがれたヴォーカルが実に良い味を出している。いきなりイングヴェイ・マルムスティーンの速弾きが全開の⑤「マジカル・ミステリー・ツアー」は、まるでヘビメタ・ギター界のシーツ・オブ・サウンド(笑)といってもいいくらいギンギンに弾きまくるインギーだが、いかに彼が速弾きで壊しにかかってもビクともしないビートルズ曲の力強さと懐の深さが逆に浮き彫りになるというパラドックスが面白い。
 トミー・ショウ(元スティクス)のギターが唸る⑦「デイ・トリッパー」も、ジョン・ブッシュ(アンスラックス)が吼える⑧「アイ・フィール・ファイン」も、とにかく演奏者全員が心から楽しんでプレイしているのがダイレクトに伝わってきて嬉しくなる。みんなホンマにビートルズ好きなんやなぁ...(≧▽≦) モトリー、ポイズン、ボンジョヴィ、モーターヘッドのメンバーらが寄ってたかって最高のロックンロールに仕上げた⑩「アイ・ソー・ハースタンディング・ゼア」はこのCDのベスト・トラック。⑫「ドライヴ・マイ・カー」はキップ・ウィンガーのネチこいヴォーカルが不思議なグルーヴ感を生み出し、パワフルなビートと相まってアルバムのラストに相応しいナンバーになっている。ヘビメタというよりは「ハードロック・ギター・トリビュート・トゥ・ザ・ビートルズ」といえる1枚だ。

Butchering the Beatles - Mystery Tour


Butchering the Beatles - I Saw Her Standing There

Por Rumbas / Los Rolin

2008-12-02 | Beatles Tribute
 「ルンバ」は一言でいえば「フラメンコ風ポップス」である。イメージとしてはかき鳴らされるスパニッシュ・ギター、乱打されるカスタネット、ウキウキするような手拍子や合いの手をバックに能天気に歌われる陽気な歌...といった感じだ。この盤はスペインのロス・ローリンというグループがビートルズの曲をジプシー・ルンバ風にアレンジして歌っているもので、原題を Por Rumbas、日本盤のタイトルを「ルンバ・ビートルズ」という。ただしジプシーといってもスペイン系のバンドなので、ジプシー特有の哀愁はほどほどに抑え、後はとにかくドンちゃん騒ぎのお祭り気分でビートルズの名曲群を酒の肴に徹底的に楽しみましょう、といった感じ。まるで一世を風靡した「ランバダ」みたいなノリでブイブイいわしている。私はこういう「おバカ」なアルバムが大好きなので一発で気に入ってしまった。①「ヘルプ」も、②「シー・ラヴズ・ユー」も、③「イエロー・サブマリン」も、そして何と④「イエスタデイ」までもが「ライノ、ライノ!」の合いの手の下に、コブシの効いたヴォーカルのワンパターン攻撃でルン馬鹿、じゃなかったルンバ化されているのだ。あの重厚な⑤「ノーウェア・マン」がこんな風になるなんて!めっちゃオモロー!!! 世界のナベアツもビックリだ。こんな陽気でエキゾチックな⑥「アンド・アイ・ラヴ・ハー」は聞いたことがない(^_^) ⑦「アイ・シュッド・ハヴ・ノウン・ベター」や⑨「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」、⑩「オール・マイ・ラヴィング」なんかは元々が明るい曲調だったので全然違和感がなく、特に「オブ・ラ・ディ...」は元がカリプソなので、親戚みたいな(?)ルンバのリズムにピッタリハマッている。ただおとなしめな⑬「サムシング」だけが周りから少し浮いてしまってるように聞こえるのが惜しい。尚、⑪⑫⑭⑮⑯は上記曲群のスペイン語ヴァージョンで、母国語ということでラテン度数が更にアップ、水を得た魚のようにスパニッシュしまくっている。特に⑮「スパニッシュ・ルンバ・ビート」は6曲のメドレーになっており、この盤のダイジェスト版みたいな1曲に仕上がっている。まるでジプシー・キングスが山本リンダをゲストに迎えて乱痴気騒ぎの大宴会を開いているような(笑)ゴキゲンなアルバムだ。
PACO AGUILERA Gipsy beatles HELP


PACO AGUILERA - . HOMENAJE A LOS BEATLES


↓YouTubeでオモロイ動画を発見!リンゴのドラミング、ジョンの首の振り方、ポールの脚の動き、ジョージの右手のストローク...コワイぐらいに似てますなぁ(≧▽≦)
マリオネット・ビートルズ

Sgt. Hetfield's Motorbreath Pub Band / Beatallica

2008-11-21 | Beatles Tribute
 とんでもないバンドが現れた。メタリカそっくりのサウンドでビートルズ・ナンバーをことごとくヘビメタ・カヴァーしていく、その名も「ビータリカ」である。ビートルズ・ナンバーをカヴァーするハード・ロック/ヘヴィー・メタル・バンドはこれまでにも数多く存在したが、ビータリカの場合は単なるカヴァーとは次元が違う。サウンド的にはヴォーカルの声質と独特な歌い方、たたみかけるようなギター・リフ、重戦車のようなドラム、と何処を取っても完璧なまでにメタリカだ。しかも曲のタイトルから歌詞、そしてアレンジの細部に至るまで徹底的にビートルズとメタリカをパロッている。そう、これは完全なるパロディー、それも音楽的に非常に高度なパロディーなのだ。
 アルバム・タイトルはビートルズの「サージェント・ペパーズ」にメタリカのヴォーカリストの名前をもじって「サージェント・ヘットフィールズ・モーターブレス・パブ・バンド」(ヘットフィールド軍曹のビール大好き酒飲みバンド)、曲名もメタリカとビートルズの曲名やアルバム名を上手く組み合わせたものが多く、両方のバンドを知っている人なら面白すぎて大笑いするだろう。仮にメタリカを知らない人が聴いても、③「ブラッケンド・ザ・USSR」、⑥「ア・ガレージ・デイズ・ナイト」、⑧「レパー・マドンナ」、⑩「フォー・ホースメン」、⑬「アンド・ジャスティス・フォー・オール・マイ・ラヴィング」etc は単純に「ハードロック・トリビュート・トゥ・ザ・ビートルズ」としても楽しめる懐の深さを兼ね備えている。
 それと、このCDには入ってないのだが、彼らの最高傑作といえる曲を YouTube で見つけた。タイトルを「アイ・ウォント・トゥ・チョーク・ユア・バンド(首しめたい)」といって、「アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド(抱きしめたい)」のパロディーだ。ルックス先行型のポップ・メタル・バンドであるホワイト・ライオン、ウォレント、そしてCC(ポイズンのギタリスト)を槍玉に上げ、「お前のバンドを絞め殺したい」(笑)という内容の歌詞で、いきなり「オゥー、イェー、アー」からメタリカ節が全開だ。もうアホらしすぎて笑いが止まらない!あのウィアード・アル・ヤンコヴィックの「今夜もイート・イット」に比肩する、アメリカ音楽史上最強のパロディー盤だ。とにかくその高い音楽性と抜群のセンスで聴く者を飽きさせない、笑撃のケッサクである。

Beatallicanimation


Garage Dayz Nite - Beatallica