shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Beatles Medley / Stars on 45

2009-01-20 | Beatles Tribute
 私が高校生の頃、有名な演歌のオイシイ部分だけをつなぎ合わせてメドレーにした「演歌チャンチャカチャン」という曲がヒットしており、その一方で巷では「なんちゃってオジサン」なるものが話題になっていた。そこで東芝EMIは気でも狂ったのか、その頃ヨーロッパでカフェ・クリームというグループがヒットさせていた大胆なディスコ・アレンジのビートルズ・メドレーに「ビートルズなーんちゃって!?」というふざけた邦題を付けてリリースしたのだ。アビー・ロードを渡るビートルズに向かっておどけたポーズを取る変なオッサンのイラストが描かれたトホホなジャケットのレコードをレジに持っていくのがめっちゃ恥ずかしかったのを今でも覚えている。
 それから3年経ったある夏のこと、ラジオからとんでもない曲が流れてきた。今度はオランダのあるプロデューサーがジョン、ポール、ジョージに声がそっくりなスタジオ・ミュージシャン達を集めて作ったスターズ・オンというグループのビートルズ・メドレーだ。カフェ・クリームの場合はただ単に、原曲のメロディーを拝借してディスコ調にしてみましたという、いわばビートルズが持つ多くの側面の中の一つを取り出して活用したにすぎなかった。ところがスターズ・オンはビートルズの聖域に真正面から堂々と接近し、ヴォーカルからバックのサウンドの細部に至るまでそっくりに再現して見せたのでシーンは騒然となった。邪道だ、冒涜だと言う人達もいた。しかし私には、ここまでやってくれたらすべてを許せてしまうという最高のキメ方で、ビートルズの楽曲群が持っている魅力をアピールしているように思えた。この曲は当時全米チャート1位を独走していたキム・カーンズの「ベティ・デイヴィスの瞳」を抜いて全米№1に躍り出た。10年以上も前に解散したグループの、しかもコピー・バンドが演奏するメドレー物がである。この曲がどれほどの衝撃性を持っていたかわかろうというものだ。
 ディスコ・ビートにハンド・クラッピングを被せたイントロ部分が一通り終わった後「ワン、トゥー、スリー、フォー!」のカウントから「ディサプンワンスビフォ」とジョンそっくりのヴォーカルが入ってきた瞬間、全身に電流が走る。この曲はこの一瞬のために存在すると言い切ってしまいたいくらいの衝撃だ。ただ、シングル・ヴァージョンはビートルズに関係のない「シュガー・シュガー」で時間を浪費しており曲数も8曲と少ないので×。オススメは30曲入りのロング・ヴァージョンの方で、特に後半部で意表を突いて「マイ・スウィート・ロード」のイントロのアコギ・カッティングが「ジャンジャンジャジャジャン~♪」と入ってくる所がたまらない(≧▽≦) メドレー物というのは選曲も含めて、どの曲の次にどの曲を持ってきてそれらをどう繋ぐかが腕の見せ所なわけだが、メジャーなヒット曲から隠れ名曲に至るまで、巧くテンポを合わせて絶妙のタイミングで繋がれており、16分を超えるロング・ヴァージョンがまるで一つの「ビートルズ組曲」であるかのように一気呵成に聴けてしまう。見事な音楽的センスという他ない。これはビートルマニアなプロデューサーが企画した、ビートルズ・クローンによる、ビートルズ・ファンのための、ビートルズ愛に満ち溢れた1曲だ。

Stars on 45 - Beatles medley (Dutch videoclip)

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