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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Choral Beatles

2008-11-15 | Beatles Tribute
 私は思わず身体が揺れるようなノリの良いロックンロールやフォービート・ジャズが大好きな人間である。特に車の運転中に音楽を聴くことが多いので、音楽もドライビングのリズムに合ったハイスピード・サウンドが中心になってくる。前の車を一気に抜き去ろうという時にスロー・バラッドでは話にならない。ビートルズなら「レット・イット・ビー」より「ヘルプ!」を、ストーンズなら「悲しみのアンジー」より「黒くぬれ!」を、ということだ。しかしそんな単純バカの私でさえも思わず聴き入ってしまうほど強い説得力を持ったバラッド盤が存在する。この「コーラル・ビートルズ」がそんな、悪魔を改心させるような(笑)1枚なのだ。Choral とは「聖歌隊などの合唱による」という意味で、本来ならば私に最も縁遠い音楽のはずだが、例によって YouTube で面白いビートルズ音源を探していて偶然この「コーラル・ビートルズ」を見つけてしまった。まず鐘の音と共に始まる①「アクロス・ザ・ユニバース」のあまりの美しさに言葉を失う。アルバム「レット・イット・ビー」ではフィル・スペクターがごてごてと飾り立てて折角の名曲が台無しだったが、ここでは原曲の持つシンプルな美しさを見事なまでに引き出している。天国のジョンもさぞかし喜んでいることだろう。歌っているのは「ケネディ・クワイア」というアルゼンチンの女性合唱隊で、延べ500名が在籍、その中から選りすぐりのメンバーで製作された「究極の癒し系ビートルズ・カヴァー集」が本作というわけだ。リード・ヴォーカルの美しい響きとまるで天上の音楽のように優しく包み込んでくれるバック・コーラスのアレンジメントが絶妙で、寝る前に聴くと心地よい眠りが約束されること間違いなし。イントロに「風に吹かれて」のメロディーを上手く引用した③「オール・マイ・ラヴィング」や、文字通り「天使にラブソングを」という感じで思わずこっちも立ち上がって手拍子したくなるような④「ア・ハード・デイズ・ナイト」、スイングル・シンガーズも顔負けのコーラス・ワークが圧巻の⑪「ペニー・レイン」など、全曲素晴らしい!!!!! 尚、タイトルを「ヘヴンリー・ビートルズ」に、ジャケットも4人の天使の後ろ姿というベタなモノに造り替えた日本盤も出ているのでご一聴をオススメしたい。ジャンルを超えて、理屈抜きで音楽って素晴らしいなぁ... と実感させてくれる極めつけの1枚だ。

Choral Beatles



Paperback Believer ???

2008-11-13 | Beatles Tribute
 「マッシュ・アップ」という言葉をご存知だろうか?CDジャーナルによると「かねてからDJの間で使われているリミックスのスタイルで、1つの曲からメロディーを、もう1つの曲からヴォーカルを取り出すなど、異なる複数の楽曲の中からメロディーやリフなどを選び合成して新たな1つの曲を作る手法」とのことで、原曲の一部を引用して「ネタ」や「素材」として使う「サンプリング」に対し、「マッシュ・アップ」は構成や細部に変化は加わるものの、余計な演奏や編曲を行わず、基本的に原曲そのものを使った手法で新たな楽曲を生み出すもの、ということらしい。
 私が初めてこの言葉を耳にしたのは2年前にビートルズの「ラヴ」が出た時で、名曲の数々が一旦解体された後、見事に再構築されて新たな曲に生まれ変わる姿に大興奮したものだった。特に「ア・ハード・デイズ・ナイト」の「ジャーン!」から「ジ・エンド」のドラム・ソロが始まり、「ゲット・バック」のイントロのギターへと続く流れや、「ドライヴ・マイ・カー」でありながら「タックスマン」のギター・ソロが被さって、いつの間にか「ホワッチャ・ドゥーイン」にすり替わり、「ザ・ワード」へと帰結していくあたり、さすがは5人目のビートルといわれたジョージ・マーティンだ。「トゥモロウ・ネヴァー・ノウズ」のリンゴのドラムに「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」を乗せるなんてもう... その大胆かつ自由な発想に度肝を抜かれたものだった。
 それ以来「マッシュ・アップ」との接点はなかったのだが、最近 YouTube でメチャクチャ面白いモノを見つけた。題して「ペイパーバック・ビリーバー」...(゜д゜ )!!!!!! ビートルズの「ペイパーバック・ライター」とモンキーズの「アイム・ア・ビリーバー」のマッシュ・アップである。イギリスで プロデューサー/ミキサー/DJ として活躍するマーク・ヴィドラーという人の作品らしいが、これがもうコワイぐらいにピッタリ合ってて大笑いさせてもらった。文句なしに今年一番の笑撃作だ!

Long Version of Paperback Believer: Beatles vs. Monkees

Punk ! / The Punkles

2008-11-07 | Beatles Tribute
 ビートルズのカヴァーは難しい。金に目がくらんだレコード会社がこれまで何度も「クラシックで奏でるビートルズ」とか「ジャズ・ミーツ・ザ・ビートルズ」とかいったアホな企画盤をポンポン出しまくってきたが、そのほとんどが悲惨な結果に終わっている。多くのアーティストたちが楽曲の「力強さ」に振り回されたあげくに凡演の山を築いていくのを見るにつけ、改めてビートルズの凄さを痛感する。しかしここで紹介するドイツの “おバカ” バンド、パンクルズは一味違う。ビートルズ・カヴァーという難題を見事にクリアしているのだ。
 彼らが凡百のカヴァー・アーティスト達と決定的に違う点はビートルズとパンクロック(特にラモーンズ)への愛情に溢れていることである。演奏はもちろん、楽曲のアレンジからジャケットに至るまで細部にわたってこれでもかのパロディ攻撃に、ビートルズへの限りないリスペクトと彼らのセンスの良さが感じられるのだ。例えば①のLove Me Do、いきなり「ワン・トゥ・スリー・フォー!」... ラモーンズだ(笑)。ヤケクソ感が暴走列車のように押し寄せるイントロから 「ラーラーミドゥッ!」ときて一気に連れ去っていく。その快感と吸引力は凄い。原曲のゆるんだゴムヒモのようなのんびり感はどこへやら、高速化することによって新たな魅力を生み出すのに成功している。パンク・パロディはこうでなくてはいけない。
 同じく高速化された ②Drive My Car も、③From Me To You も、 ⑦It Won't Be Longも、そしてレノンの⑥Give Punk A Chanceも、一歩間違えればみんな同じ金太郎飴状態になるところだが、曲の良さと確かなテクニックで一気呵成に聞かせる。この高揚感は何だろう?どの曲も新たな生命力に満ち、何よりもメチャクチャ楽しい。結局、音楽は楽しけりゃそれでいいのである。
 元々アップテンポの⑧And Your Bird Can Sing や⑪All My Loving は更に速く、スローバラッドの⑩Michelle や⑬Yesterday ですら彼らの世界に引き込んでスピード感溢れるロックンロールとして料理しているのだ。中でも一番気に入ってるのが⑤Please Mr. Postmanで、重量感溢れる原曲を疾走するようなパンク・アレンジで超高速化...「初期ビートルズ好き」にはこたえられないヴァージョンだ。とにかくアルバム全体が躍動感に満ち溢れているのが何よりも凄い。ビートルズ・ファンはもちろん、すべてのロック・ファンに絶対の自信を持ってオススメできる痛快な1枚だ。

The Punkles - Drive My Car