shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Led ZeppelinⅠ US盤聴き比べ

2018-08-11 | Led Zeppelin
 少し前に「Led ZeppelinⅠ」UK盤の1stプレスと2ndプレスとの聴き比べというのをやったが、ほんなら US盤はどーやねん?という好奇心が沸々と湧き上がってくるのがコレクターの哀しい性というもの... しかしゼップの US盤に関してはカッティング・エンジニアやプレス工場の違いで音はコロコロ変わるので一筋縄ではいかない。結局 US盤の「Led ZeppelinⅠ」を何枚も買うことになってしまったのだが、そのどれもが実にユニークというか、一聴して UK盤とはかなり違う音作りなので、今回はそれらの US盤を取り上げてみようと思う。
 私が初めて手に入れた「Ⅰ」のUS盤は purple/tan レーベルで、ド素人の私はてっきりコレが red/greenレーベルの前のデザインだと勘違いして1stプレスのつもりで買ったのだが(←10年以上前のことで $76で買えたけど、今は倍以上の額で取り引きされているようだ...)、実際に針を落としてみると A面B面ともにまるで薄皮を剥いだかのように生々しくてスタジオライヴっぽい音だし、曲間の無音部の長さも他の盤と違っていてビックリ。特にB③の前後の間がやけに大きく開いていて、B②が終わると同時にB③の突き刺さるようなイントロが聞こえてくるという構成に慣れている耳には違和感が強かった。
 後になってこれは1stプレスではなくどうやら RCA Record Club イシューらしいということが分かったのだが、最終ミックス前段階のラフ・ミックスが何らかの手違いで流出してしまったかのような感じだ。何故こんな音の盤が、しかも Atocoもどきの紛らわしいレーベル・デザインでリリースされたのかは謎だが、珍盤奇盤怪盤の類が好きな私としてはコレはコレでエエかなぁという感じで(というか、結構音が気に入って...笑)愛聴している。
 しかし今回の第2次ゼップ祭りでまともな US 1stプレス盤の音を聴いてみたくなり、レーベル面の住所が Broadway表記の MO(モナーク)プレスでマトリクス末尾が “AA” という最初期盤をゲット。US盤はあまり人気がないのか Discogsで $20で買うことができた。
 早速届いた盤を A面から聴いていく。音の方は一言で言うと “平面的” でレンジが狭く、スピーカーの左右にブワーッと広がるような感じ。エネルギーの塊のような音がスピーカーからドバーッと押し寄せてくる UK青ロゴ盤とはエライ違いで、ゼップの熱さがイマイチ伝わってこない。乱暴な言い方をすれば “ただ音がそこで鳴っているだけ” に聞こえるのだ。ハッキリ言ってコレは期待ハズレである。
 ところが B面に入ると急に音のエネルギー感がアップし、音楽が躍動し始めた。A面の生気に乏しい演奏がウソのように活き活きとしてアグレッシヴな音がスピーカーから飛び出してくるのだ。ビックリして一旦針を上げてマトリクスを確認すると、A面のマト末尾は “AA” なのに対し、こちらの面は “CC - REPL - AT/GP” となっている。ネットで調べてみたところ、この “AT/GP”というのは mastered by George Piros at Atlantic” という意味らしいのだが “REPL" は不明(← replacement “差し替え” かな???)。ただ一つハッキリと言えるのはこのジョージ・ピロスというエンジニアがめっちゃ有能だということで、結果としてA面の “RG" 、つまりロブ・グルネルというエンジニアはまるで公開処刑されているようなものだ。
 このように A面と B面でマスタリング・エンジニアが違うというのも珍しいが、AAよりも CCの方が音が良いっていうのも驚きだ。もちろんプレス時期が早いからと言って必ずしも音が良いとは限らないというのはこれまで何度も経験しているが、1枚のレコードの A面と B面でこれほど音質差のある盤は初めてだ。


 そういうワケで私はジョージ・ピロスのマスタリングしたA面が無性に聴きたくなり Discogsで調べてみたところ、Broadwayアドレスの初期盤には2種類のピロス盤が存在することを発見。それがマト末尾が “C AT/GP PR” のPR(プレズウェル)プレス盤と、“CC - REPL - AT/GP” の MO(モナーク)プレス盤で、スティーヴ・ホフマンのフォーラム“Best Led ZeppelinⅠon Vinyl” でもピロス盤がUS盤の中でベストという意見が多く(← holy grail という最高の褒め言葉でその高音質を絶賛してあった...)入手はかなり難しそうだ。しかしここまできた以上、私としては両方とも手に入れてその音の違いとやらを実際にこの耳で確かめたい。ということで、いつものように片っ端から eBayと Discogsのセラーにメールしまくって運良く2枚とも手に入れることができた。
 そしていよいよ聴き比べだ。私は好奇心満々でこの AT/GP盤の PRプレス盤($55)と MOプレス盤($25)を1曲ずつ交互に聴き比べてみたのだが、ハッキリ言ってほとんど同じ音(←まぁ普通に考えたらそうなりますな... 笑)。音の特徴を一言で言うと “イケイケのハードロック” そのもので、とにかく音圧が高く、パワーでグイグイ押しまくる痛快無比なサウンドだ。A①「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」イントロのバン!バン!だけでリスニングルームが地鳴り鳴動するし、B③「コミュニケイション・ブレイクダウン」でスピーカーから迸り出る破天荒なエネルギーの奔流も凄まじい(≧▽≦)  初期ゼップのハード&ヘヴィーなロックを全身で浴びたいというファンには超オススメの逸品と言えるだろう。


 そんなこんなでこの短期間に3枚も「Ⅰ」の US盤を買ってしまったのだが、色々と勉強になったので自分的には良い買い物をしたと思っている。更に UK盤2枚と上記の purple/tan レーベル盤を含めると全部で6枚もの「Ⅰ」がレコード棚に並ぶことになってしまったが、その時々の気分次第でどの「Ⅰ」を聴くかを選ぶ贅沢を満喫している今日この頃だ。

【おまけ】久々の素人さんコーナーです。これは完全にボンゾが憑依しとるな...(゜o゜)
『Hit Like A Girl Contest 2018』Good Times Bad Times - LED ZEPPELIN / Cover by Yoyoka


それを見たプラントの反応www↓
Robert Plant reacts to 8-year-old girl playing Led Zeppelin on drums

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