杉田久女、飛び飛びですが続きます。
なぜ、久女はそれほどまでに師の虚子に嫌われた
のでしょうか。
久女に「菊枕」事件? というのがあります。
当時、菊の花を詰めものにした枕は、
安眠をさそい、長寿につながると珍重されました。
久女はたくさんの菊の花を何ヵ月もかかって乾燥させ、
枕をつくり、虚子に贈呈。
まだ師弟関係のこじれていない頃ですから、
虚子は受けとって、返歌もしています。
しかし次第に、虚子は久女を避けるようになり、
そのことは世間の恰好の話題となりました。
吉屋信子の『底のぬけた柄杓』や、
松本清張の『菊枕』(「或る『小倉日記』伝」所収)
では、
久女は常識も教養もない、
イヤ~な女として描かれています。
当時、吉屋信子は売れっ子の大人気作家、
松本清張は芥川賞をとったばかりで、
『菊枕』は受賞後、第一作でしたから、
久女の悪い噂は決定打となりました。
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