谷崎潤一郎の小説『猫と庄造と二人の女』
を読んだのはいつごろだったろうか。
庄造の愛猫リリーに、結局主人である庄造
と二人の女性(前妻と現在の妻)が振り回
される話だった。
私はむしろ小説そのものより、そうか、
犬も猫も家族と同じように生活していれば
1つの物語ができるのだなあと変な感心を
した記憶がある。
ところで、わが家の二階の主は猫。
(アメリカンショートヘアの♂)
人なつこくて人間に甘えるようにできてい
る(改良した?)ので、ハッキリいって、
私の好みではない。
私は孤高を保つ、猫性を半分くらい残した
のが好き!!
今となってはスコティッシュフォールドの
♀猫がなつかしい。
以前、わが家に預かったときには3日も姿
を見せなかったし、ふと気がつくと(レー
スの)カーテン越しにじっとこちらを見つ
めていることがあった。
この猫は一昨年、ニセコで残念ながら客死
(?笑)してしまったが。
わが家の主に話をもどそう。
このあまり近づかないようにしていた猫に
私はこのところ、ちょっと親近感をいだい
ている。同類項のような。
「同病相哀れむ」ではないが、ちょうど
「老い」加減が同じなのだ。
この猫はやんちゃな少年期だった頃、
家具から家具へよじ登り、部屋中を猛ダッ
シュで走り周るなんてのは朝飯前、
歯磨きをしていると数えきれないくらい
背中にのぼられたものだった。
それがどうだろう、いまではあんなに嫌いだ
った掃除機をかけても逃げようともしない。
今では写真のようにパネルヒーターをバック
に丸まっていることも多くなった。
猫の10年は人間の何年くらいになるのか。
まるで人間の一生を凝縮しているかのようで、
猫を見るたびに複雑な思いに駆られる。
今年は3・11東日本大震災はいうに及ばず
最後になって金正日総書記の死去まで、全く
予想できないことの多い1年であった。
雪のニュースも続いている。
せめて被災地の人たちに少しでもおだやかな
冬であるよう祈っている。