住宅の端っこに畑がある。
地元のおじいちゃんが時折耕している畑だ。
昨日通ったら、草が猛々しく繁茂していた。
たしか夏前には雑草をきれいに抜きとって
枝豆やらピーマンの苗が植えられていたはず。
いつの間に……
もちろん野菜の影など、あとかたも無い。
なまじ、肥料があるだけに、雑草もはびこる
のだろう。
それにしてもすごい繁殖力だ。
わが家の庭も雑草だらけだが、この比ではない。
私は畑の持ち主のおじいちゃんに同情しながら、
しかし内心ではもしや?
という期待に胸がふくらんだ。
なぜならーー
2~3年前、秋口にここを通ったら、
いっせいに赤とんぼの群生が飛び立ったのだ。
私は童話の世界か、夢の中の話ではないかと
思って立ちすくんだ。
あれほどの赤とんぼの大群を見たことが無い。
見事だった。
息をのんで、しばらくはぼおっとしてその場を
立ち去りがたかった。
しかし、この暑さ、雑草はますます丈を伸ばし、
繁茂する一方だろう。
おじいちゃんが腹を立てて刈り取ってしまう
のではないか。
私がこの畑の持ち主だったら、雑草が気になって
ぐっすり眠れないに相違ない。
そうしたら、おじゃん、だ。
目下の私は、今年も赤とんぼの群生が見たい。
でも、畑の雑草刈りを一日延ばしたら雑草の思うが
まま……
どっちも気になるところである。
※ 写真は決して萱野ではありません。
れっきとした畑なのです。