一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

「社会年齢」をやめよう

2017-04-30 07:23:07 | 雑記


       年齢は何種類もあると聞いて、なるほどと思った。

       いわゆる暦年齢の「実年齢」と「肉体年齢」さらに
       「精神年齢」である。

       「実年齢」より若い「肉体年齢」の人はよくいるし、
       身体は衰えても柔軟な頭の「精神年齢」を保つ人も
       少なくない。

       一方、「社会年齢」は本人の意思を無視して社会が
       一方的に決める年齢で、「定年」はその最たるもの
       ではないか。

       日本老年学会が高齢者の定義を「65歳以上」から
       「75歳以上」にしようと提案した。
       知力や体力で若返り傾向が明確に出た結果、らしい。
       
       そのため65~75歳は「准高齢者」ということに
       なった。
       一律に65歳で「高齢者」=「引退者」という風潮を
       やめようというわけで、元気な高齢者を見るにつけ、
       これには大賛成だ。

       現在、94歳の漫才師・内海桂子さんの感想はこうだ。
       「どんなに元気でも定年にして、年寄りにさせている」
       「今の日本の社会は、長く生きた人の能力や経験を
       奪い取って、この世から片付けようとしているような
       気がする」

       これは「社会年齢」に対する率直、かつ強烈な批判で、
       実に小気味いい。

       「社会年齢」が年寄りをつくる!
       といったら云い過ぎか。

       意欲や気持ち次第で社会に参画できる、超高齢社会。
       それには本人の研鑚、努力が第一だが、
       社会的にも「年寄り」という枠組みをはずして、
       エージフリーを目指したいものだ。


       ※ 好天にめぐまれて甲羅干しをする亀
         (近くの夫婦池で)

       

       
       


     

新一年生

2017-04-29 07:22:02 | 雑記


      入学式が終わったと思ったら、はや5月の連休を迎える。
      新一年生が登校する光景をほほえましく見ていたが、
      近頃はだいぶ慣れて、友達とふざけ合ったりして登校
      している。

      ランドセル業界ははやくも来年の商戦に向かっていると
      聞いて驚いた。

      このランドセル、
      以前は男の子は黒、女の子は赤と決まっていたが、
      昨今は色とりどり。
      水色あり、ピンク、紫、茶色、濃紺……と男女多彩で
      驚かされる。

      実は、ランドセルが昔より大きくなっていることを
      知っていただろうか。
      私は新聞のコラムで初めて知った。
      (松村由利子の「うたのスケッチ帳」)

     
      それは教科書のサイズが以前のB5ではなく
      A4サイズになったからだとか。

      そういえばウチの孫の教科書をみても、すべて大型で
      カラフルだ。
      他に教材やプリント類を入れるからランドセルの重い
      こと。

      「日常を生き抜く強さを身に付けるため
               ランドセルはこんなに重い」
                         天野 慶

      小さい身体でこんなに重いものを!と可哀そうになる
      くらいだ。
      それでもみんな、健気(けなげ)に背負っている。

      まだまだランドセルが歩いているように見えるが、
      これが小学高学年になると、背丈が急に伸びて
      背中のランドセルが取ってつけたように小さくなる
      のだろうか。

  
      「小学生のふりしてきたといふやうに子は
                ランドセルをすとんと落とす」
                         永守恭子

      う~ん、この光景も想像できる。
      はやくも人生に疲れたような……思わず笑ってしまうが、
      これは男児にありがちな光景だ。


      でもでも、まだそこまでいくには時間がかかる。

      「替え歌をうたえる声が帰りきて
               ランドセルごとトイレに入る」
                          吉川宏志

      ランドセルくらい下ろしてからトイレに入ればいい
      のに……笑いを誘われる。
      これは女の子か。

      いずれもランドセルを背負って、人生の苦楽がはじ
      まる。
      新一年生に幸あれ!!だ。


      (歌は歌人の松村由利子さん選出のをお借りしました)
      

      

      
      

気鬱の季節

2017-04-22 16:34:21 | 雑記


       近くの山野を歩いていると、今は八重桜とツツジ
       が美しい。

       八重桜もたまに中年女性の厚化粧のようにケバケバ
       しいのもあって、あまり好きではなかったが、
       山で見かけるのは周囲の緑に映えているせいか、
       楚々として、可愛げのある美しさである。

       その下の小ぶりで真っ赤なツツジは今がさかり。
       そのつややかさ、可憐さは思わずため息をもら
       しそう。

       一年に一回、花たちは生気をみなぎらせ、
       ここぞとばかりに咲きほこる。
       そんな季節に今年も出会えたことに感謝し、
       明日への英気を養いたいと思う。


       なのに、なのに、
       この季節、なぜか気鬱症におちいる。
       つまり、かったるいのである。


       昔、まだ子どもだった頃、
       春になると、ふらふらとわけもなく歩きだし、
       「気がふれる」人がいた。

       「気がふれる」とは「正気でなくなる」とか
       「気が狂う」こと。

       理由は分からず、大人は「春だから」といい、
       子どもながらに、そんなものかと納得していた。

       なぜだろう。
       春はホルモンのバランスが崩れるのだろうか。

       どうやら春にイライラ、ウツウツはつきものらしい。

       全身を滞りなく気が巡っているのが健康の状態なの
       だが、
       気が滞ると血の巡りも悪くなり、ストレスやイライラ
       を感じやすくなるのだとか。

       つまり、春先になると、
       気持ちがふさぎ、抑うつ状態になるのは医学的にも
       証明されているらしいのだ。

       そう分かれば気分もちょっと軽くなる。
       些細なことでクヨクヨ、イライラはやめて、
       この美しい季節を心からたのしみたいと思う。


       

       

       
     

       

       
       

匂い OR 臭い ?

2017-04-22 07:13:19 | 雑記


     このところ新聞で柔軟剤の香りについての
     記事が相次いだ。

     「柔軟剤のにおいがキツイ!」という訴えだ。

     ある主婦は隣家の洗濯物から漂ってくるにおい
     に悩んでいる。
     風向きによっては、もろにキツイにおいをかぶる
     ことになる。

     我慢しきれず隣家に
     「香りのやさしい柔軟剤に替えてもらえませんか」
     と頼んだ。
     答えは
     「夫の体臭が気になるので(香りの強い)外国製の
      柔軟剤を使っている。気になるなら窓を開けな
      ければいい」
     というものだった。

     行政の窓口に相談したが「規制がない」ということ
     で、対応が鈍かったという。

     私も経験がある。
     娘が使う柔軟剤のにおいがイヤで、強く抗議。
     洗濯機のある洗面所はもちろん、部屋までにおって
     きて気持ち悪くなった。

     以降、私は普通の柔軟剤を使っているが、
     ときどき娘は自分の洗濯物に例のキツイやつを
     使っているらしい。

     手に取ってみると、小さい字で何チャラと外国語で
     書いてあって読めない。
     メガネをもってきて読むのも腹立たしいので、放って
     おくのだが、いっそのこと黙って捨ててやろうかと
     思う。

     柔軟剤のにおいが注目を集めるようになったのは、
     香りの強い外国製品が出回りはじめた頃、
     2000年代以降のことらしい。

     そもそも、柔軟剤に香りは必要なのか。

     どうやら一般調査によると、
     柔軟剤に求めるものとして、
     ①香りの良さ
     ②衣類を柔らかく仕上げる
     ③防臭
     ④静電気防止
     ⑤抗菌
     という順になっている。

     そして人気が高くて売れているのは「香りのついた
     もの」だというから、柔軟剤ににおいはつきものか。

     日本人はもともと香水などの強い香りをつける習慣
     がなかったはずだが、いつからこうなったのだろう。

     時代とともに生活様式が変わったところに原因が
     あるのかもしれない。

     生活に余裕が出て価値観も多様化するなかで、
     柔軟剤も付加価値として香りがついたのだろう。

     しかし、イヤなものはイヤだ。
     「香害」という言葉もある。
     なまじ香りをつけるより無臭のほうがいい。


     ※ ドラッグストアにある柔軟剤の陳列棚
     

17歳と70歳

2017-04-15 16:43:43 | 雑記


      もう4ヶ月も娘が仕事から帰らないので
      まだまだ忙殺される日々であるが、
      今年も桜を堪能できた。

      山桜とソメイヨシノがほぼ同時に咲き、
      昨日あたりから葉桜の模様を呈している。

      かわりに八重桜がちらほらほころび、まだ
      しばらくは桜を愛(め)でることができそうだ。

      やがて大好きな新緑の季節がやってくる。

      ぼんやりしちゃおれない気分!


      新聞の万能川柳で昨年の年間大賞が発表された。
      約58万句ものなかから選ばれた一句。


      「十七歳も七十歳も一度だけ」


      云えそうでなかなか云えない句だ。

      17と70を並べたところが秀句。

      しかし、どの年代も経験は一度だけである。

      つまるところは、一日一日を大切にすること。


      ※ アジサイで有名な明月院の桜
        両サイドにあるアジサイも間もなく咲く
        であろう。

        

      

乱雑になった私の字

2017-04-09 15:21:02 | 雑記



       自慢ではないが、私の字は汚い。
       乱暴だ。
       親しい友人からは
       「あんたの字は読めない」
       といわれる。

       自分でもそう思う。
       ハガキや手紙を書くとき、今度こそ丁寧に、相手が
       読める字を書こうとおもうのだが、
       気がつくと走り書きになってしまう。

       これじゃダメだ、と思い、反古にして
       新しい便箋なり、ハガキにしても、またまた気が
       ついたら走り書きになっている。

       なぜだろう。
       いつから私はこんなひどい(読めない)字を書くよう
       になったのだろう。


       こんなことを思うのは昨日、故郷(南相馬市)の旧友
       から、どんでもないものが送られてきたからである。

       中学一年のときの、私の習字。
       多少、バランスは悪いが、丁寧に書かれていることは
       分かる。

       旧友(女性)は長年、小学校の教師をしていて、姑さん
       の介護を機に残念ながら退職したのだが、
       その後、お子さんたちは独立。
       
       そして東日本大震災に遭った。
       あちこち避難して仮住まいをするなか、
       ご主人を亡くされ、独りになった。

       「多事多難な7年でした」
       彼女の手紙にあるように、ほんとうに大変な歳月で
       あったことが理解できる。

       今回、小高(おだか)町にある家を処分して、
       新しい住まいを見つけ、そこに定住することにした。

       古い家を整理しながら、写真のような習字が出てきた
       というのだ。

       それにしても、
       なぜ、彼女の手元に私の習字があったのだろう。

       名前が書いてあるから
       (旧姓・伏見)
       まちがいなく私の習字。

       私の記憶にあるはずもなく、この字を何と読むのか
       さえ分からない。
       (「はつしも ことり さむ」と読む?)

       家人はこの字をみていった。
       「お母さん、いつから字が乱暴になったの」

       それは、私の方が知りたい。
       

東北の春はまだ

2017-04-09 14:30:41 | 雑記


      こちら(鎌倉)の桜は満開にちかい見ごろであるが、
      (氷雨は降っているものの)
      東北の春はまだ遠い。

      私の故郷(福島県浜通り)の桜の名所はいくつかある。
      (わざわざ名所と公言しなくても、人それぞれに
       心に秘めた桜の名所はあるものだ)

      そんな中、全国的にも語りほこっていい名所といえば
      (福島県)富岡町の夜の森(よのもり)の桜並木であろう。

      桜並木がトンネル状になっていて、その華麗さ、見事さ
      といったら、言葉にならないほど!

      だが、東日本大震災の原発事故による被害で付近は
      大参事。
      住民は即、全町避難を強いられ、余韻にひたる暇(いとま)
      もなく、あちこちに散らばっていった。

      それでも春になると桜は開花し、誰ひとり見る人がいなくて
      も静かに咲きほこった。

      並木は1500本もあり、両側から折り重なって、あたかも
      桜のトンネルのよう。
      
      毎年、このニュースを耳にするたびに、私も涙したし、
      ましてここの住民は心がはり裂ける思いだったであろう。

      この4月、町は7年ぶりに一部をのぞき避難指示が解除
      される。
      しかし、果たしてどれほどの人が荒れはてた地に戻れる
      だろう。
      お年寄りは?
      若者や子どもたちは?

      それでも富岡町では(7年ぶりに)桜まつりが開かれたことを
      知人が知らせてきた。

      咲きはじめた桜の下で、よさこい踊りなどして盛り上がった
      そうだ。
      たった一日だけであろうと、地元の人たちの心に灯をつける
      ものであって欲しい。

      そして、かつてと同じとはいわなくても、少しでも明日に
      つなげる希望を見出して欲しいと祈るばかりである。


      ※ 写真は昨年、知人から送られてきたもの
        これを見るだびに胸が詰まる。
      


      

職員ですか

2017-04-09 08:20:39 | 雑記


      鎌倉でも桜が咲きほこっているのに
      今日も非常な雨。

      山の端が雨で煙って、それはそれできれいだけど。
      桜見物にはすっきりと晴れてほしい。

      こういうのをナタネ梅雨というのだろうか。
      サクラ梅雨というのは聞いたことがないから。


      日頃、身なりに気をつかわない私だけど、
      少し気分転換をしようと思い、春らしい薄ピンク
      のジャケットを買った。

      それ以来、買い物やちょっとした外出にさっと
      羽織って出かけて便利。
      (ボロ隠しにもなるし……)

      先日、チビの発熱にともない病院に行く際にも
      着ていった。
  
      そしたら、いい年配と思われる女医さんが私に
      「(この病院の)職員ですか」
      と聞いてきた。

      「は?」
      意味が分からない私はきょとん。

      「職員だと、薬が出るんですよ」
      「いえ、祖母です」
      と咄嗟に答えたが、薬が出る云々は別として、
      どうしてこんな質問が出るのだろう??

      でも、でも、
      「お祖母(ばあ)ちゃんですか」
      と云われるよりは、ずっと気分がいい。

      気をよくして帰ってきた私だが、
      家に帰って上着を脱いではた、と思った。

      そうだ、
      このジャケットの色が病院スタッフの制服に近い
      色なんだ!!

      それからはこのジャケットを着るのがちょっと
      はばかられて、躊躇してしまうのである。

      

      
      
      
      

      

足元の小宇宙

2017-04-08 07:41:08 | 読書


       先日、Eテレで「足元の小宇宙」という番組を観た。
 
       ある一人の女性が草花を観察した記録である。

       甲斐信枝さん 86歳。

       甲斐さんは毎日、近所の野原や畑、田んぼに出かけて
       いって、雑草といわれる草花を観察し、スケッチする。

       その何百枚、何千枚のスケッチをもとに絵本を描く。

       代表作の『雑草のくらし』は出版から30年以上たつ
       今も版を重ねるロングセラーとなっている。

       たとえばタンポポやキンポウゲなど、花が終わった後
       も注意深くみて、タネがどのように飛ぶかも観察。

       一般には風が吹いてくるのと逆方向に流されていくと
       考えがちだが、なぜかタネはくるんと舞いながら飛ばさ
       れていくのである。

       その様子は自然の妙としかいいようがない。

       我々が雑草とくくってしまう、どの草花にも個性があり、
       異なること。
       甲斐さんはそれを丹念に観察して植物の世界を描いて
       きた。

       あるときは6時間もかけてスケッチして、水彩絵の具で色
       づけする。

       「ひとり占めではもったいない」
       「感動するよね」
       そういう甲斐さんの笑顔はすがすがしくて少女のようだ。

       あるとき、いつも通っている野原がきれいさっぱり刈り
       とられていた。
       「ああ」
       甲斐さんは嘆息したが、気をとりなおして地面をみると
       これまで大きな雑草で日の目をみなかった小さな植物が
       たくさん芽を出していた。

       雑草の世界も一年ごとに植物が代わったりする。
       戦国時代そのものだ。


       私は番組をみて、
       甲斐さんのような生き方もあるのだと感動した。
       そして小さな植物から恵みをもらう、大きな幸せを感じ
       とった。

 
       甲斐さんと一緒に見つける足元のすてきな世界。
       私もこれからただ漫然と歩くのではなく、足元に目を
       落として注意深く見てみよう。

※ NHKスペシャル
         「足元の小宇宙 絵本作家
          甲斐信枝と見つける生命」
       

弥生から卯月へ

2017-04-01 07:13:44 | 季節


        目下、取り込みがありジタバタ。

        一昨日、わが家のチビが発熱。
        38,5℃の熱で朝一番に鎌倉総合病院を受診。

        インフルエンザは昨年暮れにやっている。
        風邪だろうということで薬もなく、帰宅。

        その日の午後、急変。
        熱は40、3℃まであがり、これまで聞いたこと
        のないような高いびきをかいて寝ている。

        とっさの判断で救急車要請。
        ところがあわてるとろくなことがない。
        「109」を何回押しても
        「この電話は使われていません」の応答。
        (後で冷静に考えたら「109」は渋谷の若者の
        店舗だった(笑)。

        でも気が動顛しているので、そんな考えもなく、
        「110」を押して「救急は何番ですか」と聞いて
        教えてもらった。

        正しくは「119」でした。

        救急隊員は3人。
        みなとても親切。
      
        救急車が着く前に、帰宅が遅くなることを想定して
        着替えなど必要なものをカバンに詰め込んで待機。

        救急車は家の近くになると、サイレンを止める。
        急ぎ道路に出て手を振って誘導。
 
        すぐに発車にはならず、問診など、
        このあたりは私も落ち着いて対応できた。 
        ともあれ、その日の朝に受診しているので同じ病院へ。
        

        結局、
        救急病棟で「季節風の風邪による熱」との診断。
        (熱でぐったりして歩けないので)
        院内は車いすをお借りして会計を済ませ、薬をもらって
        タクシーで帰宅。
        タクシーの運転手さんにもお世話になった。

        そして昨日、熱は39℃台をいったりきたり。
        食欲がなくぐったりと寝ているだけなのである。
        私はその間、家のことをして、本を読んでも上の空。
        まったく落ち着かない。

        気がついたら、
        弥生3月も終わり。  
        もう卯月である。

        新聞のコラムにこんな句があった。
    
        「怠りし返事書く日や 弥生尽」
                    几董(きとう)

        月日の走るのはまっこと早い。
                    
        
        ※ 桜の前に満開のユキヤナギ(近くの公園で)