風邪は風邪でも心の風邪。
春先、新芽が萌え出る頃に弱い私は、暖冬の分、少し早くきたみたい。
頭の中がもやもやして、すっきりしない。整理ができないから、次の
ステップが踏めないのです。
こういう時は何もかも捨てて、グータラするに限る。
というわけでコーヒーをいれて、手にとった本は、
古い文庫本でした。
「山椒大夫・高瀬舟」 (岩波文庫)
森 鴎外著
森鴎外というと「舞姫」や「ヰタ・セクスアリス」などを思いが
ちですが、「山椒大夫・高瀬舟」などの短編も捨てがたい。
ことに、「山椒大夫」など、子供向けに書かれた本しか知らなか
った私は、目からウロコが落ちる思いでした。
説教節として昔から伝わっている語り物に、「文学」というエキ
を吹きかけた鴎外に。
一方で、陸軍軍医総監という地位にのぼりつめながら、文学を捨
てられなかった鴎外にも、思いを馳せずにはいられません。
そういう鴎外だからこそ、樋口一葉や、与謝野晶子を見いだした
のでしょう、きっと。そう思うと妙に納得するのですが。
それにしても体力がある時は気力がない。
珍しく気力が充実しているなと思ったら体力がいま一つで、いつも
不満足な私。
これが凡人というのでしょうか。
http://book.geocities.jp/seikofy/index.html