半世紀以上、朝日新聞に親しんで
きて、引っ越しと同時に毎日新聞
に替えた。
それでまだ馴染みがないといえば
ないのだが、朝日新聞の「天声人
語」に当たるのが、毎日の「余録」
というのである。
この「余録」を23年間
(6354回)書かれた人、
諏訪正人(すわまさと)さんが先日
亡くなられたと報じていた。
ある日の「余録」
「心理学者が上野駅にカメラをすえ
て、混みあう場所での人と人の離れ
具合を調べたところ、
見知らぬ人同士の平均距離は
127㌢。
グループの仲間うちのそれは80㌢
足らずであった」
このことを引いて諏訪さんは、
「文章にも適正な距離がある。
あまり遠ければよそよそしいし、
かといって近すぎると気持ち悪い。
<余録>は127~80㌢の距離を
守っている」
と書かれた。
これは私のようなへっぽこ物書きに
でも分かることで、日々このことに
腐心しているようなものだ。
理路整然としているのはいいが、
余りよそよそしい文章では読者には
響かないし、かといって、慣れ慣れ
しくすると、たちまち文章は陳腐に
なり、清廉さ、品格がなくなる。
なるほどなあ、文章の間あいという
か、距離間ですか、と私は大いに
感じいったのである。
※近くの空き地の紅梅、白梅
いまが盛り。
私も40年余りになる朝日から毎日へ去年替えたところです。 *脈83号のお礼をメールしましたが、ごらんいただけましたでしょうか?