甘草屋敷の一角に、父祖の地であることにちなんで
一葉の小部屋がある。
そこで見た妹のくに子さんの写真、おそらく晩年の
ものであろう。
一葉は赤毛で髪も薄く顔色もわるい、妹のくに子は
母親似で色白で美人、というのが定説。
(写真でみると、小づくりの一葉もなかなか可愛い
らしいのだが)
それを証明するかのような写真、本当に美人で
ある。
(くに子さんの写真はここにしかない)
裁縫が得意で社交的な妹でもあった。
姉は目がわるくて針仕事は苦手、いつも賃仕事を
取ってくるのは妹の方である。
そんな妹は姉の死後、作品を保存し、日記公刊に
までこぎつけた。
この妹なしには、一葉の作品がすべて日の目をみる
ことはなかった、といっても過言ではないのである。
甘草屋敷には一葉遠縁にあたるH氏もいて、いろ
いろと樋口家のエピソードを聞くことができた。