一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

一葉紀行6

2008-08-30 17:18:21 | 

     甘草屋敷の一角に、父祖の地であることにちなんで
     一葉の小部屋がある。
     そこで見た妹のくに子さんの写真、おそらく晩年の
     ものであろう。

     一葉は赤毛で髪も薄く顔色もわるい、妹のくに子は
     母親似で色白で美人、というのが定説。
     (写真でみると、小づくりの一葉もなかなか可愛い
      らしいのだが)
     それを証明するかのような写真、本当に美人で
     ある。
     (くに子さんの写真はここにしかない)

     裁縫が得意で社交的な妹でもあった。
     姉は目がわるくて針仕事は苦手、いつも賃仕事を
     取ってくるのは妹の方である。
     そんな妹は姉の死後、作品を保存し、日記公刊に
     までこぎつけた。
     この妹なしには、一葉の作品がすべて日の目をみる
     ことはなかった、といっても過言ではないのである。

     甘草屋敷には一葉遠縁にあたるH氏もいて、いろ
      いろと樋口家のエピソードを聞くことができた。 
     
     
     
     

一葉紀行5

2008-08-27 06:01:06 | 



     塩山駅前(北口)にある甘草屋敷。
     江戸時代に薬用植物である甘草(かんぞう)の
     栽培をして幕府に納めていた高野家の屋敷である。
     立派な家屋敷で、当時の名主(なぬし)。
     「甲州甘草文書」によると、八代将軍・吉宗の
     ときに幕府御用として薬種の上納を負うとともに、
     年貢や諸役を免除されたのだという。
     西洋医学が入ってこない当時、薬草園で栽培され
     る甘草はさぞや貴重なものであったろう。
     
     

一葉紀行4

2008-08-24 15:47:09 | 
    




一葉のルーツを探ると祖父の八左衛門にたどりつく。
     写真は八左衛門が駕篭訴訟をおこした柏原堰。
     案内してくれた知人のお陰で、探しに探して、ようや
     く見つけることができた。

     八左衛門は正義感がつよく学問もあったから、堰
     問題が発したとき、村のリーダーにまつりあげら
     れた。しかし江戸まで出て駕篭で直訴までしたの
     に敗訴、冷や飯を喰っている。

     一葉の両親・大吉とあやめが出奔する際、蔵書を
     売って、むしろけしかけたのはこの祖父である。
     祖父が援助しなかったら、大吉・あやめは駆け落ち
     しただろうか。
     二人が江戸に出てこなかったら、一葉は誕生した
     であろうか。
     そう思うと、八左衛門の存在を見逃すことはできない。

一葉紀行3

2008-08-22 13:08:14 | 

     今回の塩山(山梨県)への旅の目的の一つは、
     一葉のルーツを確かめることにあった。
     3年前には探すことのできなかった樋口家の墓所。
     (父の生家はすでになく、母の実家である古屋家は
      現在子孫が住んでおられる)
     いずれも桃畑の真ん中にあった。
     もちろん一葉の父・大吉と母・あやめが江戸に
     駆け落ちしたころは、米や養蚕といった生産性少
     ない農村地帯で、これほどのフルーツ王国にな
     ったのは近年のこと。
     
 

一葉紀行2

2008-08-20 13:49:44 | 


    慈雲寺(山梨県中萩原)にある一葉碑。
    撰文は幸田露伴によるもの。
    露伴は鴎外とともに一葉作品のよき理解者であり、
    その日記公刊には大いに貢献した。
    しかし、一葉が「ゆく雲」のなかで、

     わが養家は大藤村の中萩原とて、見わたす限りは
     天目山、大菩薩峠の山々峰々垣をつくりて西南に
     そびゆる白妙の富士の嶺は、をしみて面かげを示
     さねども冬の雪おろしは遠慮なく身をきる寒さ、
     魚といひては甲府まで五里の道を取にやりて、
     やうやう鮪の刺身が口に入る位……

    と書いたこの地を一度も訪れることはなかった。
    おそらく父母に幾度となく聞かされた光景が、
    まるで見たように記憶されていたのだろう。


    

一葉紀行1

2008-08-17 15:15:02 | 
 


     この夏、樋口一葉の故郷を訪ねる旅をこころみた。
     先ずは一葉の父母ゆかりの慈雲寺にごあいさつ。
     暑いさなかとて訪れる人もなく、蝉しぐれの歓迎
     をうけた。
     この寺には見事なイトザクラ(枝垂れ桜)があり、
     花の季節には観光客でごったがえすとか。
     それを避けてくるため、まだ満開の桜には出会って
     いない。
     今回も葉っぱが地面に着くほど垂れていました。

セミ異変?

2008-08-13 14:59:00 | 自然




     何年か前、熊本の知り合いの家にいった折、「シャア、シャア」
     と一定のリズムを刻んで絶え間なく聞こえる音に、その家の
     主がシャレ心でテープを流しているのだと思った。
     東北出身の私には初めて聞く音で、それがクマゼミの鳴き声
     だと知って大笑いしたのだが。
     そのクマゼミが首都圏に進出して、セミの北上がはじまって
     いるのだとか(これも温暖化の影響か)。

     よく短い一生にたとえられるセミの生命。
     しかし、地中で何年も過ごすセミはむしろ、長寿の虫だとも
     いえそうだ。
     生まれてから長いのが人間の一生である。
     昨年の調査でまた延びて、平均寿命は、
      女性が85.99歳(世界一) 
      男性が79.19歳(三位)
     喜んでいいものかどうか……。
     せめて死ぬまで元気でいたいもの。
    
    
     

北京オリンピック

2008-08-09 16:25:38 | スポーツ



     暑い夏というより酷暑の夏!
     高校野球もたけなわの中、北京オリンピックが開幕、
     気温もテレビもヒートアップする一方である。
     チベットやウィグル自治区での民族問題をかかえて
     いて当初から心配されたが、厳戒態勢の中、無事に
     聖火がともった。
     で、ここでは政治的な問題やメダルの数云々の話は
     暑いので止めて、涼しい話題をーー。

     写真は「チベットの青いケシ」または「ヒマラヤの青いケシ」
     とも。ケシ科メコノプシス科で宿根草。
     エベレストの5700㍍級の山で見られ、中国雲南省から
     四川省にかけての大雪山山脈が主産地とか。
     青いケシに対する登山家の熱い思いが分かるような……。

     ところが日本でも栽培されていて、チャンスがあれば
     見られるとか。
     えッ、ケシの栽培は禁止されていると聞いたけどォ。
     「メコノプシス属」とはラテン語で「ケシに似る」と
     いう意味なのだそうです。
     でもやっぱり幻の花にはちがいないわねえ。
      (写真と話題提供:GANOさん)