この４～５日ずっと匂っていた金木犀が
今日の冷たい雨で消えたかのように匂わ
ない。庭をみると、まだ花はあるのだが。
さて、毎日さまざまな出来事があるので
どんどん忘れてしまうが、ちょっと前の
ニュースで「年収と幸福の関係」という
のがあった。
米プリンストン大学の教授らが統計的に
分析した結果である。
収入が上がるにつれて生活の満足感は
上昇するものの、幸せな気分は
年収７万５０００ドル（約６３０万円）
前後のところで頭打ちになるのだそうだ。
笑う頻度といった感情の起伏を考察した
結果だという。
果たしてそんなことで幸せの度合いが
測れるかどうかは疑問だが、まあ一つの
たとえ話にはなるだろう。
想定内の結論ではあるが、
「高収入で幸せになれるとは限らない」
は高額所得とは一生縁のない庶民の強が
りのようで、可笑しかった。
おまけに新聞のコラムではこんな一首を
引き合いに出していた。
金にては幸福は齎（もたら）されぬ
といふならばその金をここに差し出し
給（たま）へ
（安立スハル）
年収６３０万円で幸福感が頭打ちになる
ならば、一度でいいから、その天井に頭
をぶつけてみたい人は多いだろう。
だが、こちとら加齢の身とあっては、
何事もない、ふくいくと金木犀の匂いを
かげる幸せも捨てがたいのである。