ライネケ狐 (Reineke Fuchs)
福音館の絵本「はるかぜとぷう」でお馴染みの
小野かおるさんの作品である。
解説によると、
「狡知にたけたライネケ狐が数々の悪事の末、
悪知恵をはたらかせて立身出世する物語」
なのだそうだ。
ドイツやフランスなど、ヨーロッパに広く伝
わる寓話で、フランスでは”ルナール”とい
う名で親しまれているそうだ。
昔からお年寄りが子供たちにそういって聞かせ
てきたのだろう。
そういえば、イソップ童話の「すっぱいブドウ」
など、狐が中心の教訓的な童話が多い。
同じイソップ童話の「オオカミとキツネ」は、
強くて大きな狐がみんなから”ライオン”と
呼ばれるのを真にうけて、失敗する話だ。
日本でも、オオカミは怖い存在だが、狐はいつ
もちょっと間抜けで小ズルイ役回りになっている。
子供のころ、動物園でみた狐にがっかりしたも
のだ。童話に出てくるような狡知さなど、全く
感じられなかったからだ。
(タヌキとほとんど変わらない動物に見えた)
しかし、そんな狐だが、小野かおるさんの手
にかかると、悪賢さでキリキリする滑稽さ
も残っていて、実にチャーミング。
作品からは動物、否、昔から語られてきた
寓話への愛情が伝わってくる。
前2回4点ずつ、「新制作展」のスペースデザ
イン部門に出品して、今回が完結編だという。
(全部で12枚)