♪ 冬がくるまえに~
という歌があったわねえ。
何の脈絡もなく突然口から出たメロディーに
あわてふためいたけど、その間にもどんどん
日が経って、ついに本格的な冬になってしま
いました。
気をとりなおし、仕切りなおして、
もう一度、米原万理にもどりたい。
前回(7月はじめ?)、米原万理の本でとり
あげたのはたしか、
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』と
『ガセネッタ&シモネッタ』
だった。
(印象としては数冊あったたような気がす
るのだが、あまりにもエピソードが多くて、
冊数としては2冊だけだった)
今回はとり残した分、
『不実な美女か貞淑な醜女(ぶす)か』を
紹介したい。
あの通訳の緊張の場では、訳すべき言語が突
然出てこない瞬間的失語症が多いのだとか。
そういうときのテクニック?として、
とっさに反対のことばでいい表すらしい。
例えば「ささやく」→「小声でいう」
「舅(しゅうと)」→「夫または妻の父」
「輸出」→「輸入にあらず」
なんでもいいからとにかく訳せ!というのに
は笑ってしまった。
氏の友人にいたっては、(鳥の)羽毛の買い
付けの場で、「羽毛」というロシア語が出て
こなくて「鶏のスーツ」とやってしまった。
相手の公団代表はあわてるどころかプッと
吹き出して「鶏のドレスでしょ」といい替え、
無事、商談はまとまったとか。
しかし、そもそもことばとは自分の感情や思
考を整理したり、他人に伝えるためのもの。
それが長時間(時には同じ人に2週間はりつ
いて通訳したこともある)、脳が他人の意思
や思想、感情に占領されたりすると、
脳が悲鳴をあげ、そこで妄想するのは殺意
だというから、またまた笑ってしまった。