一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

菊地周さんと文代さんのこと

2010-03-26 16:32:47 | Weblog
    このところ出かけてばかりで、なかなかブログ
    更新ができない。
    (何をやるにもスローなせいもある)
    それに過労が重なって(笑)ほとんど声が出ない
    ので~す。
    (静かでいいと誰かの声が聞こえるが)
    去年の今頃もほぼ2カ月くらい同じ状態だったか
    ら、季節性のアレルギーもあるのだろう。

    今日はちょっと硬い(?)話。
    先月はじめ、なつかしい人からお手紙があった。
    伊豆の河津に住まわれる菊地文代さんという人。
    内容は、こんど映画「こつなぎ」が上映されるか
    ら、ぜひ観て欲しいということであった。
    
    その日、3月13日、東京・お茶の水の全電通
    ホールで行われた映画とシンポジュームに参加
    したいと希望していたのだが、
    このところの煩雑さと体調があまり良くないこ
    ともあって、行けなかったのだ。

    菊地周さん・文代さんとの出会いは、20年も
    前になろうか。
    私はまだ自分の人生に自信がなく(今でもないが)
    あれをかじり、これをかじりしていた頃である。
    TVマンやジャーナリスト、音楽関係者たちの
    集まりがあって、コンサートやちょっとした
    勉強会をひらいていた。
    私も誘われて何回か参加したことがある。
 
    河津の菊地さんのお宅は、北陸のナントカという
    由緒ある民家を移築したという立派な家で、
    そこでナマの演奏(ピアノとフルート)を聞く
    という珍しい、しかし楽しいひとときであった。
    総勢30人くらい。
    ご自宅と近くの旅館に分散して泊ったのだが、
    何といっても印象に残るのはご夫妻のこと。

    記録映画のカメラマンでありプロデューサーの  
    周さんは当時60代後半。同じプロデューサー 
    であった奥さんの文代さんは(現在79歳だか
    ら)、さかのぼると60になったかならないか。

    若輩者の私などはあおぎみる存在だった。
    それに、存在感のある周さんと、文代さんの
    洗練された都会的なセンス!!
    このたび私は『あなたのようないい女』を
    出したが、さしずめ文代さんは「いい女」の
    昭和版だろうと、改めて思った。

    その周さんは2002年に亡くなり、文代さん
    が遺志をつぎ、映画制作会社「周」代表として
    今回の催しとなったのだ
    写真は毎日新聞2010・3・10の「ひと」
    欄に載った文代さんの記事。   
    長くなるので次回にまわします。

    

    
    
    
    
    
    

    
     

 
    
    
       

寒たまご

2010-03-16 17:59:01 | 健康

    過日、故郷のSさんから寒たまごを送っていた
    だいた。
    この欄でも2度ほど取りあげたことがあるが、
    餌に添加物や薬剤をいっさい使わず、緑餌を
    うまく調節して、およそ190日目に(ヒナか
    ら数えて)産ませるという、渾身のたまご
    なのだ。

    ふつう市場に出回るのは、動物たんぱくなど
    の添加物や薬剤を豊富にあたえて120日で
    産ませるというから、段違いなのである。

    いわば自然のリズムを大切にして鶏を育てる
    にはそれなりのご苦労があって、大事に育て
    ていたヒナを野良猫にやられたこともあると
    いう。

    こんなSさんはなかなか情熱的で、かなりの
    読書家でもある。文化会館の理事や図書館の
    仕事を離れた現在でも、本への情熱は枯れる
    ことなく、ことあるごとに人に本の魅力を
    語っておられる。

    晴耕雨読というのはSさんのような人をいう
    のだろう。足がしっかり地について、理想と
    実践がともなっている人。
    (おそらくご本人は自覚しておられないかも
     しれないが)

    ともすると地方が疲弊しているといいがちだが、
    こんなSさんがいる限り、大丈夫だと心強く思
    うと同時にうれしくなる。
    (写真は今年の年賀状にあったSさん家の鶏舎)

    

瑣末なことですが

2010-03-09 20:30:36 | 雑記
     バンクーバーでの冬季オリンピックも終わった。
     スピードやフィギュアスケート、滑降、ジャンプ
     だけでなく、ボブスレー、リュージュといった
     今までほとんど見たこともない冬のスポーツを
     TVでみて、選手の人知を超える競技に勇気と
     感動の日々だった。

     氷上でのスピード競技や美しくも勁いフィギュア
     の舞い、猛スピードで駆け抜け、鳥かとも思う
     天高く舞う競技の数々……
     思うことは、彼ら彼女たちの勇気ある決断につい  
     であった。
     今日はトリプルアクセル(三回転半)を飛ぶか
     否か、体調やライバルを意識することもある
     だろう。
     はたまた天気や風向きなどをみて、どれだけの
     スピードを出せばいいのか等々、決断の連続
     だったにちがいない。

     というのも、こちらはあるちっぽけなことで
     ずっと悩んでいたからだ。
     昨年の暮れちょっと前に左手親指の爪の付け根
     を不注意で怪我をし、爪をはがしてしまった。
     しばらく絆創膏を張って我慢していたが、
     やがて新しい爪がはえてきて、これにはちょっ
     と感動した。
     「再生」と「爪は皮膚の一部」ということにで
     ある。

     しかし、それからが問題だった。
     新しくできた爪の上に死んだ爪がかぶさってい
     る恰好だから、すきまができてそこに衣服の
     繊維やちょっとした糸状のものが引っ掛かって、
     不便この上ない。
     日に何度となくイライラし、
     「ああもうッ(怒)!」と思ったことか。

     上にかぶさっている瘡蓋(かさぶた)状の爪を
     切ろうか切るまいか、
     (へたに切ろうものなら余計に引っ掛かかるため)
     毎日もんもんとして、決断ができなかった。  
     結局、ほぼ3ヵ月して新しい爪が引っ掛からない
     くらいまで伸びてきてくれたため問題は解決した
     のだが、五輪のTV中継をみて、わが決断力の
     なさにあきれかえった。

     思えば人生は決断の連続だ。
     朝出かけるとき傘をもっていくか否か、喫茶店で
     コーヒーにするか紅茶にするか、買物もしかり。
     進学も結婚も……。
     優柔不断な私はずいぶん遠回りをし、時間のロス
     をしているにちがいない。
     そして、
     五輪で見事な決断をして勇猛果敢に挑んでいった
     彼ら彼女たちの人生はこれからどうなるのだろう
     と思った。
     (写真は友人が送ってくれたスミレの花ーー
     爪の写真を載せるには余りにも無粋なので)
     
      

          
     

     
     
     

「いい女」とは?

2010-03-03 07:17:33 | 読書
 
    
    このたび新刊を上梓しました。
    『あなたのようないい女 明治編』
          内田 聖子著   日本文学館


    かなり前のことになるが、丸谷才一著の『女ざかり』
    がベストセラーになり、映画化もされた(1994)。
    弓子(映画では吉永小百合主演)は新聞記者。離婚
    して娘と2人で暮らしている。
    それまで家庭部デスクとしてやってきた弓子が、念願
    の論説委員となった初日。
    冒頭は弓子が朝食のごはんをほお張ってしっかり食べ
    るシーンからはじまる。

    ストーリーは同僚の論説委員(三国連太郎)や妻子も
    ちの動物学者(津川雅彦)などをからみ、恋愛感情も
    はさんで展開する。
    まず印象に残るのは、吉永演じる弓子の朝食をしっか
    り食べるシーン(今日の大食いタレントとはちがう)。
    そして、
    40代の女主人公が仕事、家庭、はたまた恋する女性
    としてひたむきに、そして正直に生きる姿勢である。
    いわせてもらうと、    
    ”女ざかり”って通り過ぎてから気がつくのねえ、
    って感じ。

    それ以来、”いい女”を考えるとき、上記の映画を
    思い出す。
    では、過去の女性はどう生きたか?

    拙著の『あなたのようないい女 明治編』は、
    明治の素敵に生きた女性を描くことによって、現代の
    女性の生き方のヒントにしていただければと思い、
    書いた評伝です。
    また”いい女”とともに個性的な男たちの群像も描
    いてある。
    ”いい女”の陰には”いい男”あり、とでもいいま
    しょうか。

    私ごときがいうことではないけれど、
    所詮この世は男と女。
    しゃかりきになって色めきたつことはない一方、
    お互いに影響なしでは生きられないことも確か。
    ならば……後は本書をお読みいただきたいと  
    思う次第です。     
    どうぞよろしくお願いいたします。