一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

松本輝夫著『谷川雁』 

2014-06-28 18:15:45 | 読書


      松本輝夫(「雁研」代表)の新刊が
      出て、先週の日曜日には神保町の
      冨山房で出版記念会があった。

      大学教授、ジャーナリスト、ラボ関係
      者等が大ぜい集まって賑やかな会と
      なった。

      谷川雁といえば私も、
      『谷川雁のめがね』を新旧2冊出して
      いるので、無関係ではない。
      あらためて谷川雁とは何者かを考える
      機会となった。

      詩人なのだが、それだけで収まる人物
      ではない。思想家でもなく、教育者で
      もなく、実業家であるはずはなく、
      まして革命家ではない。

      当日の参加者はそれぞれの分野で影響
      を受けた人たちで、
      (必ずしも直接に会ったことがなくて
      も著書などで)
      スピーチもいろとりどりであった。

      私はラボテューターをしていたとき、
      直接、その謦咳にふれて、びりびりと
      した感触はなまなましいものとして
      今でも残っている。

      
      それだけにトータルで語ることは難し
      いのだが、
      その点、本書は谷川の北九州時代から
      東京のラボ時代、それから黒姫の活動
      (十代の会~宮沢賢治)
      へと目が注がれて、
      谷川雁を総括するにはふさわしい本
      となっている。

      これまで谷川雁とは何者か分からなか
      った人は、是非読んで欲しい本だ。

        松本輝夫著『谷川雁』
            永久工作者の言霊
          (平凡社新書 ¥880+税)

球体関節人形

2014-06-21 18:37:13 | 芸術



       横浜そごう美術館で、かねがね気に
       なっていた四谷シモンの人形展を
       観てきた。

       四谷シモンは1944年生まれだか
       ら、ほとんど同世代である。
       この年代の人(男性)が人形に興味
       をもったのはなぜなのか、
       そのあたりを探りたかったこともあ
       るが、
       目下、私のテーマである渋谷龍彦が
       シモンの人形をこよなく愛していた
       からだ。

       資料によれば、
       シモンはタンゴの楽師である父と、
       ダンサーである母のもとに生まれ、
       仕事で留守がちな両親が寂しくない
       ように人形を与えたのが最初だと
       いう。

       一時、役者などもやったが、人形は
       12歳のときにすでに作っていたら  
       しい。
       その後、試行錯誤して球体関節人形
       にたどり着いた。

       球体関節人形とは、
       関節に球体を用いることによって、
       手足などを自由に動かせる人形。
       日本ではドイツの人形作家ハンス・
       ベルメールなどによって紹介され、
       四谷シモンらによって広められた。

       とはいっても、女の子が人形遊びを
       するような可愛らしいものではなく、
       どちらかというと、大人が愛玩する
       ような人形がほとんどだ。
       (写真のは最も愛らしい人形)

       しかし、渋澤龍彦だけでなく、
       演劇の唐十郎、画家の金子国義、
       写真家の篠山紀信らのファンが多く、
       何か惹きつけるものがあるのだろう。

       中には機械が(わざと)丸見えの
       グロテスクな人形がいくつかあって、
       私はいまいち、分からないのだが、
       下記のことばをみたとき、
       ふっとシモンという人形作家を少し
       理解できた感じがした。

    
       「もし僕に哲学的、宗教的なものが
       あるとしたら、人形を作ることでしか
       あらわせない」

       シモンにとって人形を作ることは
       生きることなのだ。
       
     

       
       

コンビニ事情

2014-06-15 15:53:42 | 雑記



      盛り上がっているワールドカップ、
      日本VSコートジボワール戦は1:2
      で日本が逆転負けしたらしい。
      前半16分、本田がゴールで先制点を
      奪うも、後半17分、19分と立て
      続けにゴールを許したようだ。

      負けても、渋谷のスクランブル交差点
      ではサポーターたちが大騒ぎしたと
      いうから、みんな何かに夢中になり
      たいのだろう。

      
      さて、話はがらっと変わって、
      コンビニ事情について。

      日本初のコンビニエンスストアが
      東京にできて40年。
      最近では「若者の店」からシニア世代
      に対応した店へと移行しつつあるのだ
      という。
      (若者対策としてはほぼ飽和点に達し
       たということか)

      正直いって、私はシニア世代でも最も
      利用しない部類に入るだろう。
      年に何回か、本を購入して、
      その振り込みに利用するくらい。

      
      あ、先日は横浜で開催される人形展
      (四谷シモン)のチケットを取りに
      いきました。
      (渋澤龍彦の原稿で観る必要があって)
      それもコンピューターで予約の仕方
      が分からず、店員に教えてもらった
      のだ。

      買物はふつうのスーパーで足りるし、
      時々、思い出して足を向けるだけ。
      コンビニはまだ敷居が高いし、ちょっと
      緊張する。

      ところが、昨今では、
      高齢者向けに「御用聞き」して宅配し
      たり、配食サービスに力を入れるコン
      ビニが多いのだという。

      
      それにもう一つ。
      東日本大震災後のシニアの消費の変化
      がある。
       
      震災のときは、首都圏で物がなくなり
      混乱した。
      そんな中、物流に強みをもつコンビニ
      の動きは早く、買い物に困ったシニア
      層が「身近な店」としてコンビニを
      発見したのだという。

      そういえば、
      わが故郷の南相馬市(福島県)でも
      スーパーが撤退したまま、コンビニ
      だけが健在だ。

      もはや、コンビニは若者がいくところ、
      なんて過去のこと。
      そうした固定観念を捨て、「変化への
      対応」を求められるのは、
      私のような古い人間なのかもしれない。


      ※ いちど試してみようと思って
        まだやっていないコンビニの
        コーヒー
      

      

マイナスイオン

2014-06-14 16:00:57 | 自然


      梅雨に入ってから何回か体調不良と
      いう日があった。

      病気ではないが、
      なんだか体が重いなあ、
      気がうつうつとして晴れないなあ、
      もう一つ、やる気力が足りない、
      といった感じ。

      まあ、私の場合、それが慢性的でも
      あるのだが。
      そのまま、なりゆきにまかせたら、
      一日無駄にすることになり、それが
      嫌なのだ。

      そういう時、どうるすか。
      私なりに考えた。

      まず、整体にいって体をときほぐす(?)。
      その過程は山道にあり。
      といっても、ちょっと遠回りではあるが、
      近くの笛田公園の横の樹林の中を歩くの
      だ。

  
      笛田公園は高いところにあるから階段や
      坂道を登り降りしなければならない。
      玉のようにふき出る汗を拭きながら、
      である。

      今頃のような季節はウグイスがさえずり、
      マイナスイオンたっぷりで気持ちいい。
      たまに犬を散歩させる人に会うくらいで、
      ちょっと怖~いような静けさである。

      ああ、私は今、何をしているのか。
      何をしたいのか。
      ひんやりとして、どこかに迷いこんだ
      ような木陰を通りぬけると、
      再び汗がふき出て、現実にもどされる。

      このマイナスイオン、
      森林や滝のしぶきなどに多く含まれ、
      健康によいとされるが、
      科学的根拠はないそうだ。

      
      疑似科学でも何でもいいから、
      この梅雨の季節をこれで乗り切りたい
      と思っている。

      もちろん、家に帰ってシャワーと
      濃いめのコーヒー一杯が必要だ。
      この儀式(?)で2時間はつぶれる
      のだが、
      それで一日爽快に過ごせたらいいかッ!


      ※ 枝が何本にも分かれたカシの樹
      

      
      
      

人生、役割を終えたら

2014-06-07 20:48:03 | 雑記
  

       前々回のブログ「寂しくて、つまらない」
       の続編のような人生相談が新聞に載って
       いた。

       またまた70歳代女性からの相談である。
       要約すると、
       「人は死ぬ前に<無境>になり欲得や執着
       から解放される」
       とはまさに「目からウロコ」であった。
       しかし、子育て孫育てが終わった今、
       何だか虚しく、元気な夫にイラだつという
       もの。

       断わっておくが、最初の相談者とは別人
       である。

       以下は白川道という作家の回答。

       前回、老いてからの寂しさやつまらなさ
       についての回答に、大きな反響があり、
       日本が老齢化社会になったことを思い
       知らされた。
      
       そして10年前にアフリカにいき、
       大草原にたたずむ一頭の象をみて思った
       こと。
       象は年老いて役割を終えると、群から
       離れて死を迎える。

       だが人間は厄介な動物で、象のようには
       いかない。知性という、万物の頂点に
       立つ武器をもちながら、その武器が災い
       して老後を苦しめてしまうからだ。

       氏の個人的老後観では、象のように
       周囲に迷惑をかけずに終わりたい。

       
       老後の寂しさやつまらなさは、若い時は
       心が充実して楽しかったことの裏返しな
       のだ。
       人生は順番なのです。
       役割を終えたら、若い人たちの時代に
       なるのです。
       その覚悟さえあれば、老後の寂しさや
       つまらなさを嘆くよりも、
       他の有意義なことが見つかるのでは
       ないでしょうか。

       というものであった。

       私がこのやり取りを面白く思うのは、
       ありきたりの回答ではないことと、
       ヘンに教訓的でないこと。
       そして、簡単にみえて、実に奥深い
       ことをいっているからだ。

       付記されている白川道(しらかわ・
       とおる)氏の<註>によれば、
       1945年中国生まれ。一橋大卒。
       大手電機メーカーに就職後、3ヵ月
       で退職。
       ギャンブルや株の世界で栄光と挫折
       を味わう。
       94年「流星たちの宴」でデビュー。
       2001年「天国への階段」が
       ベストセラーに。

       これをみると、
       人生に無駄というものは無いのだなあ
       とつくづく思う。

       それに引きかえ、わが身は……。
       やめておいた方がよさそうだ。

       ※ 雨にぬれる紫陽花(鎌倉山で)
     
       
       
      

IT弱者

2014-06-06 17:52:58 | 雑記


      いろいろと社会的に弱いところはある
      けれど、如実に表れるのはIT関係。
      つまり、IT弱者であることを自ら
      認めざるを得ないのだ。

      なんだかんだ云っても原稿も打ってい
      るし、インターネットも使っている。
      友人たちからよく云われます。
      ま~た、どこが弱者なのよ~、等と。

      
      正直いって、訳分からずに使ってい
      るのです。
      だから、ちょっと機械(?)がおか
      しくなるともうお手上げ。
      ニッチもサッチもいかなくなる。


      今回もブログを更新しようとしたら
      更新画面が開かない。
      「ID」と「パスワード」を改めて
      入れ直して下さいと表示が出る。
  

      これまでも似たようなことがあった
      ので、記録していた文字を入れても
      「違っています。もう一度やり直し
       て下さい」
      の繰り返し。


      よくよくみると、以前と違っている
      ところは、「文字(或いは数字)を
      時々替えて下さい」とあること。


      そっか、銀行や郵便局でも同じ番号
      を使っちゃいけないっていうもんな。
      私はちょっと頭をひねって、
      新しい番号に替えましたよ。

      ところが何回やっても
      「もう一度やり直して下さい」。


      とうとう堪忍袋の緒が切れて(古い
      いいまわし)、いつも頼むメンテの
      人に来てもらいました。


      分かったことは、
      「ID」は変えずに
      「パスワード」のみ変えること。

      
      出張料と技術料を払って、ようやく
      解決しました。
      (操作過程に2つほど自分ではとて
       も処理不可能なところがあったが)


      解決してすっきりはしたけれど、
      この間、どれだけ時間のロスをした
      ことか?!

      
      聞くと、こういった分野はどんどん
      進化して複雑になる一方らしい。
      機械そのものもそうだが、
      端的に云えば、使う人が多くなって
      パスワードが単純なものから文字数
      を多く、さらに変化球をつけるなど。

      
      ああ、
      これからついていけるでしょうか。

  
      ともあれ、こうして何とか更新でき
      ました。
      気がついたら梅雨に入って、今日も
      雨がしとしと降っています。


      ※ 成就院からみる七里ガ浜
        私が好きな鎌倉のビューポイント
        の一つ