暑いさなかというか、暑くて何をする気も
起こらないので、鎌倉国宝館(鶴岡八幡宮
の一郭)でやっている仏像展を観にいった。
何かにつけ”神サマ仏サマ”と拝むくせに
仏心とはほど遠く、これまで仏像とは縁が
なかった。
仏像は人生最後の趣味(盆栽もそういうよ
ね)、仏像にはまったらその奥深く深淵
な世界から抜け出すことができないような
気がしていたのだ。
(ああ、これからして何と無知で罰当た
りな放言!)
じりじりと焼けつくような八幡宮の境内
を横に抜けると、そこが宝物館(写真)。
中はひんやりとして、さすがに観光客も
ここまでは来ないらしく、訪れる人も
ちらほら。
入ってすぐ鎌倉を代表する大振りの仏像
が迫ってきて、圧巻である。
仏像を愛する人にとってはたまらないだ
ろう。
円応寺、寿福寺、英勝寺、浄智寺、円覚
寺など馴染みのある寺院所蔵のものが並
んでいる。
ふだんはお寺や神社のお堂の奥に鎮座ま
しましている仏像たちである。
昔の人は仏像にどのような願いをこめ、
また今日まで大切に守り伝えてきたのか。
入門篇にも達していない私だが、自然と
手を合わせ、あのことこのことを願わず
にはいられない。
その1つに東日本大震災で亡くなった人
たちの鎮魂と、被災地の復興があること
は確か。いまだ不安に駆られている人々
に一刻も早く曙光が訪れることを願って
やまないからである。
それでも不謹慎な私、土紋は精緻だが、
寸詰まりな韋駄天とか、デフォルメが
効きすぎた鬼卒には笑ってしまう。
また、誕生から死ぬまでの罪業を逐一
閻魔サマに伝える役柄(?)の仏像も
あって、これには参りました。
国宝館を出ると、夕方に差しかかって
隣接する木立ちからはヒグラシの鳴き
声がしきりと聞こえる。
そういえば前回、ミンミンゼミの初鳴き
と書いたが、翌日からはヒグラシが一斉
に鳴き始めたのだった。