一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

身にしみて……

2013-02-24 16:58:39 | 雑記


    サラリーマン川柳の2013年バージョンが決まった。

      宝くじ当たれば辞めるが合言葉

    これが第一位だそうだ。
    確かにねえ、誰しも(口に出していわなくても)1度
    ならず2度3度、心の中で思ったことはあるだろう。
    イヤな会社でも辞められないのが現実、ああ宝くじで
    も当たってスパッと辞めたいものだ。
    会社というものに20代で1年半しか勤めたことのない私
    でも分かる、分かる。

      女子会と聴いて覗(のぞ)けば60代

    これが第二位。
    近頃、やたら女子会という言葉を耳にする。
    不幸にもまだ誘われたことがないが。
    そういえば、たまに昔の仕事仲間が集まってお茶する
    のも女子会といえばいえる。

    さて、私にとって最も身近だったのは、次の句。
    (これはサラリーマン川柳とは関係ない)

  
      入場料顔見て即座に割り引かれ

  
    昨年、都心に出て思わず空き時間ができたので映画を
    見ようと飛び込んだ。
    場所は「新宿バルト9」とかいう映画館なのだが、
    ビル全部が映画興行という感じで学生、カップルで超
    満員。

    列がいっぱいできていて、どれが何の映画の列なのか、
    さっぱり分からない。

    ようやくお目当ての映画をやっている6Fに行ったが
    チケットはチケット販売機でどうぞ、というわけ。
    コーヒーやお茶を買うわけでもないのに(怒)。

    うろうろしていたら「シルバー割引」の張り紙が目に
    入った。
    毎週水曜日の女性割引は聞いたことあるけど……。
    これを使わない手はない。

    だが、証明書がないことにはたと気づいた。学生でも
    会社員でもない私の場合は運転免許証か、保険証に
    なるのだが。
    訊かれたら、どうやって証明するのか。

    案ずるより産むが易し。
    これだけは窓口で伝えたところ、即OKでした。
    うれしいより、ちょっと複雑な気持ち(怒!&喜!)

    観た映画のお題目より、この一件が忘れられない出来
    事でした。
    そして最近は、これが実感として身にしみて感じている。

      紙とペン探している間に句を忘れ

    
    
    
 
    
       
      
      

お酒もお米も

2013-02-23 18:10:10 | 雑記


     昨日のブログは突っ込みが足りなかった。

      
     だいたいこのブログ、(無責任で申し訳ないが)書き
     出してみないとどういう結末になるのか分からない。
     だが、しかし、
     最初にメッセージというほどのことでもないが、何か
     云いたいことはあるわけで、それに到達しないうちに
     終わってしまうと、自分でもあれ?あれっ?て感じ
     になる。

     これは時間切れもあるが、ひとえに書き手(私)の
     エネルギー不足のせいでもある。

     というわけで、昨日いい足りなかったことーー
     
     新潟の友人のところで雪深い経験をした後、
     以来30年たって、取材を兼ねて何回か柏崎や長岡を
     訪ねることになった。

     いずれも日程の関係で訪れるのは7~9月の間だった
     のだが、いやあ、関東の暑さとはまた違う重~い(?)
     暑さで、身にこたえました。
     (私の体調もよくなかったのかもしれない)

     それでも朝晩はそれなりに冷えて、初秋になると列車
     の窓からは黄色に色づいた越後平野がみえて、見事だ
     った。
     一角を切り取って持って帰り、額縁に入れておきたい
     衝動に駆られた。

     それで思った。
     ああ、夏の暑さと、冬のきびしい寒さがあって、はじ   
     めてお米もお酒もおいしくなるのだ、と。

     実は、これをいいたかったのだ。

     ぬるま湯につかって安穏としていては、コシヒカリの
     ような味わいも、銘酒のごとき滋味やコクも出ないだ
     ろう。

     
     ついでにいうと、越後出身で私の知っている人は(狭い
     交友範囲ではあるが)、みな実に忍耐づよい。
     それに、決して取っ付きがいいというわけでもないが、
     付き合うと「地酒」のような味がある人が多いような
     気がする。

     となると、お米、お酒だけでなく、人となりもその土地
     の気候や風土がつくるのかもしれない。

     (写真は先日、街で見かけた物産展での新潟の銘酒)    
 

     

     
     

     

この下に高田あり

2013-02-22 10:49:27 | 自然


     「青森県酢ヶ湯で515㎝の積雪」という映像を
     みて、ふと思い出したことがある。

     私は東北(福島県)生まれだが、太平洋に沿った
     ところ(南相馬市)で、そう雪深いところでは
     ない。それでも子供の頃は10㎝以上積もること
     もあって、日常と違う光景がうれしくてならなか
     った。

     はじめて「大雪」を経験したのは学生時代に新潟
     の友人の家に遊びにいったときである。

     家の中に入れば窓という窓は雪に埋もれ、二階から
     出入りするのにも驚いた。

     近くのスキー場にいってはじめてスキーなるものを
     経験したが、スロープの先はカーブになっているか
     ら見えない。
     目の前に雪をかぶった山脈がせまってきて、楽しむ
     より寒さと恐怖で早く帰りたかった。

     後で地図を見たら、友人のところは「高田」から
     そう遠くないところで、日本有数の雪国であること
     も分かった。

     現在では気象状況も変わってそうでもないかもしれ
     ないが、当時は雪といえば越後の「高田」で、それは
     教科書にも出ていたような気がする。

     一晩で10mを超える積雪もめずらしくなく、町全体
     がすっぽり隠れてしまうので、
     「この下に高田あり」という立て札を立てたという話。

     何でも立て札を立てたのは加賀藩の飛脚だったという。
     飛脚があまりの雪に立ち往生して、困ったあげく、
     こんな目印を立てたのであろうか。

     森鴎外の「北游日乗」にもこんな文章がある。
                  (明治18年3月8日)
      「高田を立つ道の上なる雪も融けたり」
          

 
     (写真は雪の日にバスからみた六地蔵)


    
     

置かれた場所で咲きなさい

2013-02-17 17:45:52 | 読書


     『置かれた場所で咲きなさい』
            渡辺和子著 幻冬舎

   実は、私はこの本をまだ読んではいない。
   先日、NHKの番組で知って、非常に感ずるところ
   があったので、記憶が薄れないうちに書こうと思う。

   渡辺さんは現在、ノートルダム清心学園の理事長で
   85歳。
   
   渡辺さんが父親を失ったのは9歳のときで、なんと
   軍人だった父は2・26事件の事件の際、娘の目の
   前で弾丸に倒れたのだった。

   ふつうに恋愛もしたが29歳で修道院に入り、神の道
   へ。
   数年間のアメリカ留学から帰って、学園の理事長に
   推薦されたのは30代半ばである。

   しかし実務経験のない彼女への風当たりはつよく、
   シスター間の統制もとれず、思い悩む。

  
   そんな彼女をみて、ある人がいった。
   「あなたが変わらなければ、不満は解消しない」

   なんと渡辺さんはそれまで「(自分がこんなに努力して
   いるのに)~してくれない」と、相手ばかりに要求する
   <くれない族>だったというのだ。

   それから順風満帆だったかというと、そうではない。

   50代、60代と「うつ病」や「膠原病」を患い、薬による
   副作用で「骨粗鬆症」にもなった。

   「うつ病」に悩まされたときはシスターをやめようとさえ
   思ったが、ある宣教師にいわれた言葉が彼女を救う。

     Bloom where God has planted you.
     (神が植えたところで咲きなさい)  

   「置かれた場所で咲きなさい」
   これは誰にでも当てはまる至言である。

   そして現在の渡辺さんは「老い」という課題に向かい、
   こう云われる。

   「日々、ていねいに生きて、年とっていなければ咲かせる
   ことのできない花を咲かせたい」

   「でも、どうしても一歩踏み出せないときはどうすればいい
    のですか」というインタビュアーの質問には、こう答えた。

   「そういうときは地下に根をはらせて、いつか咲くときに
    備えるのですよ」

    聞きちがいがあるかもしれませんが、こんな話でした。
    日本の女性にもこんな素晴らしい先達がいらしたことに、
    私はまだぽーっとしています。
   
 

猫の家出

2013-02-16 18:19:19 | 雑記


     猫のことを書くとよく誤解される。
     「猫が好きなんですねえ」
     「猫と遊ぶヒマなんかあるんですか」等々。

     とんでもない。
     私はできれば猫と関わりたくないのです。

     先日、TVで男の役者さん(顔はよく見るのだが
     名前は知らない)が「猫依存症」だと告白していた。
     いつも触っていないと落ち着かず、あのフワフワ感が
     たまらないのだという。

     それこそ私にとってはトンデモナイ話だ。
     私は触れないし、抱くなんてもってのほか。
     猫の毛1本でも落ちているとウワッと叫んで、コロコロ
     をかけないではいられない。

     しかしながら同じ家におれば、エサや水もやらなければ
     ならないし、排泄の世話だって大変なことだ。
     放っておけば2Fから猫の毛が毛玉となって飛んでくる
     ので、掃除機は毎日かけなければならない。

     それでも♪雪やこんこん の唱歌にあるように、
     猫は冬が苦手なのか、このところは少しおとなしかった。
     それで油断もしていたのだがーー

     先日、チビ猫の空(ソラ)が私がベランダの窓をあけた
     スキにさっと外へ。
     まるで放蕩息子の家出のように音沙汰がない。

     この寒い中、どこでなにをしていたのか、帰ってきたのは
     4日後。
     翌朝、掃除機をかけようとしたら、ソラがいるではないか。
          
     いつの間に!
     聞くと、前夜、家人が家の外でうろうろしているのを見つ
     けて入れたのだという。

     今は、叱られてふてくされたように(写真のように)眠り
     こけている。
     よほど家にいるのがイヤなのだから野生に放してやった
     方が本人(?)にとっても幸せだろうが、そうもいかな
     いかっ!

     今朝から「隕石が大気圏内で爆発して落下」のニュースが
     世界を駆けめぐっているというのに、こんなちっぽけな話
     でスミマセン。
     


     
   

ぶどう

2013-02-13 17:49:10 | 雑記


         喰われてもよし
         つぶされてもよし
         干されてもよし
         一番甘くなって枯れよう
          
                 「ぶどう」

     
     ああ、どうしてこんなに凝縮したことばが出るのだろう。

     星野さんの著書『愛、深き淵より』にはこんなことが
     書いてあった。
     「私は絵に関してなにもわからなかったが、この自然の
     ままに咲いている花を、そのまま写していれば、よい絵
     が描けるようになるのではないかと思った」
                

     星野さんは1972年に絵を描きはじめて以来、これま
     で500点余りの作品を生み出している。
     絵具のほかにサインペン、墨などを用いて。
     奥さまの昌子さんをパートナーとしてからでも31年の
     月日が流れた。

     絵が先に生まれたり、詩が先だったり、そのときによって
     異なるそうだ。

     ベッドに横になったまま1日に2時間程度。
     10日に1作品のペースは最初からほとんど変わらない。

     もし星野さんが鉄棒から落下という致命傷を負わなかった
     ら、体育教師として全うしたであろう。

     では、下半身不随という怪我を負って不幸せだったかと
     いうと、そうではないと思う。

     一度は絶望の淵に陥っても、見事によみがえった。
     ここに神や仏の加護があるのか、あるいは、
     本人の努力(周囲の人の助けも含めて)のみが存在するの
     か、正直いって私は分からない。

      私だったら世をはかなみ、神や仏を恨んで生きるしかない
     ような気がするからだ。


いのちより大切なもの

2013-02-11 20:13:26 | 雑記

      星野さんが最初の作品展をひらいたのは入院して
      から9年後である。

      はじめは自分の絵なんか観賞に耐えるだろうか、
      欲しい人がいたらあげればいい、と思っていたそ
      うだ。

      その後、結婚相手にもめぐまれ、お母さんもずいぶ
      ん安堵したことであろう。
      雑誌かなにかで結婚式の写真を見たことがあるが、
      白いウエデングドレスを着たお嫁さんは天使のよう
      だった。

      いまではお嫁さんが絵筆の調節や、絵具の混ぜ具合
      なども、あうんの呼吸でできるようになったらしい。

       
         いのちが一番大切だと
         思っていたころ
         生きるのが苦しかった

         いのちより
         大切なものが
         あると知った日
         生きているのが
         嬉しかった
           
                   「いのち」(おだまき)

矢車草

2013-02-10 18:37:05 | 雑記


    星野さんの詩と絵はどれもこれも大きな示唆をふくん
    でいて、どれ一つと選ぶのは難しい。  
    そのなかでお母さんのことに触れたのを最初にもって
    きたのには訳がある。

    詩画展をみてはじめて分かったことだが、当初は
    ずいぶんお母さんに無理をいって困らせたようだ。

    プロフィールによると、群馬大学病院に入院中、口に
    筆をくわえて文や絵を書き始めたのは怪我をしてから
    2年後である。

    最初は字はおろか、一本の線を書くのも容易ではなく、
    さぞイライラしたであろう。
    そういうとき怒りをぶつけるのはお母さんしかいなか
    ったわけで、お母さんの心情を想像するには余りある。

    詩画展にはベッドの横で眠りこけるお母さんの写真も
    あって胸を突かれた。

    こういうときの母親の存在ほど大きいものはない。
    しかし、みんながみんな母親だからって強くなれるの
    だろうか。

    そして分かったことは、
    星野さんが最初から詩や絵を描くのが得意で、強じんな
    精神の持ち主ではなかったこと。
    むしろ普通の人間であったのだ。

    もし仮に自分が再起不可能な怪我をしたとしても、
    星野さんのように生きられる自信はない。 
   

      矢車草を描いていたら
      母がとてもよろこんだ

      そういえば
      むかし父が
      照れくさそうにいったことがあったっけ
      「母ちゃんは矢車草がすきなんだなあ」

             
                      「矢車草」

ペンペン草

2013-02-09 17:43:07 | 雑記


     雑誌やTVの映像では見ていて、いつか直接この目
     で見たいと思っていたのだが、なかなかチャンスに
     めぐまれることがなかった。

     それが先日、お茶の水の学生街を歩いていたら
     なんと近くのビルでやっているではないか。
     思わず飛びこんでしまった。

     星野富弘の詩画展である。

     運動神経抜群だった星野さんが中学校の体育の教師
     になったのは1970年。
     クラブ活動指導中に転倒するというアクシデントに
     あったのは、なんと教師になって2カ月目である。
     結果は、頸髄を損傷して、首から下の運動機能を
     失うという最悪のものであった。

     それから今年で43年。
     その苦悩と努力に対することばが、私には見つから
     ない。

     
       神様がたった一度だけ
       この腕を動かして下さるとしたら
       母の肩をたたかせてもらおう

       風に揺れるペンペン草の
       実を見ていたら
       そんな日が本当に
       来るような気がした

                「ペンペン草」

       

湯たんぽのある生活

2013-02-03 16:36:31 | 雑記


     まさか、まさかである。
     湯たんぽが復活するとは思わなかった。

     30代後半から40代半ばまで、ひどい冷え性に
     苦しんだ。
     その頃私は谷川雁らが提唱したラボのテューターを
     やっていて、冷え性は過度のストレスからくるもの
     だったに相違ない。

     真夏でも厚手の上着をもって外出しなければならず、
     家に帰れば帰ったで、夜になるのが怖かった。
     布団に入ってもガタガタ震えて眠れないからである。
     いま思っても、あれは異常だった。

     その後、運動などで冷え性はそれなりに解消はしたが、
     完治するものではなく、冬になると電気で足を温める足
     温器を使ってきた。
     スイッチ1つでONとOFFができ、温度も調節できるのだ
     から、こんな便利なものはないではないか。

     しかし、電気だといくら手元でこまめに調節できると
     いっても、熟睡した揚句、足で蹴飛ばして朝起きたら
     布団の外にONのまま出ていたり、また暑すぎて汗を
     かいたりして気にはなっていたのだ。

     今年はどうしよう。
     ちょうど戴きものの湯たんぽが子供の玩具箱に入って
     いて、処分しようと思っていたところ。
     捨てる前に使ってみよう。

    
     それが始まりである。
     湯たんぽなんて~と多少バカにしていたが、それが結構
     使い勝手がいいのだ。

     お子様用だからお湯も0、9ℓしか入らない。
     (市販の大人用は2ℓ)
     
     
     でも私にはちょうどいい具合である。
     お湯も朝にはほどよく冷めて、汗をかくこともない。
     ちゃんとカバーもついている。

     湯たんぽといえば、なぜか向田邦子のドラマを思い出す。
     (実際にそんな場面は見たことないのだが)
     お母さん役の加藤治子さんが白い割烹着をかけて、湯た
     んぽのお湯で朝、子供たちの顔を洗ってやったりして~。

     
     まさか、私はそのお湯で顔は洗いません。
     そんなシーンを思い浮かべて、湯をどぼどぼ捨てるのみ
     です。