「覚書き」とは広辞苑によると、
「必要な事柄を忘れないように書き留
めたメモ。評論や論文など……」
とある。
昨秋、『清水紫琴 幻の女流作家がいた』
を出版して2カ月ほど経った頃だったか、
出版社を通して紫琴の孫の古在由秀さん
からお手紙を頂戴した。
孫といっても古在さんは高名な天文学者
で、今年85歳になられる。
(ここまでは以前にも書いた)
不覚にも私は存じあげなかったのだが、
古在さんは「コザイの方式」「古在共鳴」
など、天体力学では知らない人のいない、
世界的にも有名な方だったのである。
古在さんは私の質問に応え、
親戚の方に当たって古い資料を探して
送って下さった。
また紫琴関係の資料が藤沢市の大庭図書
館にあることも分かった。
実際に図書館に出向くと膨大な資料で、
気が遠くなりそうだったが、
なんとか精査することができた。
驚いたことに、資料には、
明治22、23年の船積みの荷札が
含まれていたのである。
そのことから、これまで不明とされてい
た、紫琴の最初の結婚相手の名前が判明
した。
(紫琴は今風にいうとバツ一である)
またこれまでのどの本にも載っていない
紫琴の明治女学校教師時代の写真もあった。
他にも生原稿や、住所録(和紙)、
料理メモなどもあり、
とても100年以上も前の人とは思えない
懐かしさと温もりの感じられる資料ばかり
であった。
これを私だけの記憶に留めて置いてはいけ
ない。
何とか後世の読者や研究者に知らせたい。
その思いで、要点をまとめて「覚書き」と
して小冊子にまとめました。
もしご興味のある方は著者にご一報いた
だければ幸いです。