チビのインフルエンザ騒ぎで
(病院の診察を受けた時点では
陽性ではなかったが、
いま考えるとインフルエンザで
はなかったか、と思われる)
5日ほど買物にも行けなかった。
今朝がた図書館にも寄って買物
もすました帰途、石や建材置き場
でめずらしい光景を見た。
異国の男性が薪割りをしていた
のだ。
薪は「自由にお持ちください」
と張り紙がしてある。
聞くとノルウェーの方で三十代
半ば。一瞬、教会ででも使うの
かと思ったが、
「家で使う。暖炉で」
という。
はるばる逗子から来たのだという。
それにしても見事な斧さばき(?)
には感心した。
日本の都会ではほとんど見られなく
なったが、祖国ではまだ暖炉に馴染
んでおられるのだろう。
そういえば森村誠一の『人間の天敵』
のラストシーンには暖炉が出てくる。
ホテルマン椎津の妻が、別のホテル
の駐車場で死体となって発見された。
妻は不倫をしていたのか。
相手は誰か?
人間の底知れぬ情念が引きおこす
犯罪と、思わぬ人間関係……
一つの偶然によって真相が暴かれる
のだが、
この場合、指一本でON,OFFの
操作ができるエアコンより、
暖炉の方がよりミステリーにふさわ
しいのだろう。
昨日とはうってかわって晴れたが、
風は冷たい。
帰途を急ぎながら、そんなことを
思った。