

世界経済フォーラムが12日発表した2025年版「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」によると、日本は148カ国中118位と引き続き最下層に低迷しています。とりわけ政治分野(125位)での男女格差が顕著です。なぜ日本はジェンダー・ギャップの是正・解消が進まないのでしょうか。
政治分野でとりわけ順位が低いのは、女性国会議員や女性閣僚が少ない(石破内閣は2人)ことなどが理由として挙げられています。それらはこれまでも常に指摘されてきたことですが、それが一向に改善されないどころか逆に後退しているのはなぜでしょうか。
同報告書で常に上位(今回第2位)のフィンランドのストゥブ大統領が先日来日し、徳仁天皇と会談しました。席上、天皇は大統領にこう尋ねたそうです。
「フィンランドは男女平等の分野で世界をリードされていますけれども、どういう点について工夫をされていますか」(11日付朝日新聞デジタル)
ブラックユーモアともいえる興味ある発言です。第1に、天皇も「男女平等」に関心がある、「男女平等」が望ましいと思っているらしいこと。第2に、にもかかわらず日本で「男女平等」の足を引っ張っているのが、天皇に最も関係深い皇室典範であることを、天皇は自覚していないと思われることです。
第1条で「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と規定するなど、男尊女卑に貫かれている皇室典範が、「男女平等」に真っ向から反していることは世界周知の事実です。
国連の女性差別撤廃委員会は昨年10月17日、「男系男子に皇位継承を限る現在の皇室典範」は差別的だと指摘して是正を勧告しました。
これに対し日本政府は是正を検討するどころか、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に拠出している資金の使途から女性差別撤廃委員会を除外することを決め(1月29日)、同委員会に報復したことは記憶に新しいところです。
国会では、「皇族数確保策」をめぐって、自民党・麻生太郎最高顧問と立憲民主党・野田佳彦代表らが密室会談(5月27日)を行い、いったん「女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案」で合意しましたが、官邸官僚の「横やり」で反故になったことが話題になっています(8日付京都新聞=共同)。
これら天皇主義者は、いかに皇族の確保に頭を悩ませても、「女性天皇」を認めることはありません。なぜなら、皇室典範の第1条こそ天皇制の根幹だからです。
今回の世界経済フォーラムの報告に、昨年の国連女性差別撤廃委員会の勧告とそれに対する日本政府の報復の経過が反映されているかどうかは分かりません。
しかし、天皇制が男尊女卑・女性差別によって成立していることは紛れもない事実です。そして、日本はその女性差別の上に立っている天皇を憲法第1条で「日本国の象徴」と規定している国家であることも明白な事実です。その影響は政治のみならず社会の隅々に波及しています。
時代錯誤で世界の人権常識に反している天皇制を廃止(憲法の天皇制条項を削除)しない限り、日本に真の「男女平等」は訪れません。