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アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「野党共闘」・共産党とれいわの違いは何を示しているか

2025年07月07日 | 野党共闘
   

 今回の参院選における「1人区」の「野党共闘」をめぐって、日本共産党とれいわ新選組の姿勢の違いが際立っています。

 共産党は積極的に立憲民主党との共闘を追求し、32の1人区のうち17で候補者を1本化しました。重大なのはその際、「野党共闘の1丁目1番地」と言っていた「安保法制(戦争法)廃止」を棚上げしたことです(6月28日のブログ参照)。政策よりも「共闘」を優先している姿が鮮明です。

 これに対し、れいわは「候補者調整」(野党共闘)には加わらず、政策の一貫性を貫きました。象徴的なのが沖縄選挙区です。
 「オール沖縄」候補と自公候補の事実上の一騎打ちとなっている同選挙区で、れいわは「オール沖縄」陣営には入っていません。これには経過があります。

 6月22日、沖縄を訪れたれいわの山本太郎代表は、取材に対し、「高良沙哉(オール沖縄)陣営から候補一本化を要請された」としながら合意に至らなかったいきさつをこう述べました。

「(山本氏は)自衛隊の南西シフト問題に絞って条件を提示したと説明。…山本氏は「オール沖縄」勢力内でも立憲民主党が長射程ミサイル保有を容認していることなどを問題視。「その後の議員の態度を縛る」と強調した」(6月23日付琉球新報)

 「オール沖縄」には長射程ミサイル保有を容認(その根源には日米軍事同盟・軍拡支持)の立民がいるから、共闘すれば当選後の議員が立民に縛られて自衛隊の南西シフトに反対できなくなる、だから「オール沖縄」とは共闘できない、というのです。事実、立民は今回の参院選でも、「日米同盟を深化」「防衛力を抜本的に強化」すると政策に明記しています。

 共産党が立民との「共闘」を優先して「安保法制廃止」を棚上げしたのとはきわめて対照的です。この違いの根源は何でしょうか。

 2日の日本記者クラブ主催の党首討論会で、山本氏に対し記者から、れいわは国会内では仲間が少ないようだ(孤立しているように見える)が、という質問がありました。これに対し山本氏はこう答えました。

「永田町は風見鶏が多く、数が多い方を向く。私たちも数を増やすことは追求するが、数が少なくても風穴はあく。19年前に「消費税廃止」を主張していたのは私たちだけだったが、今では自民党以外はみな言うようになった」

 「数が少なくても風穴はあく」―少数政党であっても現実政治を動かすことはできる、という確信です。

 私が知る限り、共産党も1980年代ごろまではその考えでした。国会では少数政党でも(頻繁に「共産党を除く」会談が繰り返されました)、「天皇制廃止」「日米安保条約廃棄」を含め政策を重視し主張し続けました。それが党への支持・信頼を維持・拡大すると確信していたからです。

 ところがとりわけ2000年代以降、政策の一貫性よりも野党第1党と「共闘」を重視することに方向転換しました(写真右は「野党共闘」を牽引した志位和夫氏と小沢一郎氏)。その結果、「天皇制廃止」や「安保条約廃棄」などを選挙では訴えない(事実上棚上げ)という変質を遂げてきました。今日の共産党の凋落はそれと無関係ではないでしょう。

 「数が少なくても風穴はあく」。今は少数政党でも、正しい政策を堅持し、選挙や日常活動で地道に訴えれば、やがて多数派への道が開かれる。それが政党として本道ではないでしょうか。
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