27日の会談で中谷防衛相が東村高江のヘリパッド(離着陸帯)の建設への「協力」を求めたのに対し、翁長知事は「オスプレイが運用される限り、建設計画は容認しない考えを示した」(28日付琉球新報)といいます。
これは正確ではありません。なぜなら、会談後の会見で翁長氏の真意を確かめるため記者が「『高江でのオスプレイの運用を止めるべきだ』か、『オスプレイが運用される限り、ヘリパッドを造るべきではない(琉球新報の記事ー引用者)』か。どちらか」と聞いたのに対し、翁長氏はこう答えたのです。
「両方、その意味ではこれから一つの考え方として議論する必要があるだろうし、それにまた限らないとも思う」(28日付琉球新報「一問一答」)
質問の前者(「高江でのオスプレイの運用を止めるべきだ」)であれば、高江ヘリパッド建設自体には反対せず、建設後にオスプレイの運用について協議することになります。これは「高江ヘリパッド容認」論にほかならず、翁長氏はそれを否定していないのです。
さらに根本的に重要なことは、仮にオスプレイが運用されなければ、高江ヘリパッド建設は容認されていいのか、ということです。
オスプレイ撤去の必要性は言うまでもありませんが、高江のヘリパッド建設が許されないのはそれがオスプレイの基地になるからだけではありません。オスプレイが運用されようとされまいと、高江ヘリパッド建設は絶対容認できるものではありません。
第1に、「高江ヘリパッド」は新たな軍事基地建設にほかならないからです。
SACO(日米特別行動委員会)は「米軍北部訓練場の過半の返還」の条件として高江の7個所(のちに6個所)のヘリパッド建設を要求しました。翁長氏は中谷氏との会談で「SACO合意の着実な実施は県も求めている」(28日付琉球新報)と改めて表明しました。しかし、そもそも北部訓練場は無条件に返還されるべきであり、引き換えに新たな基地(ヘリパッド)を要求すること自体認められるものではありません。
第2に、ヘリパッド建設は、高江住民の命と「健康で文化的な生活」(憲法25条)を脅かす憲法違反の暴挙だからです。
墜落の危険や日常的な爆音被害がオスプレイだけのものでないのは言うまでもありません。たとえば、沖縄国際大学に墜落(2004年8月13日)した米軍ヘリはCH53D型機でした。キャンプハンセンに落ちた(2013年8月5日)米軍ヘリはHH60型機でした。オスプレイに限らず、軍事基地がある限り、住民は生命と健康の危機にさらされるのです。
第3に、高江ヘリパッドと進入路の建設はやんばるの森(写真左)の貴重な自然を破壊するからです。
WWFジャパン(世界自然保護基金ジャパン)によれば、ヘリパッド建設予定地とその周辺には4000種を超える野生生物が記録されています。その中にはノグチゲラ、ヤンバルクイナなどそこだけに生息する固有種、絶滅の恐れのある種が数多く含まれています。「ヘリパッドの建設と軍用機による訓練は、自然破壊と野生生物へきわめて大きい影響をおよぼす…世界の非常識」(WWF「米軍北部訓練場のヘリパッド建設の中止を求める」2007年6月14日)なのです。
そうです。「高江ヘリパッド」と「辺野古新基地」はまったく同じ構図、同じ根っこなのです。高江のやんばるの森は辺野古の大浦湾であり、高江の北部訓練場は辺野古の普天間基地にほかなりません。オスプレイのいかんにかかわらず「辺野古新基地」は反対であるのと同様に、オスプレイが運用されようとされまいと「高江ヘリパッド」には反対しなければなりません。
「辺野古新基地反対」と「高江ヘリパッド建設反対」はまさに一体なのです。
ところが翁長氏は「オスプレイ撤去」というだけで高江ヘリパッド自体には反対しない、いいえむしろ容認し、「着実な実施」を求めているのです。このようなダブルスタンダードはけっして許されるものではありません。
「高江」に対する翁長氏の許されざる言動はこれだけではありません。それについては明日書きます。